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フラスコの中の呪怨




少々取り乱していたようだ、すまないね。


あまりに暇だと急に叫びたくなることがあるだろう?あれだよあれ。

見苦しい姿を晒してしまってこちらも恥ずかしい限りだ。


さて、なんの話だったか。

知識があっても行動に伴わなければ意味が無いとかそんな話だった気がするが……まぁ忘れてしまった話は仕方がない。


此処は素晴らしく暇な上に、誰もいない場所。自らの思考の推移など記憶するだけ無駄なのだ。


そしてまた時間は過ぎていく。


……そろそろこの空間にも変化が欲しいものだな。こう毎度同じ景色だといい加減気が滅入りそうになる。おおそうそう、その忌々しいライム色が薄くなるだけでもいいんだ。とにかく変化さえあれば


…………………待て、なぜ変わるんだ?



混乱している間にも薄緑のカーテンはどんどんと剥がれていく。視界が通るに連れて周りの景色も徐々に把握できるようになっていく。


そう、景色だ。

私は今までこのライムグリーンの空間はどこまでも広がっているのだろうと考えていた。だがそれは酷い勘違いだったらしい。


感じたのは希望と困惑、そして絶望と怒り。

どうやらこの体には視覚が存在していたようで、自分が今どこにいるかも、どんな状況にいるかもくっきりと見えてしまうのだ。


私は大きな部屋にいる。


野球場一つなら楽に収まりそうな大きさの床に、視界に収まりきらない天井。

丸い部屋の中には何に使うかもわからないような仰々しい装置が所狭しと詰められ、今も回転と蠕動を繰り返している。その様は装置が現役であることを容易に想像させる。

そして部屋の壁際、そこもまた蒼銀色のよく分からない装置に覆われた壁とその周上には、ガラスで出来ているのだろうか?透明で巨大なカプセルが等間隔に配置されていた。


そして問題はその中身だ。

見たところチューブの中の様子は二種類に分かれている。

無色のゲル状物体とそれに包まれた悍ましい肉塊。

そしてもう一方はパンパンに詰められたライムグリーンの液体だ。


………ライムグリーン

そう、ライムグリーンだ!

見紛う筈もない、吐き気を催す程の時を共に過ごした、今になって忘れることなどあろうものか!!!

ああクソったれ、最悪だッ…これ以上は考えたくないそんなバカなことがあってたまるかダメだ状況証拠から類推するなまだ何も確証はない、そうだ何も証拠がないじゃないか!

だからそう、これはただの妄s



コツ、コツ、コツ


靴が硬い金属を打つ音が聞こえる。


コツ、コツ、コツ


まさかそんな


コツ、コツ、コツ


やめてくれ


コツ、コツ、コツ


その白衣はなんだ?


コツ、コツ、コツ


足音が私の収まる硝子の前で止まる。

答えろ、女

白衣を着た女性、人間だ。

ああ

ボサボサの長い黒髪と保護メガネが特徴的。

おまえか

硝子の前でタブレットに何か打ち込んでいる。

おまえが私を

つまりはそういう事なのだろう。

私に地獄を

見させたのだろう。

けっして

けっして。

許さない

顔は目に焼き付けた。

殺す

例え此身が塵と為れど。

どこまでも

いつまでも。

お前は絶対に




「おはよう検体077、愛しい我が子よ。目覚めの気分はどうかな?といってもこのモデルに自我は無んだけどね、ハハ!」




死ね。

果てし恩愛の絆






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