4話 戦闘とレベルアップ!
俺は森に向かって歩いている最中、とりあえず剣を鞘から引き抜き振ってみることにした。
「あー。これ結構重いじゃん」
やはり、例えゲームの中とはいえ、この剣はほとんど現実と同じく重さだろう。持った所、10kgはあるはず。
「まぁこれくらいなら余裕だな」
俺は高校に入る前まで、5歳の時から剣道をやっていた。もちろん、俺は剣道の型や構えなど知らない。剣だって片手で持つし、振りも適当。ただ、ゲームやアニメに憧れてやっていただけだ。
でも、それが役に立った。竹刀を無駄に振っていたせいで筋肉はあるから普通に今もブロードソードを振れるし、持ちながら余裕で走れる。
「やべ、あれ魔物じゃね?」
俺が調子に乗って剣を振りながら歩いていると、前からオオカミのような動物が牙を向いて立っていた。
だが、幸いにも敵は一体。
俺は戦闘の訓練としてとりあえず挑んで見ることにした。
「うおおおお!!! おらぁっ!」
走りながら剣を思いっきり振る。
オオカミは俺が走ってきたことに驚いたのか、身動き一つ取れないまま真っ二つとなり、消滅した。まるで、ゲームで倒した時のようなエフェクトも現れ、本格的にゲーム感があることに驚きだ。
「血は出ない? のかな」
相手を瞬時に殺したから血が出なかったのか、はたまた普通に血というものがないのか分からないが、とにかくあまりグロくなくて内心安心した。
そこから俺は、普通に魔物と戦闘した。基本的には、弱いオオカミのような魔物ばかりだが、一度だけ明らかに強いオーラを纏ったサソリと出会った。
その時、俺は腕に傷を受けながら逃げ切った。
「はぁはぁはぁ。なんだよ。痛えじゃん」
サソリから逃げ切った俺は、自分の腕を見ながら息を荒らげていた。
確かに、血は出ていないが、赤いエフェクトとそれに加え、痛みがある。現実と同じ痛みなのだろうか。
腕が焼けるように痛かった。
「HPバーなんてあんのかよ……」
ずっと気付かなかったが、自分の目に見える範囲にHPバーがあることに気づいた。
そして、そのバーが今黄色に染まり、半分になっているという事実にも気づいた。
「グルルルルルルルルルッ!」
「こんな時に魔物とかマジふざけんな……!」
俺は走り疲れている足を無理やり立たせ、片手で剣を構える。初めての痛みに腕が震えるが、どうにか剣を振るうことくらいは出来るようだった。
「かかって来いよ!!!」
自ら挑発して相手に近寄らせ、俺はオオカミに懐に入ることを許した。そして、オオカミが飛び上がった直後に剣を縦に構え、そのまま真っ二つにする。
「こいつが獣で良かった……」
俺は倒した後、疲れ果ててその場に倒れてしまった。そして、瞼が落ちそうになった時また声が聞こえた。
『痛覚の限界を超えた為、スキル、【痛覚耐性】を入手しました』
『スキル、【挑発】を入手しました』
『レベルが2に上がりました。能力振り分けポイント30、スキルポイント50を入手しました』
俺の意識が落ちる頃、頭に色々アナウンスのようなものが入ったが既にどうでもいい。とにかく俺は疲れを癒したかった。
誰かが俺に近づく足音すら気づかずに俺は眠ってしまった。