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URLから始まるデスゲーム!  作者: ねぎとろ
4章 堕天使のお気に入り

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78話 ここに居る謎

 70階層をクリアした後も俺たちはエデンの塔を変わらず登っていた。


 もちろん、三人でボスに挑むようなことはしない。


 ボス部屋を見つけるまでは三人で行動し、ボスを見つけて他の攻略者たちに知らせる。


 それを利用して俺達がクリアしたのは74階層、76階層、77階層、78階層だ。


 やはり大規模な攻略ギルドがあるためか、俺達がボス討伐に参加出来ないこともあった。


 やはり徐々に徐々に人が殺されて減っていくが、それでも最近では死んだ人数も少ないだろう。


 だが、今回の攻略階層、78階層だけは様子が違っていた。


「この部屋、ここだけか?」


「そう……みたいだね」


「この気配やだなぁ……」


 確かに、ヒマワリの言う通りこの部屋の気配は異様なものだった。

 78階層はボス部屋を見つけるまでもなく、今俺達がいる一部屋だけである。


 もちろん、周りでも困惑している攻略者たちが多数いた。


「どうなってんだよ……」


「ボスだけの部屋なのか?」


「扉がないってことはいざってなったら帰れるってことでいいのかなぁ……?」


 周りの人も皆パーティーないなどで話している。


 だが、少しの間騒々しかったこの部屋も突如として静寂へと変わる。


 それは、この部屋から出る2つの扉の一つの前に現れた存在のせいだ。


 もちろん、それはここから進むべき道である扉の前だ。


 辺りに煙を撒きながら、上から降ってきたソイツは俺達が、いや、この場にいる人達が驚愕する姿をしていた。


 天井が高い部屋から勢いよく降りてきたソイツの背中には白とも言えないような薄汚れた翼が生えていた。


 その時点で充分俺たちは驚いている。

 この世界に天使という存在と堕天使の存在を知っているプレイヤーがどの程度いるのか分からないが、天使に似ている生物が出てくれば驚くだろう。


「なんで天使がここに……」


「エンマ!警戒を解いちゃダメよ! あいつ、襲ってくるわ!!」


 今思えば、この時からヒマワリの様子が変だったかもしれない。

 普段なら何かしら喋るヒマワリが喋らないのだ。


 だが、その変化にこの時の俺は気付かなかった。


『嫌だァァァァァァァ!!! 私は死にたくないんだァァァァァァ!!!』


「やべぇ!来やがった!!」


「みんな! 迎撃準備!!」


「「「了解!!」」」


 低空飛行しながら猛スピードでこちらへと突っ込んでくる天使の全貌が徐々に見えてきていた。


 理性を失くしたこいつの服や羽は近くてみれば分かる通り、血塗れだった。


 どうして監禁されてる筈の天使がここに居るのかという疑問もあるが、そんなことよりも今はこいつに対して迎撃するのが優先だ。


『私に攻撃するなァァァァァァァァ!!!』


 低空飛行しながら天使は雄叫びを上げていた。

 それに恐怖を覚えた人が何人も居たのか、武器を手に持っていた複数の仲間は武器を落とし、戦意喪失してしまった。


「これはやべえかもな」


 既に俺たちは三人で分かれ、迎撃体制に入っている。


「私たちの魔法を食らいなさい!!!」


 攻略者たちが天使へと魔法を放つが、魔法防護、いや、魔法バリアのような盾で全方位を防いでいた。


「これが天使の力か……」


 今現在も、シズクもヒマワリは魔法を放っている。


 俺のような近接戦闘をするものは、突っ込んでくる天使を抑えるために武器を構えているのだ。


 少しだけ横を見れば、やはり怖いのか足が震えている人がいた。


 そんな時だった、戦意喪失していた者達目掛けて天使が高威力の魔法を放ってきたのだ。


「マジかよ!! 聖騎士魔法Lv.4『シールドウォール!!』」


 俺は咄嗟に魔法を発動し、仲間へとシールドを貼る。

 だが、それも気休め程度にしかならないようで、魔法はシールドを破壊し、仲間へと直撃した。


 幸いにも、死にはしなかったようで、気絶していた。


『私は……殺さない……から……早く!!! 逃げて!!! ダメ!!!! 早く! 嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ、頭がァァァァ!!!』


 天使は理性を一瞬だけ取り戻したのか、立ち止まり、俺たちへと逃げるように警告した。


 だが、脳が恐怖で締め付けられるのか、頭を抱えて苦しみ出している。


「こいつやっぱり魔法が効かないよ!!」


「どうするんだよ!!!!」


 魔法が全く効かず、体力が一向に減らない敵に対して、攻略者たちは困惑しつつ、リーダーとなる人物へと声を上げていた。


「───私が前へ出よう」


 リーダーとなる人物。以前会った記憶はあるが、名前までは俺の頭の中になかった。


 リーダーはみんなより先頭へと出て、天使を眼前に捉えて走り出した。


「俺も行かねえとな……!」


 リーダーの後に続くようだが、俺も天使へと走り出した。


「我が攻撃を受けるがいい!!」


「まずは防御力からだよな! 剣技スキル『アーマークラッシュ!!』」


 俺とリーダーは同時に攻撃した。

 だが、お互いのスキルは見事に天使に躱され、むしろカウンターを決められてしまったのだ。


「こいつ、近接も出来んのかよ!!」


「諦めるな! 二人で挑めば隙は生まれるはずだ!!」


 リーダーは俺に声を掛けながら必死に攻撃していた。

 確かに、俺よりリーダーの方が強い。

 レベルもだし、剣の腕も上かもしれない。


 そんな上の人が天使一人にボコボコにされてるのだ。

 俺も応戦するがやはり勝てない。


「隙がねえな……」


「ハァハァ……これは強敵だ……」


 二人ともカウンターのせいでHPは減ってきている。

 だが、俺達がここまで戦っているのを見ていた人達に少しだけ変化が起きていた。


「俺らも戦えば勝てるんじゃね?」


「私らが魔法で援護するよ!!」


 俺とリーダーだけで戦っていたはずが、いつしか気絶しているものを除いてみんなが援護してくれていた。


 だが、何故かヒマワリだけが何もせずその場に立ち、天使を見ていた。

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