ハロウィン特別編2
始まりの街で開催されている仮装コンテスト。
この世界のプレイヤーのうち、どれ位来ているのかはわからないが、今この街はとても賑わっていた。
『エントリーNo.3! 「魔女っ子ガール!」』
「よし!私の出番ね! それじゃ、華麗に優勝してくるわ!見てなさいエンマ!」
「お、おう。頑張れよ?」
「えぇ!」
めちゃくちゃ笑顔で会場へと足を運ぶシズクを見ながら、俺はシズクの考えた名前について考えていた。
だって、絶対魔女っ子ガールとか黒歴史だよね。うん。まぁ言わないでいるけど。
「さぁみんな!! 私を見なさい!! この華麗な魔法で虜にしてあげるわ!」
シズクは会場から上空に向かい、魔法を放つ。
まるでいつものクールなシズクとは思えないほど、テンションが高かった。
そして、シズクの放った魔法は上空で爆発し、まるで花火かのように輝いていた。
『すごい!!凄すぎる!! 魔女っ子ガール! 評価高いです!! 現在最高得点!全50点中、47点を叩き出したぁ!!!!』
いやいやいやいや、現在最高得点とかいってるけど、シズク以外点数出てないからね?
うん。まぁ、口には出さないけどさ。
「ふふっ! ま、私が優勝間違いなしね!」
華麗にシズクが会場から去り、観客から歓声があがる。
「どうエンマ? 私凄いでしょ!」
「そうだなー。ま、俺よりは凄いんじゃね? そんな格好してるけど」
シズクの格好は、本当に魔女っ子ガールという名前の通り、ミニスカに魔女の衣装。おまけにほうきの杖まで持っている。
「うるさいわね! ハロウィンだから良いのよ!」
「はいはい」
『さぁさぁ続きますよ! エントリーNo.4「ドS幼女!」』
「豚共!! さぁ!私に跪きなさい!!」
仮装した幼女の言葉に、一部の観客が歓声をあげる。
だが、所詮は一部だった。
「ほんと、幼女ね」
「ってか、ほんとこんな言葉どっから覚えてんだろうな……」
俺とシズクはほぼ同時に呟くが、もちろん俺たちの声は誰にも聞こえることはなかった。
そして、幼女はそこからもどこで覚えたのか分からないが、Sっぽい言葉を言い放つが、いつしか、突然乱入してきた、幼女の父親が幼女を回収し、エントリーNo.4は評価点0という悲しい結果となった。
『それでは最後の一人! エントリーNo.5!『黒姫!』お願いします!』
「ふふふっ。どいつもこいつもダメね。魔女っ子ガールさんくらいしかまともなの居ないじゃない! ま、この私に掛かれば───」
『おおーっと! ここで時間が来てしまった!!エントリーNo.5『黒姫』さんごめんなさい!!
そして、優勝はエントリーNo.3! 「魔女っ子ガールさん」で決まりだぁぁぁぁぁ!!』
黒姫さんは無情にも、ほとんど話せず、終わりを迎えてしまった。
当然、評価点はない。
今回の仮装コンテストは五人参加中、評価されたのは一人。
なんとも残念な結果だ。
「ふふふっ。ま、私が優勝なのはやっぱり間違いなかったわね! 」
『それでは、優勝賞品のアイテムをお受け取り下さい!!』
「あら、ありがとね。大事に使わせてもらうわ」
おいおい。一体誰に使うつもりなんだよ。
もしや、俺? やばいなこれ。絶対死ねなくなったなぁ……
『それでは、今回の目玉イベント! 仮装コンテストをここに終了致します!! これより、皆様はハロウィンの終わりまで、存分にお楽しみ下さいませ!』
司会の言葉でこの街から歓声があがり、仮装コンテストは終了した。
だが、まだハロウィンの夜は長い。
仮装した人々は、お菓子や悪戯を求め、今日もあらゆる人にこう問いかけるのだった。
「エンマ!Trick or Treat!」
「お前にあげるものなんてねえよ」
「それじゃ、悪戯させてもらうわ!」
「ちょ、近寄るな!くすぐろうとしてるその手をやめろー!!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「ん? 何考えるのエンマ」
「いやな、そういや、前にあったハロウィンの事をな」
「なにー? また悪戯されたいの?」
「いや、まじでやめてくれ」
「問答無用〜!」
ハロウィンから随分経った後、俺は宿屋でシズクに追われながら、ハロウィンの楽しかった記憶を思い出していたのだった。
これにてハロウィン終了です!




