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URLから始まるデスゲーム!  作者: ねぎとろ
最終章 攻略完了?

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99話 称号による力

うーん。ご都合主義でごめんなさい!

 俺の視界は真っ暗だった。

 これが死というものだろう。

 何度か経験している筈だが、今回はまた一味違った。


 体が冷たくなっているのがわかる。

 筋肉も硬直して動かない。


 頭で考えることすら難しくなっている。

 いや、依然としてまだ考えていられるのは一つの称号のお陰だろう。


 頼りたくなかった称号だ。


『お気に入りの英雄発動しました』


 俺の意志とは関係なく復活させる。

 だから俺は未だに感覚というのが残っているのだ。


 そして、復活という言葉通り、俺の止まっていた心臓がまた動き出した。


 脳自体がまだ生きていた頃に発動したのだろう。

 貫かれていた心臓が元に戻り、活動を再開する。


 俺の体がビクンと跳ねた。


 次第に体のあらゆる器官が動き出した。

 口から少ないながらに酸素を吸収し、肺に入れる。

 少しの間酸素がなく、突然入ってきたからか、肺が痛む。


 腕も足も、体も動かせない。

 言葉も喋れなく、今ようやく聴覚が復活しようとしていた。


 周りから声が聞こえてくる。


 シズクの泣き声、ルシフェルとルイスの声。

 真っ先に聞こえたのはルイスの声だ。


 「……! ……てるぞ!!!」


 上手く聞き取れない。

 だが、その言葉でさらにシズクの泣き声が強くなった気がした。


 誰かが俺の体に乗ったのだろう。少しだけ重くなった。


 「…………」


 目はまだ開かないながらも、口を動かそうと頑張った。

 だが、言葉は出ない。口も動いてるかすら分からない。


 こんなにも体が使えないのは不便だったのか。今実感した。


 死に直面する人は意識の中で考えているのだろうか。今の俺のように。

 いや、どうだろう。分からない。


 どうして今回だけこんな風に復活しているのだろうか。

 復活までが早すぎたからか? 心臓が潰されたからか?


 称号による気まぐれか、それとも……いや、考えるのはもうやめよう。


 …………………………


 考えるのをやめると途端に怖くなる。

 暗闇にひとりぼっちでいる気分だ。

 せめてなにかを考えていよう。意識の中だけなら考えるのは自由だ。


 どうして死んだのにここまで意識の中で考えれるのだろうか。

 ゲームの中の死だから? それとも、本来人間は死んだ後も意識の中で考えているのか?


 こんなこと考えても結論は出ない。やめよう。


 重い瞼を開けれる気がした。

 俺は徐々に徐々に目を開けていく。


 突然の光が目に飛び込み、少しだけ痛む。

 反射的に閉じようとしてしまうが、その時に見えたシズクの顔が涙と鼻水でぐしゃぐしゃに見えた。


 それが可笑しくて俺は目を開けた。


 「エンマ!!!!」


 聴覚はだいぶ復活したようだった。

 ほとんど聞き取ることが出来る。


 「エンマくん。本当に済まない。だけど、君の犠牲で僕の妹は救えた。どうして生き返ることが出来たのかわからないが、礼を言わせて欲しい。ありがとう」


 俺はルイスに答えたかった。

 でも、言葉は出ない。


 心で考えれば読み取ってくれる?


 「きっとだが、今君は僕が君の心を読み取れると思ってると思う。いや、僕もさっきまで読めたんだ。だが、どうしてか君が一度死んでから読めなくなった。だから、僕がなんとなくだが君の知りたい答えを話そうと思う」


 この人はなんとなくで察してくれた。

 ルシフェルとシズクも黙りつのつ、泣きながら聞く姿勢をとっていた。


 「それじゃあ、少しだけ僕と妹の話もするよ」


 ルイスが話し始めた。

 初めは妹を救う方法についてだった。


 俺たちをボス部屋に入れてから居なくなった話だ。


 「君たちをボス部屋に無理やり入れてから、僕は君たちの前からいなくなった。それについては詫びたい。だけど、僕にも理由があった。それは、妹を救う唯一無二の方法が僕の全力を使うことにあったからだ」


 それから、ルイスの言葉を聞き、俺が纏めると。

 どうやら妹を救うには、少しだけ元に戻った所をルイスの羽根で包み込まなきゃいけないらしい。


 その為に俺たちに任せたとか。


 「エンマくん。君が本当にルシフェルを大事にしていたのは今回で分かった。僕もまさか攻撃をしないで受けるとは思わなかったんだ。そして、君が攻撃を受ける度にぼくの妹は少しだけ君の思いが伝わったのか元に戻りかけていた。それが、今回の君の死で数秒だけ元に戻った。だから、僕はその瞬間を見逃さず、妹を包み込んだ。君が最後に見た光は僕の天使としての光だろう」


 俺は納得した。

 てっきり俺を迎えに来た天使かと思ったが、ルシフェルを助けるためにルイスが出した全力だったのだ。


 「君たちは怒っていると思う。僕のわがままで妹を救おうとし、エンマくんの命を失わせたのだから。だから、存分に殴ってくれ。気が済むまで頼む。殺してくれても構わない。それくらい僕は悪いことをしたんだ」


 「……それなら私も殴って。殺したのは私。だから、兄さんは悪くない。殴られるのは私だから」


 俺は言いたかった。

 もう何も思ってないと。

 ルシフェルがただ帰ってきたのならそれでいいと。


 だけど、その気持ちを俺のそばにいたシズクが代弁してくれた。


 「ううん。私の判断で決めれることじゃないけど。エンマも多分許してると思うの。だから、そうやって自分の体を犠牲にしようとしないで。それでも、悪いと思っているのなら、この先私たちの攻略に手伝って欲しいわ」


 シズクの涙は泣く、大人の対応をしていた。

 こういうところに俺はまた惚れてしまうのだ。


 「済まない。エンマくんの気持ちも聞きたいところだが、今はそれどころではなさそうだ。もちろん、僕とルシフェルは君たちを最上階までバックアップするよ。全力でね。あぁ。それと、最上階に行くにあたって、君たちに大事な話をするよ。これは、僕と妹の過去の話だ。聞き流してくれても構わないが、僕と妹は元は人間だ。これからの話は、僕達がクリアして天使になるまでの話だ」


 ルイスはまた話し始めた。

 俺の知りたい話だ。ルイスとルシフェルがどうして天使なのかも知りたかった。

 元々天使かと思ったが、どうやら違うらしい。


 今は大人しく聞いておこう。といっても、俺は一切動けないのだから、なにも言えないが。


 「えぇ。お願いします。最上階に行ったら何が起きたのか、この世界をクリアしたらどうなったのか、私は、きっとエンマも気になってるはず。だから、全てを話してください」


 「うん。分かったよ。ルシフェル。話しても良いよね?」


 「……大丈夫。二人には知って欲しい。それと、ヒマワリのことも後で話すべき……だと思う」


 「そうだね。最後にヒマワリという少女についても話そうか」


 二人はヒマワリについて知っていそうだった。

 それも聞きたいが、先走って聞こうとしても俺は聞けない。


 シズクも聞きたいようだが、結果としては後から聞けるのだから我慢しているのだろう。


 「それじゃ、僕と妹の過去の攻略を話すよ」


 ルイスは口を開き、この世界に来た話と、この世界をクリアした時の話を始めた。

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