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姉妹

短めです。すんません。

 アリスです。何ですかコレ?


「ほらネルフィ、ちゃんと謝って。」

「うぅ……乱暴に扱って……ごめんなさい。」

「この度は妹がご迷惑をおかけしました。本当にごめんなさい。」

「い、いや、あの、気にしないでください?」



 ありのまま、今起こったことを話そう。


 どうやらリーヴァは無事イブさんを生き返らせることに成功したようだ。ところが、事態はそれだけで終わらなかった。何と、リーヴァが城の方々をまとめて生き返らせたところ(やっぱりリーヴァはチートだ)、魔王が捕まえていた勇者も生き返らせてしまったようだ。


 これで怒ったのがイブさんだ。ネルフィが勇者の自由を奪って捕まえ、怖い思いをさせたことをえらく叱責したのだ。


 その後イブさんは私とアーテも集め、リーヴァ、アーテ、私、そして当事者である勇者の人間4名の前で、魔王ネルフィにガチ謝罪をさせたのだ。



「ええと……それで……あなたが勇者様なのですか?」


 気になったリーヴァが訊いてみる。


「えっと、はい。勇者やってます。名前はメロディアって言います。」


 あ、やっぱり勇者だ。




 ここいらで勇者の解説をしておこう。

 勇者とは、国王に認められて魔王討伐を任された人物のことだ。ゲームだとこれまた逆ハールートでしか登場しない。というか、ネルフィがルードス王国を滅ぼすに至る決定打が彼女だ。

 勇者メロディアは男性顔負けの剣の腕前で有名になり、魔物を狩って暮らしていた。その評判を聞いた王国が魔王討伐を依頼したという訳だ。




「ふん!我の命を狙うなど言語道断だが、お姉ちゃんの頼みだから特別に許してやろう。感謝するんだな。」

「は、はい!あの……ありがとうございます、せ、聖女……様?」

「もう、イブでいいわよ。それとネルフィ、()()()にそんな偉そうにしちゃダメでしょ。」

「いや、イブさん、流石に命狙ってきた人をお客様って言っちゃうのは……」

「うぅ……ごめんなさい……」


 あ、メロディアさん項垂れた。


「リーヴァ、流石にそのまま言い過ぎ。」

「え、嘘?ど、どうすれば。」

「リーヴァがフォローしてあげたらいいじゃない。ほら、早く。」


「ええーっと、メロディアさん?」

「な、なんれふか?」


 泣きすぎて呂律が回っていない。

 リーヴァがメロディアの肩に手を置き、いかにも励ますと言わんばかりの口調でこう言った。


「過ぎたことは仕方が無いわ。あなたがネルフィの命を狙ったのは、それが正義だと思ったから。あなたはみんなの為を思ってやった。結果はどうあれ、その信念は恥じることは無いわ!」

「リ、リーヴァしゃん……」

「それに、ネルフィだってもう怒ってないわ。そうでしょ?」

「ああ、我は心が広いからな!」

「ネルフィちゃん?」

「き、気にしないでください!」


 やっぱりイブさんは強いなぁ。


「だからね、これからやり直していけばいいのよ。人はこれからの行いでしか過去の過ちは取り返せないわ。私だってそうよ。」

「リーヴァさんも?」

「ええ、実は私、ついこの前までいじめっ子だったの。」


 ……!リーヴァが私とのことを引き合いに出してくるとは。


「だからね、私はその分を、今必死に取り戻そうとしてるのよ。あなただって、これからネルフィと分かり合っていくチャンスはいくらでもあるわ。」

「リーヴァさん……」

「一緒に頑張りましょう。私はあなたのこと、何があっても応援するわ!」

「……!」


 あらやだリーヴァ、イケメン。そうやってすぐ人の背中押してくれて、元気にしてくれるから好きなんだよ。


「……はい、ありがとうございます、リーヴァさん!()()()()()()()()()!」


 ん?今なんと?


「えーっと、今、何て?」

「私、一生リーヴァ様について行きます!心からお慕いしております。だから、『お姉様』と呼ばせてください!」

「…………え?」

「よろしくお願いします、リーヴァお姉様!」


 ……待て待て待てい!何がどうしてメロディアがリーヴァとスールになっとんじゃい!リーヴァは私の嫁やぞい!(違う)


 その様子を見ていたネルフィが私にこっそり訊いてきた。


「アリスよ、もしかしてリーヴァってたらしか?いつもあんな感じなのか?」

「まあね。才能あると思う。」


「お姉様、身の回りのお世話は是非私が!」

「待って、私にはアーテっていう世話係(こいびと)が。アリス、助けてーー!」


 珍しく慌てふためいた様子で助けを求めてくるリーヴァに、不覚にもときめいてしまった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「我」とか、「妾」とかの一人称を使う奴が「お姉ちゃん」って言うのが凄い違和感、こういう口調の奴って「姉上」や「姉様」見たいな畏まった呼び方するイメージが個人的に強い
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