10話 一人旅
時は経ち、俺とヒマワリが離れ離れになってから数週間が経った。
既に俺はそこらのプレイヤーよりは強くなり、今はこの世界における街の一つに滞在している。
「明日はどこ行くかな」
宿屋を借りて、数日。一人で行く場所を探しているのだが、この街の近辺は俺のレベルだと敵わない敵が多すぎるが故に悩んでしまう。
「俺ももっとレベル上げればなぁ……」
『ステータス』
名前:ヒイラギ エンマ
レベル:35
所持金:23560マニー
HP:352
MP:94
スタミナ:105
STR:69
VIT:84
DEX:52
AGI:74
INT:56
LUCK:38
CHARM:0
武器:黒曜石の剣
頭:
胴:黒羊のコート
腕:魔法のガントレット
腰:黒のズボン
足:魔法のロングブーツ
アクセサリー:
スキル: 【火魔法Lv.1】【氷魔法Lv.4】【雷魔法Lv.2】【風魔法Lv.3】【剣技Lv.2】【鑑定Lv.5】【感知ガード】
称号: 四属性を使いし者
能力振り分けポイント:0
使用可能スキルポイント:425
取得可能スキル:【闇魔法】【光魔法】【ソードインパクト】【サウザントスラッシュ】【エレメンタルソード】
俺は、自分のステータスを見て、いつの間にか鑑定のレベルが上がっていることに気づいた。
「そいや、鑑定ってスキルの説明とかも見れんのかな……」
素朴な疑問を持った俺は、試しに鑑定を使って氷魔法を見る事にした。既に、鑑定の使い方を大方マスターした俺は、一点に集中してみることができるようになっていた。
『氷魔法鑑定完了。鑑定結果表示。
氷魔法。レベルを上げることによって使える魔法が増えていく。相手に氷のダメージを与え、スタミナを減らす事が可能。レベルを上げれば相手を凍らせることも出来る。
Lv.1【氷結】Lv.2【アイスアロー】Lv.3【ブリザード】Lv.4【アイスジャベリン】Lv.5【???】』
やっぱりだった。鑑定はしっかりと魔法についても教えてくれて、レベルによって覚える魔法まで教えてくれた。とは言っても、今見えている魔法は全て俺が使ったことのある魔法のわけなのだが……
「さてと、他にも色々見ていきますか!」
こうきて、宿屋で魔法についてやステータスを鑑定していると、時間は圧倒間に過ぎてしまった。
結果、魔法については大体知ることが出来たし、詠唱しなくても【火魔法Lv.1ファイヤーボール】と、こんな感じで言えば使えることが分かったのはいい収穫だった。
「さてと、そろそろ寝るかな」
ヒマワリと別れてから、本当に俺は一度もパーティーを組んでいなかった。ギルドにも何回か誘われたが、幾度となく断り続けた俺は、いつの間にか孤独な人間として噂されていた。
「俺は一人でもやっていける……」
そう呟いて俺は眠りについた。
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朝日が昇り、窓から漏れる眩しい光が俺の部屋を照らす。
それによって俺の目は覚めてしまった。
「ふぁ〜……ん。今日もゲームのクリア者はなしか……」
俺は目覚めてまず運営からのお知らせという画面を見た。これも数週間の内に追加された機能の一つだ。
それに加え、数週間の内に色々な機能やこのゲームのクリア方法が公開された。
「この世界のダンジョンをクリアして100層あるダンジョンを攻略しろってのはなぁ……」
俺が部屋から朝食を食べに階段を降りた時、ちょうど食堂のような所から大きい声で独り言を喋っている俺のような孤独な人間を見つけた。
「おじさん。エッグ定食一つ」
「あいよっ!」
俺は朝食を頼み、さっきも孤独な人が言っていた言葉の通りのことを考えていた。そう、このゲームの攻略法だ。
俺がヒマワリと別れてから1日後に伝えられた攻略方法。
『この世界にいくつもあるダンジョンをクリアして鍵を入手し、中央にそびえ立つ100層ある塔を1層ずつ攻略しろ』
今も覚えておくためにメニュー画面にて保存してあるが、これは俺たちに対しての命令だった。
そして、今現在俺達がクリア出来ている層はたったの3層まで。全プレイヤーの最高レベルは分からないが、噂だと30前後らしい。俺とそう変わらない。
「兄ちゃん!飯いらないのか!?」
「あっ!ごめんなさい。ちょっと考え事を……」
「ちゃんと残さず食うんだぞ」
俺が考え事をしているうちにどうやら朝食は出来たらしい。
俺は、まるで人間のように喋り、俺に朝食まで作ってくれた『NPC』を見て、考えるのをやめ朝食を食べ始めた。
「ふぅ。飯も食ったし、とりあえずレベルの弱いとこ行くか」
俺は宿屋を出て、街を出た。
この街にも数日滞在したが、俺以外にプレイヤーは数人しかいなかった。
「とりあえずレベル20くらいの所で良いかな」
今この世界で戦っているプレイヤーの中で最も多いのはレベル20前後だろう。
だが、この世界においても戦わないという選択肢はあった。あらゆる街にもプレイヤーの店はあるし、鍛冶屋もある。戦いたくない者は商売をしながら生きてく道を選んだ。
「俺は絶対に誰よりも強くなるんだ……」
俺が一つ前に行った街で売っていた転移石を手にして俺は自分の行ったことのある場所へと転移した。
最も、この転移石は頭の中で行ったことのある場所をイメージした時に転移するのであって、その際に少しでも邪魔が入ると全く違う場所に飛ばされることもある。
「いっててて……」
このように、今俺は転移しようとして余計なことを考えた故に前方に海がある謎の場所へと転移してしまった。
「くっそ……こいつ、硬いじゃねえか……」
「どうすんの!? 私達このままじゃ!!」
「お前達は逃げろ!! 俺が1人で引きつける!」
「そんな事したらお前が死ぬだろ!!」
俺は頭から転移したこともあり、ぶつけた頭を押さえながら4人のパーティーがモンスターと戦っている所を見ていた。
意外と近くで戦っているからか、それとも大きい声を出してるからなのか、絶望的な状況というのは俺でも理解出来た。
「はぁ。やっぱり助けるしかねえよなぁ……」
パーティーのやつらが戦っているのは俺も一度一人で戦ったことのあるやつだった。
本当は助ける義理もないが、しょうがなく俺は正義感に駆られ剣を取り出しながら歩き始めるのだった。




