28話 森を抜けた先
少年達と別れ、またエデンの塔へと向かっている俺たち。
連戦やらのせいで、回復する時間もなく、HPとMPやスタミナが相当少ない。
モンスターと戦うには少々厳しいぐらいだろう。
「シズク、モンスターが前に居る。少し遠回りになるが、避けていくぞ……」
「そうね。今だと負けて死ぬ可能性もあるし、逃げるのが最適ね」
俺とシズクは安全面を考慮し、モンスターから避けて向かう事にした。
そして、大事な時にはあまり現れないモンスターがこうゆう時に限ってどんどんと出てきて、俺とシズクはあまり進めないまま遠回りばかりしていた。
「くっそ……あんま着かねえなぁ……」
もう少しで森を抜けれることは分かっている。
だが、ちょうど森を抜ける地帯にモンスターが待機しているのだ。
狙っているのかは分からないが、とてつもないくらい邪魔だ。
「どうする? あいつらだけでも倒していく?」
「ちょっと待て、鑑定してから決めるから」
もし、モンスター達が俺たちよりも弱ければ挑んでもいいだろう。
だが、レベルが同じくらいだと危険だろう。
『ゴブリンソルジャー』
レベル12
HP105
スキル:【兜割り】
『ゴブリンウィッチ』
レベル14
HP42
スキル:【炎魔法Lv.1】【雷魔法Lv.2】
『ゴブリン』
レベル8
HP72
スキル:なし
森の出口にいた魔物は、全部で5体だった。
多分だが、リーダーのゴブリンソルジャー。それに加えて、遠距離用のゴブリンウィッチ。あとは、まぁ普通のゴブリン。
レベル的にも弱く、これなら簡単に倒せそうだった。
「おっけー。あいつら結構弱いし、今の俺たちでも勝てるぞ」
「そうなの? んじゃ、私がとりあえずここから魔法放つことにするわ」
シズクが標的をゴブリングループに決め、残り少ないMPを使い魔法を放とうとしていた。
「【炎魔法Lv.3 フレイムウォール!!】」
いつの間に覚えたのか、炎魔法を使い、シズクはゴブリン達を焼いていた。
俺達の奇襲に気付けなかったゴブリン達は、あっという間に、真下からでたフレイムウォールによって死んでしまった。
「おー。さすがの威力だな」
「そう? まぁ、炎魔法よりもホントは雷魔法使いたかったんだけどね。ちょっとMP的な問題があったからこっちで我慢したの。ま、結果的に死んでくれたから良いけどね」
「お前、いつの間に炎魔法なんて覚えたんだ?」
「あー。なんか一応取っとこうかなーって思って取ってさ、今初めて使ったんだよね。意外と威力高くて私自身もビックリしてるよ」
こうして、道を阻む者がいなくなった今、俺達はようやく森を抜けることが出来た。
エデンの塔まで本格的に近くなった所で、エデンの塔攻略用に作られた、大きな街『ヘヴンズタウン』が俺達の前に広がっていた。
「やっと街だな!」
森から徒歩で150m程だろうか、ようやく休める所を見つけた俺は嬉しくなってついシズクに対して笑顔で話し掛けていた。
「そ、そうね。やっと汗を流せそうで私も嬉しいわ」
「だろ! さ、早く行こうぜ!」
多少強引にシズクの手を引き、俺は街へと急いだ。
街へと続く公道を走り、モンスターと出会う事もなく安全に俺達は街の門へと辿り着く事が出来た。
「止まれ。この街へは入場料が必要となる」
「いくらですか?」
「そうだな。1週間で1000ギルだ。もちろん、その間なら行き来可能だ。延長したい場合は、もう一度門番に話しかけてくれ」
今の俺は無一文だった。
この場で払えるのはシズクしかいない。
本当に嫌だったが、俺はシズクに頼み、お金を払ってもらう事にした。
「シズク。頼む。絶対に返すから、この場は払ってくれ……!」
「別にこれくらい良いわよ。で、どのくらい居る予定なの? 私的には1ヶ月くらいだと思ってるけど」
「いや、金を払うのはお前だ。お前が決めてくれ」
「そう。なら、1ヶ月にしとくわね」
シズクは門番に話しかけ、俺の分と自分の分の金を渡し、話を進めてくれた。
「1ヶ月か。了解した。ようこそ!『ヘヴンズタウン』へ! どうぞ、存分に休み、エデンの塔攻略を頑張ってくださいませ」
こうして、俺達はようやく森から抜け、エデンの塔に最も近い街、ヘヴンズタウンに入ることが出来たのだった。
ふぅ。ストック作らねば……




