42話 騒がしい日常
今回は普通の日常回ですよ!
戦闘なしです……というか、俺の小説あんま戦闘ないですよね笑
無事に街に戻り、宿屋へとむかった俺たち。
だが、ここで俺はある事を思い出してしまった。
───それは、宿屋での俺たちの部屋だ。
「あー……ちょーっと、シズクいいか?」
「え、なにかしら?」
「ちょっと! エンマ!シズクちゃんに何話すの!? 内緒話!? 私も聞きたい!!!」
「ヒマワリちゃんはちょっと黙ってなさい」
「えー!!」
ヒマワリが渋々諦めたのを見て、俺はシズクへと小声で話す。
「……なぁ、宿屋さ、俺とシズク一緒の部屋じゃん? これ絶対ヒマワリに見られたらヤバいよね? どうするんだ?」
「なによ。私は平気だと思うわよ? っていうか、聞きたいことってそんな事なの?」
「そんな事って……はぁ。俺には重要なんだよ……」
俺がため息をついて、そろそろ話をやめようと思った時、ふと違和感に気付いた。
俺の後ろに誰かがいる。それも、ほぼ体に密着して。
「ふーーーーーん!!! へぇー!! エンマって変態なんだー! 女の子と一緒の部屋で寝てたと。ふーん、ま、別にいいけどね!!」
俺の後ろにいたのは、ヒマワリだった。
渋々諦めた振りをして、俺の後ろに回り、聞き耳を立てていたのだ。
そして、何故か今怒っている。ほんと、意味わからん。
「ま、とにかくだ、どうせヒマワリにも聞かれたら言うが、宿屋どうするんだ?」
「まぁそれは、実際に入ってから、ヒマワリちゃんに聞きましょう」
結局のところ、シズクの案に賛成し、ひとまずは宿屋へと入った。
俺たちの泊まっている部屋に入り、ヒマワリの意見を聞く。
「で、どうだ? この部屋で俺とシズクは居たわけだが、なんかやばいか? ってか、俺的にはやばいと思うから、そろそろ部屋変えたいけどな」
なんだかんだ言っても、俺はシズクのことが好きだ。
今まで二人で生活してきて、よく俺は襲わなかったなとむしろ、自分を褒めるほど。
そして、今はその中にヒマワリまで加わろうとしている。
これは危ない。
女の子二人と生活とか俺の心が持つ気がしない。
故に、ヒマワリには反対してもらいたいのだ。
「うーん。ま、この広さなら大丈夫そうね。ちょっとベットが一つっていうのが怪しいけど、まぁ、エンマは多分ヘタレだから大丈夫だろうし。私もこの部屋で生活すれば問題ないわね」
俺の希望は見事に打ち砕かれてしまった。
ヒマワリは賛成してしまったのだ。
正直、嬉しくない訳では無いが、やはり男一人は心苦しい。
と言っても、俺にそんな中のいい男なんて居ても、四天王の奴らくらいだし。
ってか、俺の知ってる男とかみんな彼女持ちだし、なんか考えるだけでイライラしてしまう。
「ん? どうしたのエンマ。まさかあんた、変なこと考えてんじゃないでしょうね!」
「い、いや、別に何も考えてねえよ!」
「怪しい!!」
「まぁ、そんなことより荷物置いてご飯行きましょ。お腹空いちゃったわ」
シズクが俺たちの話をぶった切り、ご飯へと誘う。
もちろん、俺達もお腹が空いているのは事実なので、最低限の荷物だけ持ってご飯を食べに向かった。
初めてヒマワリが俺たちのパーティーに入ったということもあり、昼飯と夜飯はどちらも普段より豪華な食事となった。
お腹が膨れるくらい食べ、俺たちは途中にあった銭湯へと入る。
「ふぅ。やっと落ち着けるな……」
俺は男湯へと入り、一人の時間を楽しむ。
確かに、二人が居るのは騒がしくて楽しいが、やはり、一人の時間も必要だ。
「うそっ!! あんたの胸デカ!!! 有り得ないんだけど! ちょっと分けなさい!!」
「ちょ、ちょっと、ヒマワリちゃん! やめて!! タオル取らないで!!」
何故かは分からないが、俺達が入った銭湯は俺たち以外にお客さんが居なかった。
元々この世界で銭湯いうものが人気ないのか分からないが、人が居ないからと言って、男湯まで聞こえる声で胸とかの話をしないでもらいたいものだ。
「……はぁ……」
「ちょ! 胸揉まないで!!」
「なんだこの胸は!! こんなのでエンマの近くにいたらエンマが惚れちゃうでしょ!? 早くその胸へこませて!!」
「な、なによそれ! エンマが私に惚れる? 有り得るわけないでしょ!いい加減にしなさい!」
「むー。まぁ、エンマはきっと貧乳好きだもんね。良いもんね!」
一通り話を聞いてしまった俺が思ったことは二つある。
まず一つ目は、俺の顔が赤くなるくらい胸の話を大きな声でしないでもらいたい。
しかも、俺の話を出すとかやめて欲しい。
そして、二つ目は。
俺は実は巨乳好き……
「……シズクって巨乳だったのかぁ……」
お湯に浸かりながら、変なことを妄想してしまう。
自分の顔が赤くなるのを感じ、おれは堪らずお湯から上がり、着替えて銭湯を出た。
「お、おかえりー。あれ? なんか顔赤くない? もしかして、私たちの話聞いてた的な?」
「そんな訳ないでしょ! エンマに聞こえるはずがないもの……それよりも! あんたのせいで全然疲れが癒されなかったわ。ほんと、ちょっとくらい静かにしてよね」
「な、なによそれ! 私は悪くないわよ! 」
「あ、ははは……」
ヒマワリとシズクはだいぶ仲良くなったようで、楽しそうだ。
「まるで、姉妹みたいだな……」
おっと、ついつい思ったことが口から出てしまった。
聞かれてないよな?
「「姉妹じゃない(わよ)!」」
どうやら、聞かれてしまっていたらしい。
なんだかんだ言いつつも、やはり、姉妹っぽい二人は、言い争いをしながら宿屋へと戻った。
後ろから二人を見ていて俺は不思議とつまらなくも無く、見守る親のような感じになっていた。
「それじゃ、寝るけど、ベッドに入ってこないでよね。変態」
「ふふふっ。ヒマワリちゃんと寝れるのね。仲良くしましょうね」
「嫌よ。ほんとは、あんたとは一緒に寝たくないけど、エンマと一緒だと何されるか分からないから、しょうがなくなんだからね!」
「とにかく、早く二人共寝ろ!」
無理やり電気を消し、二人を強制的に寝させる。
俺はというと、ベッドが使えない今、やはり俺の寝床はリビングにあるソファだ。
「はぁ……なんか疲れたなぁ……」
モンスターを倒しに行ったわけでもないのに、ただ宿屋とご飯とお風呂に入っただけの日常なのに、ヒマワリが居るだけで楽しさが増え、疲れも増えてしまった。
「ま、シズクも楽しそうだし、いっか」
俺は目を閉じ、自分の寝やすい体制をとって眠りにつく。
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太陽が昇り、俺たちの朝は始まった。
妙に重く感じるお腹に違和感を覚えつつも、俺は目を開ける。
「って、うわ!!」
目を開けた先には、なぜか綺麗な顔のシズクがいた。
「うるさいなぁ……」
俺の上に乗っていた違和感の正体は、一人の少女だった。
もちろん、この場には三人しかいない。
俺、そして、隣に狭い隣に寝てるシズク。あと残るは、散々変態とか言いつつも、人のお腹で勝手に寝てるヒマワリだった。
「なんでお前らこんな所に居るんだよ!!!」
「別に良いじゃん……ふぁ〜……」
「ちょっと静かにして……」
俺が声を張り上げても、二人は起きず、また俺の近くで寝てしまった。
俺の堪忍袋の緒が切れ、ブチ切れようとしたその時だった。
俺達の部屋が勢いよく叩かれ、一人の男が入ってきたのだ。
「エンマ!助けてくれ!」
入ってきたのは、いつも4人でいるパーティーの1人。
四天王のリーダー。クウガだった。