107話 これから始まるボスラッシュ
タイトルは割と適当(ノ∀`笑)
千手観音像と対峙するルイス。
先に動いたのは千手観音像だった。
自分の裏にある手をやはり全て操れるのか、持っている武器を俺の目で追えないほどの速さで投げつけていた。
ただ、俺の目で追えないだけで、ルイスにはしっかりと見えているようだった。
「やべぇ、こっちにも飛んでくるぞ!」
ルイスは目の前の武器に集中しているのか、俺たちに飛んでくる武器には目もくれず、自身に飛んでくる武器を投げ返していた。
常人には到底出来ない技だが、ルイスは何十本も武器を投げ返し、千手観音像の腕を破壊していた。
「聖騎士魔法Lv……って、おい! ルシフェル!」
「大丈夫だよ? この程度の攻撃だと私には聞かないし、私が二人を守るから安心して? 昔に私を守ってくれてたように私が今度は守るから」
「エンマ。今はルシフェルちゃんに任せましょ。多分、エンマのスキルじゃ少しの攻撃しか防げないわ」
「それもそうだな……」
俺はスキルを発動するのをやめた。
ルシフェルが俺たちの前に立ち、小さい声でなにか呟き俺たちのことを包み込んだ。
きっとこれで相手の攻撃が俺たちにくらうことはないだろう。
現に、俺たちにも飛んできた無数の剣は全てが弾かれてその場に落ちてしまっている。
「俺は何のために強くなったんだろう……」
独り言を小さく呟く。
俺は最上階まで登るために強くなった。
けど、今は二人の力に頼り、全くの役立たずとしてここに居る。
正直悔しかった。
確かに俺の力は二人に比べれば雑魚みたいなものだけど、それでも少しくらいはルシフェルとシズクを守りたかった。
ルシフェルが俺たちを守ってくれるのも嫌じゃない。
けど、俺の心はどうしても悔しくて仕方がない。
「どうしたのエンマ……?」
「いや、ちょっとな」
「うーん。エンマは今まで頑張ったよ。今だけ二人に任せても良いと思う。きっと今からエンマの出番も来るから。エンマが居ないとダメな時も来るからさ」
「そう、だな」
シズクには心を読まれてしまった。
俺はそんなに顔に出てたのだろうか。そんなことを思っていたら、いつしかルシフェルのバリアになにも当たらなくなった。
「ふぅ。やっと攻撃がやんだ……」
ルシフェルのバリアが解かれ、俺たちは無残にも積み重ねられた剣の上に立った。
「ありがとなルシフェル」
「これくらい大丈夫……」
俺たちは千手観音像とルイスの戦いの続きを見る事にした。
既にルイスが優勢だが、千手観音像も先程投げ飛ばして無くなっていた手に新たな武器を持ち、すべての腕を操ってルイスへと全方位から攻撃していた。
「そろそろかな……」
ルイスが千手観音像の全ての攻撃を弾き、相手の体勢を崩した瞬間だった。
ルイスの口が動き、なにかを詠唱した。
そして、ほんの数秒後に千手観音像の頭上に魔法陣が現れた。
「『天の裁き』」
今回ははっきりとルイスの魔法が聞こえた。いや、魔法なのかはわからないが、今俺の前で千手観音像を瞬殺したのは魔法に近いものを感じる。
千手観音像が動いても永遠と追い続けた魔法陣は、やがて眩い光を放ち始め、ルイスの言葉と共に真下に居た存在を焼き尽くした。
魔法の威力とは思えないほど強力だが、これが天使達の使う魔法なのかもしれない。
「ふぅ。やっぱり妹のが早いなぁ……」
「でもお兄ちゃんカッコよかったよ?」
ルイスがルシフェルの頭をポンポンと叩きながら妹に褒めれて嬉しいのか喜んでいた。
「あの、さっきの最後に使ったのは魔法?」
シズクがルイスへと訊ねていた。
それは俺も気になる点だ。
「そうだね。一応は魔法という属には当てはまるけど、君たちでは使えない。天使の力を少しでも持ってる僕だから使えるんだ。もちろん、この魔法を知っている天使なら使えると思うよ」
やっぱり一応は魔法だった。
だが、天使の使える魔法はどうやら俺たちのようなプレイヤーが使う魔法とは威力が桁違いなようだ。
そう考えると天使と俺たち。どちらの魔法が本当の魔法なのかは分からない。
「次のボスは私に任せて……多分だけど、次のボスは強い」
ルイスの手をいい加減退けたルシフェルが、突然俺たちへと宣言した。
そして、ルシフェルの口から強いという言葉が出るということは、ルイスさんだと手こずる可能性があるわけだ。
「うん。分かった。次は妹に任せるよ。僕はエンマくんとシズクちゃんを護るのに専念する」
「すいません。足でまといで……」
「いや、しょうがない事だよ。君たちのレベルなら本来勝てないところを無理に進んでるんだ。そう悲しむ事じゃない」
その言葉のあとに、俺たちは95層へと向かった。
そして、95そろそろに着いた時、ある違和感を感じた。
先に進む道がなく、ただ広い空間だけがあるという事だ。
「これは、一体……」
「あぁ。そうだったね。エデンの塔は95層からボスとしか戦わないんだ。ボスを倒せば先に進める。そういうシステムになってるのさ」
「一見簡単に見えるけど、ボスが相当強いという訳ね……」
「三人とも危ないから下がってて」
俺たちはその場で立ち止まり、ルイスが俺たちの前に立つ。
ルシフェルだけが歩き始め、部屋の中央へと立った。
『汝らを試すは我が四天王なり。登りたくば倒して進むがいい』
上からの声が聞こえ、その声が止むと同時にボスモンスターが現れた。
これが四天王の中で一番弱いやつなのだろう。
それでも俺とシズクでは勝てないような敵だ。
真っ白な鱗を持つドラゴンが威圧し、その背に乗る純白の騎士が槍を上空へと掲げる。
「私、負けないから」
ルシフェルの声を戦闘の合図とし、四天王と呼ばれる1人目との戦闘が始まった。




