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クリスマスの予定


 いつもと同じ部屋、同じ時間、同じ朝を迎える。

そして同じように仕事に行き、帰ってくる日々の繰り返し。


 文化祭の翌日、成瀬さんは普通に仕事に来て、いつもと同じように話してくれた。

雅も特に変りなく、いつも通り。

俺が気にしすぎなのか?


――


 そして今日も講義の合間にパソコンの組み立て。

最近世間ではオンラインゲームが流行っているらしく、うちの店でもゲーム特化パソコンを売り出すことになった。

デモで流れるモニターには一番流行っているオンラインゲームの体験版が流れている。


 組み込むパーツは高性能だがお値段も高い。

買う人いるのかな?


「あ、そのゲーム面白いよね」


「これ?」


「武ちゃんがはまってるゲーム。私もしてるけど武ちゃんはどっぷりだよ」


 以前雅から聞いたオンラインゲームの事か。

俺もやろうかと思ったけど、忙しくて中々プレイする時間が取れない。 


「先輩、まだプレイしていたんだ」


「家のパソコン、ずっとつきっぱなしだよ。それよりさ、クリスマスどうするの? 何か予定はある?」


 今のことろ特に無い。

予定を作る事もないだろう。


「もし、予定無かったら家でクリスマスパーティーしない?」


「んー、先輩に悪い気がする。今年は遠慮するよ」


 少し寂しそうな雅。

なんだろう、ちょっとだけ胸がチクッとした。


「そっか。もし、気が向いたらおいでよ。ケーキも焼くからさ」


「気が向いたらね」


 去年のクリスマス。

今頃愛はどこで何をしているのか。


 俺のせいで彼女を傷つけた。

俺が彼女の幸せを奪ったと言っても過言ではないだろう。


 今年のクリスマスは一人がいいな。

店長に話してイブとクリスマスの日はフルに出勤しよう。


 雅はバイトの時間が終わり、一人で先に帰る。

俺は残って仕事の続き。

契約社員はつらいねー。


「お疲れ様。片岡さん今日も残業ですか?」


 戻ってきた成瀬さん。

最近成瀬さんも他の店をカバーしてもらっている。

俺の右腕と言って過言ではないだろう。


「お帰り、ごめんね遠くの店舗で。大丈夫だった?」


「はいっ。初めての生徒さんも多かったですが、楽しくできましたよ」


 笑顔の成瀬さん。

本当に頑張り屋さんでいい子ですね。


「ありがとう、いつも助かるよ」


「いえ、片岡さんがいつも頑張っているから。私も頑張れますよ」


 ま、俺リーダーだしね!


「さんきゅ。じゃ、明日からのコマ割りを――」


 二人で講義室にこもり、いつもと同じように打ち合わせをする。

何だかんだ言って、付き合いも長くなってきた。


「あの、今年のクリスマス何か予定ってありますか?」


 うっ、あまり聞かれたくない言葉。


「えっと、今年は忙しいからずっと仕事かなって」


「そうですか……」


「ちょっと仕事がたまっているような気もするし、組み込みとかもまだ残っているし……」


 と言ってもクリスマス商戦に向けての作業なので、イブとはきっと暇なんだけどね。


「あの、良かったら食事だけでも行きませんか? おいしい洋食屋さん見つけたんですよ」


 さて、どう回答しようかな。

変な期待させても悪いし、断るとこの後の関係が崩れるかもしれない。

うーん、どんな回答が最適解なんだろうか……。


「じゃぁ、仕事が終わったら飯だけ。でも、仕事が終わらなかったら……」


「それでもいいですよ。本当においしいお店なんで紹介したいだけですから」


 彼女は笑顔で帰っていく。

俺の選択は間違っていないよね?


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