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魔王の過去

リーヴァ&アーテ「『乙女ゲームのヒロインに転生したけどバッドエンド確定の世界なので自殺したら悪役令嬢に救われて親友になりました。しかもその悪役令嬢が可愛すぎるので乙女ゲームは辞めて百合ゲーの主人公になろうと思います。』第10話始まります!」

アリス「やめて〜〜〜!」


ていり「別作品から失礼します。『復活令嬢は終末世界でもう一度』第10話始まります。異世界転生か……。」

 アリスです。何とリーヴァの屋敷に魔王ネルフィがやって来ました。


「ま、魔王ですって⁉︎確かにその姿は魔族だけど……こ、こんな子供が⁉︎」

「貴様、失礼だぞ!我はこれでも魔王なのだぞ!」

「いや、でも」

「リーヴァ、彼女は本当に魔王だと思うよ。」

「え?」


彼女のことはよく覚えている。魔王ネルフィ。見た目は魔族の幼女だけど、その内に秘めた魔力は絶大であり、あらゆる魔法を極めた存在。そして逆ハールートでのみ登場し、とある理由からルードス王国を憎み滅ぼし尽くす存在。


「フンッ、何だ、少しは話のできそうなやつがいるではないか。」

「アリス、それ本当なの?てか何であなたそんなこと知ってるのよ?」

「ええと、その……」

「そんなことはどうでもよい!我は貴様に用があって来たのだ!」

「え、私?」


リーヴァがきょとんとしています。何その普段見せない表情、尊い。


「そうだ貴様だ!隠しても無駄だぞ!我が同胞たちを滅ぼしたのは貴様だな!」

「…………は?」

「とぼけるな!あやつらは強大な魔法でいっぺんに滅ぼされたのだぞ!そのような強大な魔法を使えるなど余程の魔力の持ち主の仕業に違いない。貴様自身が動かぬ証拠だ!」


なるほど。住人が滅んだのは魔王の国も同じということね。ふむ、やっぱり使われたのね、最終兵器が。そして同胞を殺された魔王は怒り心頭だと。


「これが貴様ら人間の本性だというならよかろう、この王国ごと跡形も残らぬほどに滅ぼしてくれる。」


ネルフィの体から恐ろしい量の魔力が溢れ出す。

 まずい、今のセリフ、逆ハールートのラストでネルフィが言ってたセリフだ。つまり、彼女は今この場で王国を滅ぼす気だ。


「ネルフィ待って!」

「今更命乞いなどしてももう遅い!死ね!」

「待って!あなたのお姉さんはこんなこと望んで無い!」

「……!」


ネルフィの魔力が収まっていく。良かった、今の一言は効いたみたいだ。計画通り!


「……貴様、なぜ姉様のことを知っている?」

「秘密だよ。でも話を聞いて。あなたとは敵対したくない。」

「…………よかろう。話ぐらいなら聞いてやる。」

「ここで話すのもあれだし、屋敷の中にしよう?リーヴァ、いいよね?」

「え?ええ、分かったわ。えっと、ネルフィ様?こちらへ、父に事情を話さないと。」

「うむ。」


ネルフィは大人しくついて来てくれた。




 リーヴァがガウェインさんに事情を話すと、ガウェインさんは恐ろしく顔を青くしながら客室にネルフィを通した。流石に魔王本人がこの場にいるのだからそりゃ信じるだろう。



「この娘と2人きりで話をさせろ。貴様らは邪魔をするな。」


ネルフィの希望により、私以外は部屋を出る羽目になった。

 私は1体1でネルフィと向かい合う。これは交渉だ。私がこの交渉に失敗すれば、魔王はその怒りでこの国を、リーヴァたちを皆殺しにするだろう。だがそんなことはさせない。転生者の知識チート、しかとその目に焼き付けるがいい。


「さて、先程の話の続きをしよう。貴様、何故我に姉上が()()ことを知っている?」

「……言わないし、言っても信じないと思う。」

「そうか。では質問を変えよう。どこまで知っている?」

「……多分全部。」

「ほぅ、話してみろ。」



 それから私は彼女について知っていることを全て話した。




 魔物の中でも特に知能の高い種族は魔族と呼ばれている。ネルフィが統治しているのはその魔族の国だ。魔族と人間は長い間敵対関係にあったが、それを変えようとしたのが彼女の姉である。彼女は先代魔王である父の死に伴い魔王に即位したのち、人間の国、手始めにルードス王国と国交を結ぼうとした。そのためにルードス王国のために尽力し、それは国内の統治とともに大きな功績を残したが、当時の国王は残酷だった。国交のために王国に滞在していた彼女を魔族だからと忌み嫌い、抹殺した。

 ネルフィは強い憎しみを抱き王国と国交を断絶したものの、敵対はしなかった。今は無理でもいつか人間たちとわかり合い、亡き姉の悲願を果たそうとしたのだ。国交断絶も魔族たちが強く望んだためであり、彼女は交流を続ける意思もあった。

 そんな状態が100年ほど続き、ゲーム本編の時代すなわち現在へと至る。


 ここからはゲームの中だけでの話だが、このままだと彼女は再びルードス王国を憎み、滅ぼしてしまう。




 私が話し終えると、ネルフィはとても驚いた様子でこちらを見つめていた。


「驚いたな。なぜそこまで知っている?」

「さっきも言ったと思うけど、言えない。」

「そうか。そう言えば名を訊いていなかったな。何という?」

「アリスよ。さっきあなたが話してた膨大な魔力の持ち主はリーヴァ・マグリット。私の親友よ。」

「うむ、覚えておこう。それでアリスよ、何故貴様はあの娘、リーヴァを庇う?あいつが我が同胞の仇でないという証拠でもあるのか?」


いいだろう、証拠が欲しいなら死ぬほど叩きつけてやる。


「まず冷静に考えて。どれだけ魔力が多くても単独で魔族を全滅させるなんて不可能よ。あなたでも無理でしょ?」

「うっ、そ、そう言われると確かに……。だ、だが、それでも、複数犯だとしてもあいつの無罪は証明できないぞ!」

「安心して。あなたの仲間を殺した犯人は知ってるわ。」

「何⁉︎」

「王国軍が隣国との戦争である魔法を使ったの。とても強い殺戮の魔法よ。敵国の住人だけを滅ぼすつもりがその魔法に失敗して、世界中が巻き添えを食らったのよ。」

「何だと⁉︎人間どもめそんな魔法を……」

「今頃リーヴァの父親が証拠をさがしてるわ。大丈夫、あの魔法は二度と使われないようになる。」

「そうか。ん?待て、だとしてもあのリーヴァとかいう女の無罪は証明できておらんぞ。それに我が同胞たちが皆殺しにされたという真実は覆らないのだ。今更改心しても……」

「大丈夫。その2つの問題はまとめて解決できるわ。」

「何?」


ここが勝負だ。さあネルフィよ、衝撃の事実を食らうがいい。


「彼女は、リーヴァは、復活魔法の使い手よ。」

「な……何だと?」

「復活魔法の使い手はその他の魔法を使えない。人を殺す魔法なんて尚更。あなたもよく知ってるでしょう?」


これはゲームでも登場した設定だ、まさかリーヴァが魔法を使えない原因が復活魔法の使い手だったからだとは思わなかったが。


「疑うなら実際にリーヴァに使ってもらおう?本物の復活魔法ならあなたもよく見てるでしょう?」

「…………貴様、まさか知っているのか?」

「ええ、知ってるわ。あなたは復活魔法の使い手を1人知っている。それはあなたの姉、イブさん、そうよね?」

「!」

「そしてあなたの姉は、」


これこそこの国の歴史の真実。彼女の姉がいかにこの国を思っていたかを示す事実。


「イブさんは、この国で聖女と呼ばれる人物、その正体。そうでしょう?」

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