2話 始まり
俺はURLを押した瞬間、光に包まれた。
元々なにかを期待来ていたわけでないが、こういう展開な素直に嬉しい。
驚くというよりも、むしろこれから何が起こるか楽しみだった。
『ようこそ私の世界へ。これから君たちには、ゲームの世界においてデスゲームをしてもらう。今、君たちはきっと気を失ったかのように倒れているだろう。家族が心配して既に病院に連れてかれるかもしれない。だが、君たちが目覚めるのは私の作った世界をクリアしてからだ』
謎のフードの男が喋り始めた時、何処からか大勢の人が現れた。これら全員、URLを押した人なのだろうか。
『ふむ。総勢25万人か。まぁまぁだな。まぁ良しとしよう。では、これからお前達にはこのゲームの説明をする。さっきも説明した通り、このゲームをクリアしなければ元の世界へと戻れないからよく聞くように』
「おい! ここは何処だよ!!」
フードの男に対して喋りかける者がいた。
だが、そいつは喋りかけるという行為が説明の邪魔をしているということに後で気付いた。でも、気づいた時には既に遅かった。
『黙れ。説明の邪魔だ』
一言フードの男が呟いた時、喋りかけていた男の頭は消えた。そして、その体も段々と消えていく。
俺はその光景を見て、怖いと同時に面白いと思ってしまった。
これから、俺は退屈な日常から抜け出せると。そう思った。
『良し。他に邪魔をする者はいないな。では、説明しよう。先程も見たとおり、これから君たちには自分の体を使ってデスゲームをしてもらう。デスゲームという文字通り、ゲームの世界で死んでも、現実で死ぬ。先程、五月蝿い男の頭を飛ばしたが、これであの男は現実で死んだだろう。君たちもそうならないように気をつけてくれたまえ。大切な''実験道具''なのだから』
それだけ言うと、フードの男は消え、俺達はまた光に包まれた。
きっとこれからあの男の言うとおりゲームの世界へ行くのだろう。
俺はその事がとても楽しみで仕方なかった。
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「ん、ここは……」
少しばかり気を失った後、俺は目覚めた。目覚めた場所は、だだっ広い草原。そこにみんな居た。既に目覚めて、慌てている者、泣いている者、あらゆる人がいた。
そんな人たちに俺は目もくれず、周りを見渡すことにした。
「あの真ん中の塔は……」
俺が真ん中に立っている塔を見た時、またフードの男が目の前に立っていて、喋り始めた。
『君たちに説明していないことがいくつかあった。
まず、この世界はゲームの世界。そうだね。名前を付けるとすれば、「Magic blade online」これは、元々あるゲームをモチーフにして作った世界だ。そして、その元のゲームにおいて、クリアの条件は塔の攻略だ。という事で、今回も君たちには同じ事をやってもらう。分かっているとは思うが、死んだら現実でも死ぬ。何度も言うが、それは当然だ。それに加え、塔の攻略には手順というものがある。それは君たちで頑張るといい。では、健闘を祈る』
長ったらしく説明をした後、やはり霧のように消えてしまった。
俺は声を聞いた後、こういう展開で良くある定番のステータスとやらを見ることにした。
「ステータスオープン!」
ありがちな言葉を呟いた後、俺の前に文字の書かれたパソコンのディスプレイな様なものが現れた。
『ステータス』
名前:ヒイラギ エンマ
レベル:1
所持金:1000マニー
HP:36
MP:14
スタミナ:10
STR:20
VIT:21
DEX:8
AGI:16
INT:10
LUCK:14
CHARM:0
武器:ブロードソード
頭:
胴:皮の服
腕:
腰:皮のズボン
足:皮のブーツ
アクセサリー:
スキル:
称号:
能力振り分けポイント:100
使用可能スキルポイント:100
取得可能スキル:【鑑定】
ふむふむふむ。見れば見るほど妥当なステータスだった。特に高いようでも低いようでもない。至って普通っぽい。これはこれで楽しめそうで嬉しい。
ゲームといえば育てる楽しみもあるし。
とりあえずステータスを見た俺は、色々試すことにしたのだった。