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バカな俺


 お湯も入り、優希の帰りを待つ。

洗い物だけしてから帰って来ると思ったけど、少し遅い気がする。

……何だか嫌な予感がするな。


 ちょっとだけ気になり、優希に電話をかける。

コールするけど出る気配はない。

バッグの中に入れていて気が付かないのかな?

ま、着信に気が付いたら折り返し連絡が来るだろう。


 帰ってきたらすぐに風呂に入れるよに準備して、ついでに明日の朝ごはんの仕込でもしておくか。

優希は俺の作るトン汁が好きだと言っていていたし、今から作っておくか。


 台所に立ち、朝ごはんの準備をする。

しかし、遅いな。何してるんだろ?


 大原に電話をかける。

コールしたけど電話に出ない。

おかしいな、何で出ないんだ?


 心配になり、もう一度優希に電話をする。

今度は電源が入っていないとアナウンスが流れた。

バッテリーでも切れたのかな?


 ……なぜか胸騒ぎ。

いや、そんな事無いよね?

まさか、あいつらが……。ないない。

それでも、俺の心拍数は次第に高くなっていく。

どうしよう、気になってしょうがない。


 急ぎ足で二階の大原の部屋に向かう。

ノックをせず静かに玄関を開け、ゆっくりと中に入った。


 台所には誰もいない。

部屋の中から何か声が聞こえる。


『それで、話って?』


『純君の事なんですけど、もし純君に何かあったら連絡貰えませんか?』


『どういう意味だ?』


『病気とか、怪我とか。私もずっとそばにいる訳ではないので、心配なんですよ』


『分かった。桃山は純平の事、好きなんだな』


『もちろん。将来の事も考えているし、純君もきっと私と同じですよ』


『ま、何かあったら連絡するよ』


『お願いしますね。あと、この事は純君には内緒に』


『なんでだ?』


『なんか、お節介しているような気がしちゃって』


『分かったよ。純平には話さない』


『ありがとうございます。じゃ、私は帰りますね。きっと遅いって思っていると思うので』


『そうだな。あまり遅いと、変な心配かけるしな』


 ……。俺は、結構だめな人間かもしれない。

こんなに心配されて、俺の事を考えてくれる彼女の事を少しでも疑ってしまった。


 急いで玄関から出て、自分の部屋に戻る。

しばらくすると優希が帰ってきた。


「お帰り、遅かったな」


 知らん顔してみる。


「ごめんなさい、ちょっとレポートの件で確認したことがあって」


 そんなウソつくなよ。

でも、優希の優しさを感じ取る事が出来た。


「風呂、入るか?」


「うん。たまには一緒に入ろう! その前に充電しないと!」


 優希は携帯を取り出し充電を始めた。


「切れたのか?」


「うん。さっきまでバッテリーあったのに切れちゃった」


 つながらなかったのはたまたまなだったんだ。

変なこと考えた俺がバカだったな。


 そして、俺は優希と並んでお風呂に入る。

優希とこのままずっと一緒にいるのも悪くないような気がする。

料理はうまいし、それなりに気が利くし。

何より、一緒にいて元気を分けてもらえる気がする。


 いつか未来の話。

家庭を持ったら毎日が楽しくなるだろうか。


 お互いに体の洗いっこをして、湯船につかって。

そして、今夜も一緒の布団にもぐりこむ。


「優希、俺真面目に考えてみるよ」


「何をですか?」


「優希との将来」


「ホントに?」


 優希の目が輝く。


「あぁ、いつか優希と家庭を持ったら幸せになると思うか?」


 優希はそのまま俺の上に乗っかり、唇を塞がれた。


「んっ……」


「優希……」


「私が純君の事、幸せにしますよ」


「ありがとう」


 そして今夜もお互いの体を求め合った。



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