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プロミネンス砲

注意:この作品はキラキラドキドキの乙女向け恋愛ファンタジー小説です。

 ゲームでエリュシアリアが加護を得たのは15歳だった。でもこの世界では6歳でそれを成せた。

 これは大きな収穫だ。私の行動次第でシナリオや設定が変わるということを確認できたのだから。


 戦争を止められるかもしれない。


 お母様も救えるかもしれない。


 その可能性が見えたのだ。


 これまで歴史を調べた上で、私はひいお爺様は嵌められたのだろうという結論に達した。


 確かに帝国との間にメルト共和国が出来たことで北西諸国は平和になった。でもそれは帝国の仕掛けた罠。私は共和国はセンチュリオン王国から牙を抜くためにあえて作られた国家だと見ている。


 王政が当たり前のこの世界で共和制国家。ゲームの設定といえばその限りだが、この世界に生きているのはNPCじゃない。皆血の通った人間なのだ。そこにあるものには必ず過程があって意味がある。


 メルト共和国は共和制国家だ。国民が選挙で選んだ大統領が国家元首となる民主主義を掲げているため、王制を敷くセンチュリオン王国とメルト共和国の仲はそれほど良くない。


 元々長年戦ってきた帝国の一部だったことも理由のひとつだが、最大の理由は王国で民主主義の思想が広まることを恐れた完全に王国側の都合によるものだ。帝国に対抗するために軍事同盟こそ結ばれているものの、人的交流はほとんど行われていない。その辺は帝国側にも同じ事情が当てはまる。帝国にしても共和制など受け入れられないはずだ。でも私が調べた限り、帝国は共和国にこれまで小競り合いはあっても、本格的な武力侵攻を行っていない。


 確かに帝国にも混乱はあっただろう。共和国の独立によって、帝国に侵略された地域でも多くの独立運動が起こったのだから。しかし、帝国はそれらを早々に沈静化させ、数年で国内を安定させている。まるで、予めシナリオが決められていたかのような手際の良さでだ。


 それから40年。帝国は共和国を黙認している。そんな不自然な状況も、共和国が帝国がセンチュリオンを初めとする北西諸国連合を油断させるために作られた国家だとすれば筋も通る。


 センチュリオン王国は強い。女神の加護を受け、小国だったこの国はいつの間にか大陸でも五指に入る大国になった。だけど、平和な時代となった今、センチュリオン王国の軍事力は低下し、かつて成人の6割だった加護を持つ人間も今では2割以下にまで減っている。


 これが全て帝国の思惑だとしたら結果は上々。1000年の宿敵の剣を僅か半世紀でなまくらに変えることに成功したのだから。


 当然、一部ではこの現状に危機感を覚えている者もいる。しかし、その声が広まらないのにも理由があった。


 加護を持つ兵士と普通の兵士との戦力比は3対1。集団戦となればその差はさらに大きくなる。その為センチュリオン王国との戦いでは10倍の兵力を持って五分五分。それも普通に戦った場合で、護りに入った王国を確実に攻め滅ぼすにはその何倍もの兵力が必要になるだろう。今や大国となったセンチュリオン王国と戦争ができる兵力は流石の帝国にも存在しないからだ。


 でも私は知っている。帝国は虎視眈々と兵力を増強し、北西諸国連合(メルベイユ)にスパイを侵入させ、邪魔になりそうな人物の暗殺を行っていることを。


 加えてゲームでは冥界の竜という怪物がセンチュリオン王国に現れる。


 冥界の竜は周囲の加護や魔法を無効化する、チートの天敵だ。しかも、全長400メートルを超える巨体を持つため、とてもじゃないが普通の人間では対抗できない。


 帝国との戦闘中、冥界の竜は突如センチュリオン王国に現れた。そして、冥界の竜の力で加護を失ったセンチュリオン王国は帝国に敗退。ついには滅ぼされてしまう。


 センチュリオン王国が滅びれば、他の北西諸国の国々など帝国の敵ではない。センチュリオン王国を盾に1000年以上安穏としていた国々は、帝国の兵力の前にひとたまりもなく滅ぼされ、女神の加護を受けた北西の大地は帝国の手に堕ちる。


 それがゲームで描かれた歴史(シナリオ)である。


 帝国が半世紀前から仕掛けてきている壮大な計画。私にそれを破ることは難しい……っていうか無理。


 ひいお爺様が実は嵌められたんです! とか言ったらひいお爺様大好きなお父様はどう思うだろうか?


 この平和は偽りなんです! 軍事に力を注ぐべきです! と、わずか6歳の小娘が騒いだところで誰も取り合ってはくれないだろうし、お父様と不仲になるのも避けたい。


 ではメルト共和国と仲良くして親帝国派政権の誕生を妨げ、共に帝国に対抗できるかというと、そうもいかない。


 共和国と交流したらどうなる? 間違いなく活動家を大量に送り込まれるよね? 市民に民主主義が広まるよね? 革命起っちゃうよね?

 

 私はこの国のお姫様だもん。

 革命で処刑されたりとかやだもん。


 例え帝国に負けなかったとしてもだよ? 私が幸せになれない結末など御免被る!


 それに歴史の流れを大きく変化さて、先の展開がわからなくなってしまうのも避けたい。


 私の武器はなんといってもゲーム知識だ。


 ゲームが開始される王立修学院への入学までは出来るだけ大人しくしておいた方がいいだろう。

最悪私がゲーム開始時である15歳になる前に命を落とすことになるかもしれない。


 この世界は危険がいっぱいだ。少し選択を誤れば悲惨な末路が待っている。


 トゥルーエンドへ至る道は必ずある。下手に未来を変えるよりそれを目指すのが安全で確実だ。


 女神の加護を設定より早く会得できたのは僥倖だった。幼い身体には厳しい鍛錬でも始めることができるのだから。


 トゥルーエンドに至る最大の障害。


 例え奴が……ベルフィーナが立ちはだかっても勝てばいい。


 強くなろう。ベルフィーナに余裕で勝てるくらい強くなろう。



✤✤✤



「シナリィ、起きて。シナリィ」

「んぁぁぁん……ひめひゃま……あと5分おまちくだひゃい……すぅ……」

「むぐっ、もぐもぐ……」


 私を抱き枕にして熟睡しているシナリィ。起こそうとするが、ぎゅっと抱きしめられて顔いっぱいに柔らかい胸が押し付けられる。


 まったく良いおっぱいしやがって……


 私だってずっとこの感触を味わっていたいんだけどね。


「うにゃ……ひめひゃまぷにぷにで良い匂い。パンケーキみたい」

「ぷにぷになんかしとらんわ!」


 寝ぼけたシナリィを乱暴に振りほどいて私はベッドから抜け出した。


 流石にシナリィも目を覚ましたようだが、まだ寝足りないのか鳶色の目をとろんとさせている。


 こいつこれでよく王宮侍女としてこれまでやってこれたな。


「うーん。姫様。起きたってどうせ暇なだけですよ?」

「そうでもないみたいだよ?」


 私が目配せすると、シナリィも気が付いたようだ。


「ふえ? メイラ様!? それにキャラット!」


 昼寝をする私達を見守るように、病室の中にはふたりの騎士が待機していた。


 メイラ・スコルピオ二等騎士とキャラット・アリオン一等衛士。普段はお母様の護衛を務めている女性騎士様だ。


「姫様。おはようございます」

「おはようございます。シナリィ、良いもの見させてもらったよ」


 銀色の髪をボブカットに切りそろえたメイラはできる秘書を思わせる感じの女性だ。


 眼鏡にスーツが似合いそうなのだが、彼女は全身に鎧を身に着けている。機動力を重視するセンチュリオン王国の騎士としては珍しいくらいの重装備だ。


 女性用の甲冑は胸の部分がバストサイズに合わせて盛り上がって作られているが彼女のそれは特大サイズ。

 だが、皆知っている。実際の彼女の胸が実は慎ましやかなサイズであることを。


 入隊時に先輩からの苛めで特大サイズを当てがわれて以来、引っ込みがつかなくなって使い続けているらしい。

 本人は未だに隠しているつもりでいるらしいので、皆気づかないフリをしているのだ。

 メイラの堅物なイメージとも相まって通称鋼鉄の(偽乳)女。


 キャラットはシナリィと同い年で仲が良い。

 少年のような顔立ちにふわふわのショートカット。スレンダーな体系を隠すことなく、防具も最小限。短いスカートから伸びた健康的な足が魅力的だ。剣は持たず、両手にガントレットを付けて殴りに行く闘士タイプで、室内などの閉所での護衛に適している。


 衛士というのは騎士の下位にあたる階級で、3~1等まであり、騎士補を経て正式な騎士となる。

 彼女の歳で一等衛士ならばかなり優秀といえるだろう。でも騎士団の碌でもない掟をシナリィに教えたのはたぶんこいつだ。


「ふ、ふたりともいつからそこに!?」


 シナリィがあたふたとベッドから飛び降りて、皺になったエプロンドレスを整える。


「半時くらい前でしょうか? 陛下とエルドリア様と一緒にここへ。しかしあまりにも微笑ましい様子でしたので、おふたりは声をかけることなく、私達を残して公務へと向かわれました」


 どうやら眠っている間にお父様とお母様がやってきたらしいが、私達が気持ちよさそうに寝ていたから起こさずに行ってしまったらしい。


「な、なんということでしょう……」


 それを聞いてシナリィが青くなっている。王様が来ても気づかずにスヤァしていたのだから仕方ないかな。


「姫様抱っこしたまま寝てるのを見られてしまいました。エルドリア奥様にまた虐められます……」


 ああ、そっちね。


 まあ、大丈夫でしょ?


 実のところお母様のシナリィへの評価は高い。でなきゃとっくにクビになってるよ。


 それにこの国で褐色の肌を持つ貴族令嬢は希少である。その中でも高い教養を持ち器量も良いシナリィを、王家としても囲っておきたいという思惑もあるようだ。


「まあまあ。こんな狭い部屋に閉じ込められてたんじゃ仕方ないよ。エルドリア様はそれでボク達を置いて行ったんだしさ。その場を見逃してもらえたんだから、それで良しとしようよ」


 シナリィの肩を叩くキャラット。


「メイラ様も見てないで起こしてくださればよかったのに」

「陛下が気遣ってそっとしておいたのです。私が起こすのは筋が通りません」

「そんなぁ……」


 メイラは堅物そうに見えて本当に堅物のようだ。流石鋼鉄の(偽乳)女。

 

「そういうことですのでどこか行きたいところはありますか? 3時の鐘が鳴るまでは城内を自由に案内するように仰せつかっております」


 堅物ではあるが無表情なわけではない。私を見るメイラの顔は優しい。


 すかさず私は答える。


「地下迷宮!」


 城の地下に広がっている地下迷宮。城に努めている人間ならば噂くらいは聞いたことがあるだろう。噂だけで誰も実際あるとは思ってないだろうけど。


 実は本当にあるんだよね。ゲームの知識で私はそれを知っている。


 下手するとスライムに溶かされたり、触手でひどい目にあったり、転がってくる石に潰されたり、出られなくなって千年後に骨になって発見されることになったりするけれど大丈夫。攻略法はちゃんと覚えているから!


 地下迷宮には古代文明の遺産が眠っている。今からそれを見つけられればこの先役に立つかもしれない。恐らくだけど冥界の竜に対抗するための何かがあるんじゃないかと思ってる。


 ノーマルエンドまでだとこの辺の伏線回収できてなかったから、確かなことは言えないけれど。


 目を輝かせる私にメイラが困った顔をする。


「申し訳ありません姫様。出来れば我々が知っている場所だと助かります」

「というか、そもそもそんなのあるんですか?」


 ふーむ。確かにここで地下迷宮の事を明らかにすると面倒になりかねないか。

 仕方がない。地下迷宮は私がもう少し成長してから確認しよう。


 私が地下迷宮行きを断念するとメイラは少し安心した顔をして、キャラットは残念そうな顔をした。

 

「姫様! カフェテラスに行きましょう! あそこのパンケーキがとっても美味しいんですよ」 


 シナリィ、君は本当に乙女だね。

 時間を聞くと、11時の鐘が少し前に鳴ったところらしい。まあ確かに昼食には良い時間だ。


「そうですね。キャラット。先に行って席を確保してくれるか?」

「了解しました!」


 私が了承するより先に、キャラットをカフェテリアに向かわせるメイラ。私が変な事言い出さないいうちに行先を決めてまう腹積もりだろう。シナリィになにやら感心したような視線を送っているが、そいつは単に自分の願望を言っただけだぞ?


「シナリィ様。今のうちに姫様の御髪を整えましょう」

「そ、そうでした。姫様、せっかくですので今日は三つ編みにしましょうか」

「や。しっぽで」

「もー、せっかくのお城デビューですよ?」

「しっぽで」


 王宮の外で遊ぶのは初めてだ。だからこそポニテ以外ありえない。


 3年間続けてきたいつものやり取りをメイラは微笑ましそうに眺めている。


 ちなみにだけど、近衛騎士の立場は侍女より上だからこの場のリーダーはメイラだ。でもメイラは平民の出身の為、身分の上では貴族令嬢であるシナリィの方が上である。そういえばキャラットは男爵家の末娘とか言ってたっけ?


 この世界の序列を語ると本当にややこしい。


 せっかく持ってきてくれたワンピースは寝てる間に若干しわになってしまったが許容範囲内。シナリィは髪を櫛で手早くといて整えると、頭の上で束ねた髪をリボンで結んで完成だ。


「さあ行きましょう姫様! バターと蜂蜜が私達を待っていますよ!」

「お、おう……」


 にこにこ顔のシナリィに背を押されて、私達は病室を後にする。


 カフェテリアで食べたパンケーキは確かにとても美味しかった。



✤✤✤



 食後はシナリィおすすめの乙女スポット……ではなく、私の希望で騎士団の訓練場へと向かった。


 今朝私が黒焦げにした訓練場はすっかりきれいになっていた。そこでは、昼休みを終えた騎士達が各々自主的に訓練に励んでいるようだ。ざっと見ても100人以上。気合の入った掛け声と、打ち鳴らす剣戟の音が訓練場に響き渡る。


 本物の騎士が剣を振るう姿を見て私は感動していた。


 中でもひと際派手なのが、上腕筋自慢のテイラーとハーマンのふたりだ。自分の身体より大きな剣を振り回す彼等の打ち合いは大迫力で、全身が痺れるかのような轟音が響き火花が散る。


 若い準騎士に稽古をつける剣聖ゼファード。


 大臀筋のクラプトン、大胸筋のウィル、皆輝いて見えた。


 ……格好良いじゃないか。不覚にもそう思った。


「おー、皆気合はいってるっすねー」

「姫様が見ているのです。当然でしょう」

「そ、そうっすねー」


 キャラットによると、普段のこの時間はここまで盛況では無いようだ。でも本当は私よりも一緒について来ているシナリィのせいじゃないかと思っている。


 私は知っている。あいつらはおっぱいが大好きなのだ。


 キャラットは気付いているのだろうが、メイラの手前何も言わなかった。


「剣に興味がおありですか?」


 メイラに聞かれて頷く。するとメイラは練習用の剣を一振り持ってきてくれた。


「姫様にはまだ大きいですが、加護の力があるならば振ることはできるでしょう」

「わあ! ありがとうございます!」


 礼を言って剣を受け取る。


「刃は入っていませんが、それ以外は真剣と変わりません。気を付けて扱ってください」


 メイラの言う通り、真剣と同じ素材で出来ているため身体強化無しだと持つことも困難なくらい重い。私は『バーニングマッスル』を発動して構えると、少しだけ振ってみる。

 私の体重が軽いため、全身で踏ん張らないといけないから辛い。


 メイラが感心したように声を上げる。


「様になっていますね。どなたかに教わったのですか?」

「いえ、見様見真似です」


 護身術で短剣の扱いは多少習ったが、本格的な剣術はまだ習っていない。ゲームで見たエリュシアリアのモーションを身体強化にものを言わせて形だけ真似ているだけである。


 メイラに褒められて調子にのった私は、前世のアニメやゲームで見た幾つかの技を形だけ真似てみる。


 なんとか御剣流とか、ほにゃららの呼吸とかそういうの。


 その中の幾つかはメイラが目を見張るようなものもあったようだ。


 そういえば()()も使えるのだろうか?


 ゲーム中最大火力を誇ったエリュシアリアの必殺技。その名も『プロミネンス砲』だ。


 聖炎を凝縮しプラズマウェーブとして撃ち出す魔法で、威力がありすぎてあまり見せ場はなかったが、撃てば城塞を容易く吹き飛ばす程の威力がある。さながら太陽から吹き出すプロミネンスのようにみえることからその名が付けられたと思われるが、何故この世界でそんな名前が付けられたのかは謎だ。


 対ベルフィーナ戦のミニゲームでも再現されていたのだが、チャージから発射まで時間がかかり、しかも、一撃でもくらうとキャンセルされてしまうという鬼畜仕様でまず使えなかったという、非常に残念な必殺技だった。


 確か撃つ前はこんな感じで……

 剣を上段に構える。




 あまりにも迂闊だった。


 『プロミネンス砲』の威力を知りながら、私はその場で試そうとしてしまった。


 ゲームのエリュシアリアより早く加護を会得出来たことで、将来起こりうる滅亡エンディング回避の希望が見えた私は完全に浮かれていたのだ。


 その迂闊さが私の今後を大きく変えることになる。


 この世界と、多くの人々の運命を巻き込みながら……




≪プロミネンス砲発射申請を受諾しました≫


 その瞬間。時空の裏側にいる何かが私と繋がった。


≪プロミネンス砲仮想バレル形成。本体システム、FCS無効の為、アスラネットワークサービスより音声ガイドを開始します。ヒステリックエンジンアイドリングモードを解除、プロミネンス砲に接続しました。ナノフレアのチャージを開始します≫


 機械的な声が頭の中に直接入ってくる。加護を得た時にも聞こえてきた音声ガイドだ。


 そして次の瞬間、爆発が起こったかのようなとんでもない量のエネルギーが私の中に流れ込んできた。


 だ、駄目!! そんなに!? 無理無理無理!! 大きい、大きすぎるよ!!


 膨大な力を前にして私は恐怖する。その時には私の意識は完全に萎縮し、正常な判断はできなくなっていた。


 それでも、力の流入は止まらない。音声ガイドも止まらない。


≪ナノフレア充填完了。疑似荷電粒子へと変換します。射撃モードを対物限定(ノンリーサル)に設定します≫


 ちょっと待って!? 荷電粒子って何!?


 絶対やばいよこれ。キャンセルってどうするんだっけ!?


 確か『プロミネンス砲』のコマンドは↑←↑+アタック長押し……


≪最終セーフティーロック解除されました≫


 わぴゃあああああ!!!!!


「姫様!? どうされたんですか姫様!?」


 メイラさんの声が聞こえる。そうだ、殴るんだ。確か『プロミネンス砲』はぶん殴られると止まるんだ!


「あ、私を殴っ……て、早く……」

「姫様!? 何を言ってらっしゃるのです!? 姫様!?」 


 眩いほどの光を放ち、聖刻(タリス)から噴き出た聖炎が振り上げた剣に収束する。異常に気が付いた騎士達が駆け寄ってくるのが見えた。


 ああ、駄目だ。もう事情を説明する時間はない。


「駄目……逃げて……皆……」


 かすれた声は届かなかったようだ。しかし、彼等は王家に仕える騎士。聞こえていても逃げる者はいないだろう。


≪照準を自動固定、耐ショック、耐閃光フィールド展開≫


 身体が熱い、熱いよ……でも駄目。ここでこんなの撃ったら皆をまきこんでしまう!


 けれど人の手に余る巨大な力を抑えていられたのは僅かな時間だけだった。


 ……あっ、もう限界。


≪発射≫


 金色の炎が視界を埋め尽くす。


 あーあ。やっちゃった。

補足。

帝国ではセンチュリオンの兵士ひとりを倒すには3人で五分五分。倒すには最低でも5人以上必要。1000人のセンチュリオン兵を相手にするには最低でも1万の兵力が必要という考え方がされています。


読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 誰もがサイズについて複雑なものを持っているか、持っています、ハハ。 私はこの新しいキャラクターが好きで、特別なスキルの移転は楽しいです。 城がまだ残っていることを願っています。
[一言] 作者さん、更新はお疲れ様です! 加護の力は攻めに使えないかぁ、確かにそれで平和ボケに成ったら負けそうですね。 でも、主人公さんにはマジかなり難しいですね。。。唯でさえ影響力が足りない、而も派…
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