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救世主現る


 成瀬さんは遠くを見ながら何か考えている。

まるで魂が抜けた人形のようだ。


「成瀬さん? おーい、成瀬さん聞いてます? 今度俺と雅、それに武本先輩と温泉に行くんですよ」


 成瀬さんの目に生気が戻る。


「武本さんも?」


「そうそう。みんなで温泉に行こうかって。先輩もそろそろ来るはずなんですけどね」


「そ、そうですよね。二人で旅行いかないですよね!」


 慌てて落したスーパーの袋を手にもち、冷蔵庫に買ってきた物を入れ始める。

そんなに慌てなくてもいいんだけどね。


 成瀬さんにお茶を出し、微妙な空気の中会話もなく時間が過ぎる。

誰か、何か話そうよ。そして二人で俺を見るのはやめてくれ。

先輩、早く来てください! 俺を助けて!


「あの、台所借りてもいいですか?」


「いいよー」


 成瀬さんは席を立ち、さっき買ってきた食材を冷蔵庫から取り出し、料理を始めた。


「お話進めていてもいいですよ。ごめんなさい、邪魔してしまって」


「私も何か手伝いますか?」


「いいの、私が勝手にしてるだけだから。西川さんは片岡さんとお話しててもいいですよ」


「そう、ですか……」


 俺は雅と旅行の話を詰める。

集合時間、荷物、当日と翌日の見て回るところ。


 あー、楽しそう! 牧場でソフトクリームとか、乗馬体験とか!

このプールも楽しいそう! 流れるプールに波の出るプール。


 そして、ホテルで出されるご飯もチェック。

豪華! バイキングで食べ放題!


 しばらくすると台所からいい匂いが漂ってくる。

何作っているんだろ?


「純平、成瀬さんいつも来てるの?」


「あー、二、三回来た事あるかな? そんなに来てないよ」


「そう……。成瀬さん、いい人だもんね」


 雅もバイト先で何回も成瀬さんと話しているし、全く知らない仲ではないからなー。


「そうだねー。仕事できるし、頑張り屋だし。これで料理が上手かったらいい嫁さんになるな」


 俺は特に何も考えずに雅に話す。

成瀬さんは仕事もできるし、頑張り屋さん。

こうして俺の家に来てまで、自分にできない事をできるようにしようと、努力をしている。


「そう……。早く武ちゃんこないかな」


――ピンポーン


 来た! 救世主! 武本先輩!


「待ってました!」


 俺は台所を経由し、玄関にダッシュ。

急いで玄関を開ける。


「ごめん、遅くなった」


「待ってました! 先輩、早く上がってください! あ、荷物持ちますよ!」


 俺は先輩の荷物を奪い取り、中へ案内する。

救世主、神様ありがとう!


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― 新着の感想 ―
[一言] 先輩と雅は、各々の父母に引き取られた兄妹とか?
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