7話 会いたくなかった敵
オオカミ達から見事逃げ切ってから数分後。
俺達は既に歩き出していた。さすがに止まっているわけにいかない。段々とお腹も空くし、喉も渇いてきている。このままじゃ餓死するかもしれない。
「なぁ、お前のステータスってどんな感じなんだ?」
俺はふと思った。他人に自分のステータスを見せることが出来るのか。それとも、鑑定のレベルを上げなきゃいけないのか分からなかったからだ。
「あー。うん。多分、ステータスは他人に見せられないと思う。なんかのスキルあげれば見れると思うんだけど……」
俺は確信した。多分、これは鑑定のレベルだろう。試しに、俺はヒマワリだけを集中して見つめ、鑑定する事にした。また変なものまでいっぱい見る訳にはいかないからな。
「ちょ、そんなに見ないでよ……」
なんか照れてるが気にしちゃいけない。
俺の鑑定結果は悲惨なものだった。やはり、まだレベルが低いのだろう。
名前:ヒマワリ
レベル:2
こんだけだった。確かに、レベルが見れただけマシかもしれないが、もう少し詳しく知りたかった気持ちもある。
「あ、ちょっとすまん。自分のステータスを確認してみるわ」
ヒマワリが退屈そうにしてたが、俺は自身のステータスを見始めた。前に、色々スキルを取得してから、気になっていたのだ。
『ステータス』
名前:エンマ
レベル:3
所持金:0マニー
HP:36
MP:14
スタミナ:10
STR:20
VIT:21
DEX:8
AGI:16
INT:10
LUCK:14
CHARM:0
武器:ブロードソード
頭:
胴:皮の服
腕:
腰:皮のズボン
足:皮のブーツ
アクセサリー:
スキル: 【ソードスラッシュ】 【鑑定Lv.2】【痛覚耐性Lv.1】【挑発Lv.1】
称号 :
能力振り分けポイント:50
使用可能スキルポイント:100
取得可能スキル:【ソードブレイク】
うーん。そうか、ステータスは振り分け式なのかぁ。どうしよっかなぁ……
「どうでした! レベルは? スキルとか新しいのありましたか?」
俺が悩んでいると、ヒマワリが俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。若干ドキッとしたのは内緒だ。
「あぁ、一応レベルは3で、特にこれといってスキルは変わってないかな。しいていえば、痛覚耐性があったのが嬉しかなって感じ」
「おおっ!良いですね! 私も欲しいです!」
「殴ってやろうか?」
「……遠慮しときます」
なんだったんだろう少しの間は。もしかして、この娘実は、Mなんじゃ……そんな事を思いながら、俺はステータスを閉じた。結局、能力値振り分けは後日にすることにしたのだ。まだよく分からない時に無闇に振るのは良くないかもしれないし。
「あ、そうだ。とりあえずさ、俺鑑定のレベル上げするから、ちょっとそこどいててくんね?」
「鑑定持ってたんですか!? 私もあれ欲しかったんですけど、スキルポイント1万とか言われて……って、どうやって入手したんですか!?」
俺はその言葉に驚きだった。鑑定が一気に読み込みすぎて頭が痛くなるから簡単に入手出来ると思ったのに、まさか人によって入手難易度が変わるとか思わなかった。
「い、いや、俺の時はなんかスキルポイント100で入手出来たんだよね……あはは」
「なんて羨ましい! ほんと羨ましいです!私も欲しい!」
「いややめといた方がいいかも……これ、頭痛くなるよ」
「えっ……じゃあいらないです。エンマさんがいれば鑑定する必要なさそうだし」
「手の平返し早いなぁ……」
会話も終了した所で、俺は鑑定を始めた。もちろん、また鑑定結果は凄いことになった。
『鑑定中。鑑定完了。鑑定結果。
『虫』『虫』『虫』『虫』『木』『草』『虫』『動物』『虫』『虫』
鑑定レベルが3になりました。詳しく見ることができるようになりました 』
俺が必死に耐えながら、頭に色々な情報を詰め込んでいると、倒れそうになっ直後にレベルが上がった。
どうやら、詳しく見れるようになったらしい。どうゆうことが分からないが……
『鑑定結果『虫』』
ふとした瞬間だった。鑑定をやめる直前に一回だけ虫という情報が入ってきた。すかさず俺はその虫を詳しく調べる事にした。
『詳しく鑑定。鑑定中。鑑定完了
『虫』:あらゆる所にいる生物』
「適当かよ!!!」
「ふぇ? どうしたんです急に! ビックリするじゃないですか! なんか一人で難しい顔してるし!」
「いやな、鑑定すると集中するんだよ。頭に鑑定中だかのアナウンスっぽいの流れるし、はぁ、ってか、鑑定がいつ使い物になるかこれじゃ分からんなぁ……」
「……あわわわわ……嫌ぁぁぁぁぁ!!!」
何故か会話の途中だってのに、俺の後ろの方を見て、震えながらヒマワリは走り出してしまった。
もちろん、俺もその後ろからとりあえず追いかける。
「ちょ、俺の顔みて嫌とかなんてこと言うんだよ!」
「違いますって!後ろ!後ろ!」
「えっ? 後ろ?」
俺が振り向いた時、俺の前には紫色の日本にもいる生物が俺達を追いかけていた。それも、大きな牙を見せながら。
「ぎゃぁぁぁぁ!!ちょ!無理!こいつは無理!ムカデとか聞いてねえよ!!」
「その名前出さないでくださいよ!!ってか、男なら何とかしてください!」
「無理だろ!デカすぎるって! キモイキモイ!」
俺達が走っていると、巨大ムカデも俺達を食べるために追いかけてきていた。まだレベルの低い俺たちじゃ敵いそうもないこの状況で逃げるのは最も有効な策だろう。
と言っても、もう俺達には逃げ場はないみたいだが。
「エンマさん。私、虫に食われて死ぬのは嫌です」
「奇遇だな。俺も嫌だ」
「ってことは、やっぱり殺らなきゃですよね」
「そうみたいだな。いっちょやってやるか!」
「援護は任せてください!」
こうして、行き止まりに追い詰められてしまった俺達は、歯をカチカチ鳴らしている巨大ムカデと戦うハメになってしまったのだった。