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URLから始まるデスゲーム!  作者: ねぎとろ
2章 願っていたもう一度

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35話 最悪を回避するスキル

 ボス部屋に俺達が入った時、既に精鋭部隊の人たちは戦闘を開始していた。


 ボスの見た目は完全にカマキリのような形で、脚であるはずの6本には、カッターの刃のようなものが無数に付いていた。


 これでは、近くに寄って攻撃できないのは明白である。


 精鋭部隊の人たちもそれを感じてるのか、主に遠距離からの攻撃のみで攻めていた。


「おぉ!来てくれたか! ありがたい。いや、早速だが、あのモンスターについて話をする。あのモンスターと戦ってみてわかったが、あの脚に付いている刃は攻撃によって破壊できることがわかった。君たちには、まずその刃を破壊してもらいたい。──出来るか?」


「もちろんですよ」


「私に任せなさい!」


 さすがは精鋭部隊隊長ということもあって、すぐにカマキリへの攻撃方法を見抜いたらしい。

 俺たちは指示時通りに動き、真っ先に脚へと魔法を放った。


 その間、周りにいた精鋭部隊の人たちはが注意を引き、俺たちから攻撃を遠ざけてくれていた。


「君!! 危ない!!」


 俺が魔法に集中していたせいか、相手の攻撃に気づくことが出来なかった。

 隊長の声が聞こえた時は既にもう俺に攻撃が当たる寸前だった。


 だが、俺には一切の傷はなかった。

 元々その場にいたはずの俺は隊長の場所にいて、隊長が俺の場所にいる。


 もちろん、攻撃を受けたのも隊長だった。

 かろうじで頭をかばうために丸まったのか、背中には切り傷のような傷ができていた。

 おびただしい程の血の量だ。


「あ、……あぁ……俺のせいだ……」


「き、み……それは、違うよ、僕が守りたかった、だけなんだ……くっ……」


 痛みに悶絶しながらも俺へと語り掛ける。


 俺はどうにかこの傷を治すためにアイテムを取り出しては使うが、傷が深過ぎるのか中々治らない。


 徐々にだが、HPが減るのが遅くなっているが、不幸にもここで俺の回復アイテムは切れてしまった。


 未だに俺と隊長の抜けた穴を必死に補って戦っている皆からアイテムを取りに戻るわけにもいかなかった。


 俺の頭は困惑と罪悪感でグルグル回ってしまっていた。


「君、もう、大丈夫だよ。僕はね、人を1人、守れた……がはっ……」


「もう喋らないでください。HPが減りますよ……」


「いいんだ。1人を守って死ねるなら、それにね、僕の使ったスキル『テレポート』はきっとこういう時に使うと思うんだ。それに、天国にいる僕の妻もきっと喜んでくれるさ。はははっ。君には感謝しないとね」


 俺のその言葉を聞いた時、頭にあることがよぎった。

 絶対にピンチにしか使わないと決めていたあのスキル。

 英雄を憑依すればもしかしたら助けれるんじゃないかと。

 力でモンスターを倒し、俺が倒れてもあの人は助けれる。


 使わないと決めたけど、俺はやっぱり。


「恩人を守るためなら良いよね……」


 そして、俺は隊長が見ている中、スキルを使った。


「『英雄憑依!』」


 俺を光が包み込み、何かが俺の中へと入ってくる感覚だけを感じることができた。


「はぁはぁ……」


 光がやみ、完全に俺に憑依したと自身で感じることが出来た。

 そして、今回は前とは違う英雄が憑依しているということにも気付いた。


「この力は一体……」


 ピンチの種類によって英雄が変わるのか、今回の俺は完全に攻撃タイプではなく、回復系の英雄。


 どうやら、戦場の天使『ナイチンゲール』が俺に憑依していた。


「隊長さん。今、回復させますからね」


 俺は回復魔法の使い方なんて分からなかったが、直感で傷を癒すように願いを込めた。


 その瞬間、ボスの部屋を癒しが包み込み、俺を除く全ての人にあるステータス異常が付呪された。


「これは、リジェネか?」


「いや、力の上昇もあるぞ!」


「魔力も上昇してる!!」


「「「これなら勝てるぞ!!!」」」


 精鋭部隊の人たちはカマキリに魔法を放ち、近接職の人は斬り掛かる。


 俺のリジェネとやらは凄まじい回復量らしく、カマキリの攻撃が当たっても、HPが減る前に全回復していた。


 隊長もいつの間にか、復活していて、みんなへと指示を出しながら戦闘を始めていた。


「やっぱり、エンマは凄いね」


「いや、これはスキルだしな……それに、俺はさっきの回復でほとんど力使ったみたいだし、もう戦闘は無理だわ……あとは任せぞ。シズク」


「えぇ。私の魔法で一撃よ」


 俺はまたも力を一度で使い果たしてしまった。

 だが、その力でこの場にいる全員を助け、ボスを倒す手助けが出来たなら満足だ。


 それに、命の恩人も救うことが出来た。


 立っているのもやっとの状態の俺は、その場に倒れ込み、目を閉じた。


 深い眠りにつきそうな最後の瞬間に聞こえたのは、シズクの魔法だった。


「雷雲よ、一切を煤塵とかし、塵も残さず消し払え!雷魔法Lv.9 『裁きの雷!』」


 モンスターへと放たれた魔法は激しい轟音を放ちながら直撃した。


 その後どうなったのか俺には分からない。

 だが、みんななら勝ってくれるだろう。そんな願いを込めて俺は眠りについた。

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