14話 横取りされた敵
俺がフレンド依頼を断り、走り出した後、見事に俺は迷子になった。永遠と変わらない海岸を全力失踪した俺は、今の俺がどこにいるのかすら全然分からなかった。
「はぁ。こんな時に敵かよ……」
辺りを見渡し、息切れしている俺の周りにいるモンスターに警戒する。
「とりあえず、鑑定かな……」
まだお互いに警戒しているのか、モンスターは動いてこない。その隙を狙って鑑定するべきだろう。
『鑑定中。鑑定完了。鑑定結果オープン』
いつも通りのアナウンスを聞き、俺は自分の前に出てくるモンスターの情報を確認する。
『ヤドカリン』
レベル:13
HP:106
スキル:【鉄壁】
『ヒトデマン』
レベル:31
HP:364
スキル:【吸盤投げ】【体当たり】
俺の周りにいるのは4体。その内の3体がヤドカリンだ。こいつらは正直今の俺からしてみれば弱い。
問題は初めて見るヒトデマンだった。レベルはほぼ俺と同じ。スキルは少ないが、どのくらい強いのかは分からない。
『鑑定レベル上昇。鑑定がLv.6になりました。無詠唱鑑定を使えるようになりました』
そんな時だった。俺の頭に久しぶりにスキルレベルアップのアナウンスが流れた。
「無詠唱鑑定? なんだそりゃ……鑑定って心の中で思えばいいのかな?」
独り言のように俺はアナウンスで言われたことを口に出して再確認する。
「とりあえずやってみるかぁ……」
標的をヒトデマンに定め、俺は口に出さず鑑定を念じてみた。
『ヒトデマン』
レベル:31
HP:364
スキル:【体当たり】【吸盤投げ】【アイビーム】
俺の思った通りだった。鑑定を念じただけで、俺の前にはヒトデマンの情報が出てきて、更に鑑定のレベルが上がったからなのか、さっきの鑑定では見れなかったスキルまで見ることが出来た。
「うっし。じゃ、サクッと狩るかな!」
鑑定をしっかりと確認した所で、俺は剣を抜き構えた。
「雷魔法Lv.1 【サンダー!】」
まずは遠距離から魔法を放つ。その隙に近づき、し背後か仕留める。これが俺の一番の戦闘方法だった。
「やっぱりヤドカリンは雑魚だな」
ヤドカリン自体は俺の魔法で倒すことが出来た。問題はやはりヒトデマン。明らかに俺の魔法は効いておらず、その隙に与えた剣の攻撃すら効いたか怪しいほどだった。
「次は、スキル使うかぁ……」
スキルを使えばさすがに攻撃は通るだろう。
俺が剣を構え、スキルを唱えようとしたその時だった。
「氷炎魔法Lv.4 【ファイヤーブリザード!】」
頭上から謎の声と魔法が聞こえ、ヒトデマンと残ったヤドカリン2体は魔法の餌食となった。
「……なんだよこれ……」
俺は念のため距離を取っていたが、それは正解だった。ヤドカリンとヒトデマンに放たれた俺の聞いたことない魔法は、竜巻のように3体を包み瞬時に殺してしまった。俺の周りにはヒトデマン達であろうエフェクトだけが見えるのだった。
「誰がこんな事を……」
頭上を向いて魔法を撃った探していた俺の視線に一瞬だけ姿が見えたそいつは、いや、そいつらは両方とも女だった。
「またかよ……はぁ……」
だが、見えた2人の内の1人。太陽に照らされ、俺の目でもギリギリ見えたそいつは、紛れもなく俺が初めてこの世界で出会った女だった。
「まさか、ヒマワリなのか?」
俺は声に出しながら既に走り出していた。
どうやってあの上に行くか分からないが、俺は無我夢中で走り出した。




