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URLから始まるデスゲーム!  作者: ねぎとろ
4章 堕天使のお気に入り

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72話 崩れ始める繭

 モンスターが動き出し、俺たちの前へと突撃してきた。

 大きい巨体を振り回し、ムカデのようにクネクネ動くものだから、避けるのにも精一杯だ。


「エンマ! 鑑定で弱点探れない!?」


 現状避けることしか出来ていない俺たちの動きを変えるために、ヒマワリが鑑定を提案してきた。

 確かに、この巨体故に攻撃は当てやすいが、その分体力も多い。


 弱点を探るのが一番だった。


「おっけー! やってみるわ!」


 俺はムカデを標的に定め、鑑定を開始した。


『変異個体:百足ムカデ』


 ステータス:???


 スキル:足再生


 弱点:???


 結果的にいうと、鑑定は特に意味はなかった。

 弱点も分からず、名前もよく分からない。唯一分かったのはスキルのみだ。


「エンマ! どうなの!?」


「早く教えて! こいつの動きを止めなきゃ!!」


 ヒマワリとシズクが避けながらも急かしてくる。

 そう言われても、鑑定はほとんど意味がなかったのだ。


「すまん! 鑑定で分かったのはスキルだけだ! どうやら足が再生するらしいぞ!」


「嘘でしょ!? ならどうやってこいつの動きを止めるのよ!」


 俺たちは避けながら故に叫びあっていた。

 幸いにも、未だノーダメージなのは運がいいからなのかもしれない。


「とりあえず私が足を攻撃してるよ! 再生するとしても、少しは止めれるだろうし!!」


 ヒマワリが動きながら魔法を放っていた。

 流石にヒマワリ一人にやらせる訳にも行かず、俺とシズクも同じように避けながら攻撃というのを繰り返していた。


「こいつ、再生するの遅いぞ!!」


 俺達が破壊した足は数本あった。

 所詮はスキルで再生すると思ったが、どうやら体が大きすぎる所為なのか、再生が遅いらしい。


「ヒマワリとシズク! 片側の足を狙え! この大きさなら支えるのに片側だけじゃ無理なはずだ!!!」


 シズクとヒマワリに俺が思いついた作戦を伝える。

 現在、両方の足を削っているが、再生が遅いこと、それに加えその巨体なら片側の足さえ破壊すれば倒れるだろうという考えだ。


「はーい!分かったよ!!」


「やってみるわね!」


 そして、俺たちは少しずつ少なくなっていく足に対して変わらずに攻撃を続けた。

 案の定、片側の足がほとんど無くなる頃に、ようやく最初にダメージを与えていたもう片側の足が復活していた。


「これで倒れろ!!」


 残り一本の足に全力の攻撃を加え、引きちぎる。

 骨ということも関係するのか、一本一本の足に結構な体力ゲージがあるのだ。


 ここまで足を無くすのに相当MPも使っただろう。


 だが、その苦労も実を結び、モンスターは自身の体が支えきれなくなり、横へと倒れた。

 再生に集中しているのか、動くこともなくなり、格好の的となったのだ。


「二人とも! 畳み掛けてくれ!」


「了解!!」


「この時を待ってたわ!」


 シズクとヒマワリが待ってたかのように、怒涛の攻撃を繰り出していた。

 倒れている間は体力の減り方が普通の時よりも2倍以上だった。


 こうして、モンスターが倒れている間、俺たちは攻撃を続けて、モンスターの残り体力が3分の2程度になったところで、こいつは足を復活させた。


 再生能力を駆使し、いっぺんにほぼ全て再生させたのだ。

 と言っても、限度があったのか、ちらほら無い足や、すぐに壊れそうな足もある。


「よし! もう一回足を削るぞ!!」


「これ続ければ勝てそうだね!!」


「いえ、ヒマワリちゃん。安心するのは早いわ。なんとなくだけど、こいつはまだ真の力を隠してる気がするの。だって、こんなに70層のボスが簡単なわけないじゃない」


「そうだな。警戒はしといた方がいい」


「はーい……それじゃ、また三人に分かれなきゃね!」


 一旦集まっていた俺たちは、モンスターが立ち上がりこちらを見たと同時に分散した。


 そして、モンスターが突っ込んでくると思っていた俺は、こいつの予想外の行動に驚きを覚えた。


「こいつ……自分の足で体を囲んでる?」


 全く良くわからない。

 ヒマワリとシズクも呆然としているのだ。


 なぜなら、モンスターはまず丸くなり、自身の足を無理やり曲げては体に巻き付けているのだ。

 色々曲がる音や聞きたくない音も聞こえ、そして、遂にモンスターは繭のようになってしまった。


「どうなってんだよあいつの体……」


「あれは、謎だね……」


「でも見て! 自分の体を無理に使ったからなのか、体力が半分になってるわ!」


 確かに、モンスターの体力は元々の半分になっていた。

 だが、嫌な予感がするのだ。


 あの繭が破れた時、このモンスターとは比較にならないほどの化け物が出てくる気がしてならない。


「俺たち……死なねえよな……」


 ボソッと呟く俺の声には誰も反応しない。


 二人がある一点を集中して見ているからだ。


 そう、世界が崩れるように、俺たちの目の前で骨の繭が崩れ始めていた。

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