54話 世界を知るまでの道
シズクとヒマワリと別れた俺は、今現在道に迷っていた。
というのも、まず第一に、この神殿内部? の道なんて分からないし、明らかに迷わせるために作ったような構造が悪いのだ。
一切俺は悪くない。うん。だって、毎回毎回道を選ばせるなんて明らかにおかしい筈だし。
「これ、どうすれば良いんだよ……」
今までは、一応、道の選択が二択だった。
だが、今の俺の前にある道は四択。
四つの道に分かれているのだ。細い道、横幅の大きい道、屈まないと入れそうにない道、そして、至って普通の道がある。
「まぁ、屈まないとダメなところは無いよな。ってことは、大きい道もなんかモンスター居そうだし、残るは二つか……」
無理やり二択に絞り、自分に都合の良い道を決める。
「とりあえず、普通の道だな」
なんだかんだ言っても、やはり通るのは普通の道だった。
細い道でも通るのに少し苦労しそうだし、苦労しないで通れる普通の道を選んだ訳だ。
四択から選び抜いた道を進み、明かりはあるものの、俺の足音以外なにも聞こえない、静かな道を歩くのは少しだけ心細かった。
だが、どんどん進む内に俺は行き止まりへと至った。
それも、大きな扉の前、振り返れば、結局四通りの道から繋がる場所。
「これって、ボス部屋的なやつかなぁ……」
見るからにボス部屋らしき所だが、今までにも何回かこの大きな扉で何もないという事もあった。
だから、俺がこの扉を開ける時には慎重にしなければならなかった。ボス部屋だった時、一人だと危険すぎる。
そして、この扉の奥からはなにか危ない感じした。
ただの感だが、危ない気がしてならないのだ。
立ち止まり数分。何も起きず、まだ静かなまま。誰一人通る気配はなく、シズク達はもちろん、足音の一つも聞こえなかった。
「噂があるくらいだから誰か通ってもいいと思うんだけどなぁ……」
溜め息をつき、そろそろ扉入るかと思った矢先、何故か自動で扉が大きな音を立てながら開き始めたのだ。
「なんだこれ……」
不審に思いながらも、扉の近くへと寄り、中を覗く。
と言っても、真っ暗でさっきまで歩いていた道とは段違いに暗い。
「入っていいのか?」
怖い。中に入る恐怖はあった。
だが、俺の足は俺の意志とは裏腹に勝手に進んで行く。
俺が入るなり、やはり光はつき、暗かった道は明るくなった。
そして見えたのは、周りにいくつものスクリーンが貼ってある道。
映像が繰り返し写し出され、まるで俺に見せるためにあるかのような一本道だった。
「なんなんだよ一体……」
文句を言いつつ、俺はスクリーンを見るために歩き出した。
そして、俺が歩く道について、俺は後に知る。
自分がこれから見る物についての絶望、そして、困惑を味わう。
そんな事をまだ知らない俺は少しばかりの興味本位で歩きながら最初のスクリーンを覗くのだった。




