雨の庭
雨が降っており、冷たい風が心地良い。
夜の闇に電灯のあかりが浮かび、絵画のように、ロマンチックに
演出された街を窓から見れる。
外に出て散歩したいものだと、つよく思う。
傘を持ってぴちゃぴちゃ言わせながら脚を進ませた。
「風がこんなに気持ちいいなんて、なあ」
楽しくなって、つい時間を費やしすぎた。
家に帰って寝なくては。自宅マンションの向かい、
古民家の瓦屋根、雨水をいきおい良く落とす。
バケツが音程を奏でる。
ぽんぽんたん、聞こえるメロディーが耳に残り、
布団に入ってから眠るまで、何度もループして思い出した。
忘れられぬ程にぐっすり寝た。たいした出来事は無かったが、
その雨の夜を鮮明に覚えている。