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前書
妖。それは人知の及ばぬ魔界の存在。遥か昔から、彼らは人の世に生まれ、人の心身を我がものにせんと、人の与り知らぬ処で虎視眈々と生きていた。己の毒牙に獲物がかからんと爪を隠し、唾を呑み込んでいた。
鬼人。人であって人でないもの。妖と同じく魔界で息をし、古より独自の異能、【鬼道】を磨き、数多の妖を屠り、人を守り、人の与り知らぬ処で天網恢恢と生きていた。
異形と異形、天敵と天敵…これは我々人が与り知らぬ処で、二つの種族が交錯し、やがて如何な結末を辿ったかまでを綴った奇譚である。………否、ここでは敢えて、こう記そう。
〝鬼譚〟。