表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
URLから始まるデスゲーム!  作者: ねぎとろ
最終章 攻略完了?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/118

96話 英雄

 俺はこの男の強さに圧倒されていた。

 もはや別次元の強さだ。


 確かに、俺の固有スキルや、ダンテの無敵と呼ばれる強さも、この世界では最強クラスだろう。


 だが、この男の攻撃はもはやこの世界において最強とかそんなもんじゃない。


 「素手で瞬殺……ですか」


 「まぁね」


 男は笑いながら言っているが、これは笑えるどころではない。

 もし、この男が敵だったとすれば俺たちはこのモンスターたちのように数秒程度で殺られるだろう。


 「あの。それじゃあ聞いていいですか?」


 「おい。シズク!」


 「大丈夫大丈夫。多分彼女としても早く安心したいと思うんだよ。ま、とにかくこの近くにモンスターが来ないエリアがあるから行こうか」


 「「はい」」


 男の後に続き、俺たちは数人は休めそうな空いたエリアに辿り着いた。


 「よし。ここなら大丈夫だね。それじゃ、とりあえず僕のことから話すよ。早く信頼を得るためにね」


 「あ、お願いします……」


 「ははっ。そこの彼女ももっと楽にしていいよ?」


 「分かりました……」


 シズクがまだ少し怖がっているような感じを受けた男は小声で『怖がらなくても大丈夫なのになー』と言ってから俺たちに話し始めた。


 「うーん。まずは僕の素性からだね。僕はルイス。一応ハーフかな。それと、多分君たちが聞きたいことの一つだと思うけど、僕は一度この世界をクリアしているんだ」


 俺は驚いた。

 どうしてクリアした人がまだこの世界に残っているのか分からないからだ。

 自由意志で残れるのか? いやでも、それならエデンの塔に居る意味が分からない。


 それに、困惑しているのはシズクも同じだった。

 多分、シズク的にはクリアしても戻れないんじゃないかという不安に襲われてるんだろう。


 「そうだね。その反応が普通だよね。でも、これは真実なんだ。それと、今から話すことは多分この世界でも一人か二人が知っている事実だ。知らない単語があったら質問してくれて構わないよ」


 ルイスは俺たちにこの世界には天使が居ることなどを教えてくれた。

 幸いなのは、その事実を知っている一人か二人の内の一人が俺だったことだ。


 だが、ルイスはまだ世界をクリアしたあとに何故ルイスが居るのかと、どうしてそんなに強いのかを説明してくれていない。


 後者のルイスが強い理由についてはなんとなく察しがつくが、本人の口から聞くのが一番だろう。


 「あの。一つ聞いてもいいですか? この世界はクリアしても元の世界に戻れないんですか? それと、貴方以外の人は一体……」


 シズクが恐る恐るルイスに聞いている。

 まるでいつものシズクとは思えないほど、口調も変わっていた。

 これが恐怖というものなのだろうか。


 「そうだね。その話をしようか。まず、この世界をクリアして戻れるかどうか。それについては、戻れると断言するよ。ただ、それには条件がある。クリアした人が残るか、誰かを選択しなきゃいけないんだ」


 「それなら、適当な人を指名すれば……」


 「きみは誰かを犠牲にできるのかい? 僕は無理だったよ。僕が犠牲になるしか選べなかった。だからここに居るんだ。あ、それと僕以外の人は全員元の世界へと強制送還されたよ。残るということは不可能だ。まぁ、今回は分からないけどね」


 ルイスの言葉によって、俺の聞きたいことの一つは解決した。

 あとはこの人の強さについてだ。


 「ルイスさんが強いのって、やっぱりこの世界にずっと居るからですか?」


 「えっ? あー。うん。そうだよ。僕は君たちがこの世界に来てから、ずっとエデンの塔を潜ったり高難易度のダンジョンに行ったりしてたからね。君たちよりも遥かに強いよ。それと、鑑定は僕には効かないんだ。鑑定無効のアクセサリー着けてるからね」


 どうしてか俺の心のうちを読まれた気がした。

 確かに、今俺はこの人の言葉を聞いた時鑑定しようと思った。

 怒られるだろうが、謝れば大丈夫だろうと思っての行動だ。

 だが、それをこの人は見抜いて止めてきた。


 「他に聞きたいことはあるかい?」


 「いえ、特には」


 とりあえず、この人が英雄(ヒーロー)ということが分かった。自分を犠牲にしてみんなを助けるなんて英雄としか思えないだろう。


 「あぁ。それと、先に謝っておくよ。僕はね、この世界から抜け出すために君たちを利用しようと思ってたんだ。だから今こうして91階層を歩いてた。ボスを殺していけば君たちは自ずと最後の部屋に行けるだろ? そこで誰かが残れば僕は帰れるというわけさ。でも、今考えればこの考えもクズだよね。自分ばかり助かろうとしてるみたいでさ」


 「いえ。多分、もし俺がルイスさんみたいに残ったら、きっと俺も同じ考えになったと思います。ずっとこの世界に居たいなんて思いませんからね」


 「そうね。ルイスさんはクズじゃないわ。優しい心を持った正真正銘の英雄よ」


 シズクが柄にもなく褒めていた。ようやくルイスに怯える必要がないと分かったのだろう。

 段々といつものシズクに戻っていた。


 「そうかい。ありがとう。君たちと出会えて良かったよ。そこでだ、今から僕はボスを倒しに行くんだけど、一緒に来るかい? もちろん、君たちは絶対に死なせないと約束するよ」


 「もちろん行きます。足でまといになるかもしれないけど、よろしくお願いします」


 シズクも俺の方を見て頷き、俺たちは三人でボス部屋へと向かう事になった。


 また少人数でのボス戦だが、俺たちは本当に勝てるのだろうか。

 そして、何故だろう。

 こんなにも優しくて良い人のルイスが、まだ俺たちになにかを隠している気がした。


 「それじゃ、行こうか」


 いや、きっと何も隠してなんていないだろう。


 俺はそう思うことにして、ルイスの後を付いてくのだった。

o(´^`)o ウー


土曜日どうしても外せない用事があるので、次の更新は一日遅らせて日曜日の深夜12時になります。


楽しみな方ごめんなさい(´;ω;`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ