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URLから始まるデスゲーム!  作者: ねぎとろ
2章 願っていたもう一度

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41話 時には許される悪もある

 ヒマワリの顔を見つめ、数分経つがまだ目覚めない。


 シズクは目覚めないことに死んでるのかと思ったのか、何度か心臓の音を聴いていた。


 段々とシズクが心臓に当てていた耳を離し、いい加減起きないヒマワリの顔に手を近付けた。


「お、おい。何する気なんだ?」


 俺は不安に思いながら、これからシズクがしそうな事を考えていた。


 そして、今現在最も可能性があることといえば、顔に手を近づけている時点で気付くべきだったのだ。


「は、や、く! 起きなさい!!」


 容赦なくヒマワリの小さな顔に往復ビンタをくらわしたのだ。


 初めのうちは何事もないように耐えていたヒマワリだが、段々と顔が赤くなっていうちに悶えるかのように、ジタバタしはじめた。


 これなら確かに早く起きるだろう。

 もちろん、俺がやられたらキレるけど。


「……もう!! 痛い!!」


 やっぱりあんな事されたら誰でも怒るだろう。

 ヒマワリはシズクを体の上から無理やりどかした後、弱めの魔法をシズクへと放った。


 まぁ、シズクは魔法に対して一瞬で反応して、同じ威力の魔法を放って相殺したんだから、怒られることを覚悟で、ビンタしていたのだろう。


「ま、まぁヒマワリ落ち着けよ!」


「落ち着いてられると思う!?!? 無理でしょ! 人が眠ってのを無理やり痛みで起こすんだよ!? 有り得ない!!」


 どうやらヒマワリはだいぶ怒っているらしい。

 俺のことを判別出来ているのかわからないくらい、激怒している。


 多分だが、魔法を普通に防がれたこともちょっとショックだった可能性もあると思う。


「待って。ちょーっと待って。今思えばなんで私寝てたの? ねぇ、なんでがわかる? ……あれ? なんでエンマがここにいるの?」


 ヒマワリはようやく俺の存在に気付き、あまり驚かずに、むしろ、どうして自分がここに居るか覚えていないらしい。


 もしかしたら、洗脳中は自分のしていたことを忘れてしまうのかもしれない。


「あー、それはだな。話せば長くなるんだが、大丈夫か?」


「うん。大丈夫。あと、先に謝っとくね。この前はごめんね。多分、あの時の私はまだ子供だったと思うんだ。今なら大丈夫なんだけど。あの時はどうしても、エンマが他の女の子と居るのが嫌でさ……まぁ、今もあの人はちょっと嫌だけど……」


 シズクを見て少し威嚇しているヒマワリを見て、俺は少し笑いながら、ヒマワリに今までのことを話した。


 ヒマワリが殺人ギルドにいたこと。

 俺たちと戦ったこと。


 そして、なによりも洗脳されていたことを伝えた。


 ヒマワリは驚きつつも、俺の話を真剣に聞いた上で、笑っていた。

 自分の行動に笑っていたのだろう。


「────それでさ、私ってやっぱり罰せられるべきだよね。でもね、人は殺してないから安心して。これは絶対。なんとなくだけど、洗脳されているのは分かってたの。だけどさ、逆らえなくてさ。人を何回か傷つけたのは分かってる。だけど……絶対に……」


 ヒマワリは罪悪感を感じてしまっていた。

 いくら洗脳されていたとはいえ、人を傷つけてしまったこと、殺してはいなくとも、殺人ギルドに入ってしまったということ。


 俺は、そんなヒマワリを慰めようとした。


 そんな時、ずっと黙っていたシズクがヒマワリの肩に手を置き、喋り始めた。


「あのね。ヒマワリちゃん。ヒマワリちゃんは、やっぱり罪悪感があるの?」


「ま、まぁ、そりゃあね……」


「そう。ならさ、今度からは人を傷つけないように、むしろ、優しく生きていけばいいんだよ。ヒマワリちゃんが故意に傷つけたわけじゃないし、洗脳されてたんだから。仕方ないで片付けないときっと思ってるよね。だけど、世の中には仕方ないで片付けれる事もあるの。今回は、ヒマワリちゃんは被害者。ほら、そんな悲しい顔しないで。……エンマに嫌われちゃうよ?」


 最後の方が全然聞こえなかったが、ヒマワリが悲しい顔から一気に赤くなって、シズクから離れ、シズクに攻撃しようとしているのを見る限り、吹っ切れたのだろう。


 やっぱり、シズクは凄い。俺じゃあもしかしたら、泣かせてたかもしれない問題をあっさりと片付けてしまったんだから。


「で、ヒマワリ。お前はこれからどうするんだ?」


「うーん。とりあえず、やっぱり洗脳してたやつが許せないし、そいつを叩きのめすとして、ひとまずはエンマとパーティー組むかな!」


 前よりもだいぶ性格が変わっているが、笑顔やらは変わっていなかった。


 あの病んでた時も相当だが、俺個人的には今のヒマワリのが可愛いと思う。


「あら、私が先にエンマとパーティー組んでるんだけど?」


「うるさい! あんたが居るのがほんっとに嫌だけど、しょうがなく組んであげるんだからね! 感謝しなさい!」


「いや別に、組みたくないならいいんだそ?」


「エンマは黙ってて!! ほら! とにかく、パーティー申請しなさい。早く!」


 どうやら俺は地雷を踏んでしまったらしい。


 まぁ、そんなことはどうでもいいとして、とりあえずはヒマワリともう一度パーティーを組めることが嬉しかった。


 そんなことを思いながら、俺はヒマワリへとパーティー申請を行った。


「ふーん。ま、私はこんないじりがいのある子が一緒のパーティーに来てくれて嬉しいわよ。反応も面白いし」


「ったく。あんたには興味ないのよ!! ……それよりも、エンマとの仲を邪魔しないでよね!」


「……えー。それは、どうしよっかな〜」


「ん? 二人共、どうしたんだ?」


「「なんでもない(わよ)!!」」


「そうか」


 こうして、俺はようやくヒマワリとパーティーを組むことが出来た。


 ヒマワリもなんだかんだ言いながら、洗脳も普通に流したし、どうやらシズクのことも嫌いではなさそうだ。


 これから少しだけうるさそうなパーティーになりそうだけど、孤独方が好きだと思ってた俺だが、やっぱり、こんな騒がしい二人と一緒にいる方が好きなようだ。


「それで、とりあえず街に戻って宿屋行こうな。結構スタミナとかHPがやばいわ」


「そうそう。誰かさんが必死に自分の殻に閉じこもってたせいでね」


「うるさいわね!! 洗脳されてたんだからしょうがないでしょ!!」


 転移する間際までずーっと、言い争いをしている二人を見ながら、俺は少しだけ笑いがこぼれてしまった。

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