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URLから始まるデスゲーム!  作者: ねぎとろ
3章 記憶のない天使
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56話 大切な仲間

 天使がプレイヤーを召喚した時、俺の意識は元に戻り、気付いたときにはまた神殿内へと戻っていた。


『あとは君たちが決めることだよ……』


 脳内に声が響き、俺の目はバッチリ覚める。

 そして、俺は考え出した。


 どうすれば良いのか。この世界の真実を知ってしまった今、俺はなにをすれば良いのだろうか。

 果たして本当に攻略してしまうことが正しいのだろうか。分からない。


 俺たちのクリア目標は、エデンの塔攻略だ。


 即ち、それは神を殺すこと。だと思う。


 そうすると、もう二度とこの世界に守るものは現れない?

 なら俺たちはクリアしていいのか?


 俺達が居なくなって対抗出来ずに人がどんどん死んでいくのはいい事なのか?


 元の世界に戻りたい。それは事実だが、この世界の人々を見捨てていいのかと言われれば良くないと思う。


「あれ? エンマ? なにしてんのこんな所で」


 近くからヒマワリの声が聞こえ、思わず顔を上げる。


 そして、気付いたことがあった。

 今の今まで、まだ俺はあのスクリーンの一本道に居ると思っていた。

 だが、何故か今の俺がいるのは、全然違う場所。


 それに、あの脳内に喋りかけた奴が転移させたのか、目の前にはヒマワリとシズクがいる。


「どうしたのー?」


 目の前でヒマワリの手が揺れている。


「どうせいつもみたいに考えてるだけよ。ちょっと一発殴ればすぐ気付くわ」


「そう? んじゃ、エンマ。ちょっとだけ我慢してね」


 シズクの言葉を信じ、ヒマワリが拳を振りかぶって、俺へと放とうとした瞬間に、俺はヒマワリを止めた。

 さすがに殴られるはシャレにならないしな。


「おっ。やっと起きたか〜! 殴らなくて良かった!」


「ホントだよまったく……幾ら魔法が得意なお前からでも殴られたらいてぇからな。それにシズク。お前、殴れとか言うなよ。せめてビンタにしろ」


「えっ? ビンタならいいの? ちょっと待って、殴らないはわかったとして、ビンタは良いってどういう事よ」


「ひょっとして、エンマって実はM?」


「うっせえ! ただどうせ痛みを味わうならビンタの方が痛くないと思っただけだわ!」


「良かったわ。あなたがMだったら全力で殴ろうかと思った所だった」


「うんうん。良かった。私もちょっとエンマのこと蹴ろうかなとか考えたもん!」


「お前らSすぎるだろ! 怖いわ!」


 俺の声が神殿へと響き渡り、シズクとヒマワリは大爆笑した。


 そして、座っていた俺をシズクとヒマワリが起き上がらせてくれて、また俺たちは神殿内を探索することとなった。


 今度は離れ離れではなく、みんな一緒に。


「ねぇねぇ。そういえばなんでエンマはあそこに居たの?」


 ヒマワリの純粋な疑問だろう。

 正直に俺が見た映像の内容を言うべきか迷ってしまう。

 シズクやヒマワリがどういう返答をするか分からない今、本当に言うべきなのだろうか。


「そうだなぁ。まぁ、ちょっとこの世界について知っちゃった的な感じかな?」


「なによそれ。詳しく聞かせなさい」


「うんうん! 面白そうだし聞かせて!」


 俺が変なことを言ったせいで、結局の所二人にもこの世界の真実を教える事となった。


 一度立ち止まり、周りにモンスターがいないことを確認した俺は、二人へと映像の内容をすべて話した。

 あとは二人次第だろう。


「ふーん。ま、そうね。確かにこれは考えちゃうわ。私たちがクリアしたらこの世界は崩壊。そして、また新たな犠牲者が来るわけでしょ?」


「まぁ一応そうなるな。と言っても、俺達がここにずっと居るのもアレだし。ってか、俺は妹のためにも元の世界に戻りたいしな。この世界を犠牲にしていいかって言われると考えちまうが」


「ま、私はエンマの答えに着いてくよ。私さ、正直、この世界でも、元の世界でもあんまり人と関わってなかったんだ。でもね、エンマだけがあの時一緒に居てくれて、今も一緒に居てくれてる。だから、私にとってエンマが進むべき道が私の道だと思ってるの……やっぱりキモいかな?」


 ヒマワリはちょっと照れたように顔を下へと向けているが、俺はその言葉が嬉しかった。


「ま、私もあなたに従うわ。私だって元の世界に戻りたいけど、この世界にもあなたや、まぁヒマワリちゃんがいるなら退屈はしなさそうだし、エンマ。貴方が決めてちょうだい」


「うんうん! 別に今決めなくても大丈夫だけど、その時になったら任せるからね!」


「はははっ。俺の責任重大だな」


 俺達がこれから死なないとは限らない。

 でも、もしその時が来たら、全ての決定権は俺にあるという事。


 これは、二人が本当に俺のことを信頼してくれているという事だろう。

 ならば、俺は俺の考えを述べた上でその時になったら選択したいと思う。


「それじゃ、神殿探索しよっか!」


「それもそうね。そろそろモンスターと戦ってレベル上げとかしたいわ」


「おう! ボスも倒さねえとな!」


 こうして、俺たち三人は世界の真実を知ってしまった。

 だが、まだその選択をするのは先だろう。


 そんな俺は、シズクとヒマワリの騒がしい二人と共に神殿攻略を再開するのだった。

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