狂気の淵へようこそ
リプレイ擬き
〜シャーロット視点〜
「どこだここは」「……はっ、ここは?」
俺は自室で確かに寝たのだが、何故こんなところに。可能性を考えるなら、誘拐と夢だが…夢の可能性の方が高いな。だが俺があったこともない奴が夢に出て来るか?ううむ…わからん
「ねえ、あなたはここが何処かわかる?」
おっと考えることに集中し過ぎてもう1人の女の事を失念していた。だが困ったな。俺は人と話すことが苦手なんだが…
「わからん」
「あらそう。取り敢えず看板を見に行かない?何か分かるかもしれないから」
「わかった」
確かに白い部屋の真ん中に目立つ看板があれば見ろと言ってるようなものだしな。む、女が動いた。付いていくか。
「えーっと、『狂気の淵へようこそ。冒涜的な世界に積極的に首を突っ込みたいという方々のために、〈練習〉の機会をもうけました。まずは、皆さんで協力してこの部屋から脱出して下さい。』か」
「む、女、読めたのか?」
「なによ失礼ね。これくらい読めるわよ」
「お前、どこの生まれだ?」
「?生まれも育ちも日本よ?」
「そうか。俺はイギリスだ」
「それがなによ」
「この看板、俺も読めたんだ」
「それがどうし……え?まさか…」
「ああ、俺から見たら英語で書かれている。それに今俺は英語で話している」
「少し…気味が悪いわね」
なんなんだこの空間は。色々とおかしいことが多すぎる。
「ねえ、ここから脱出するには協力しないといけないようだし、名前くらい教えてくれない?」
「人の名前を聞くときは自分から名乗るのが礼儀ってもんだろ?」
「そうね。私はコウよ」
「そうか。俺はシャーロットだ」
ん?なんだこれは。カードか?だがこの赤字のCってのはなんなんだ。
「なにそのカード」
「わからん」
「じゃあ他に何か……右側の壁に溝があるわね。行ってみない?」
俺は目がそんなに良くないから見えないが、他に何も無いし、付いていくか。
「わかった」
「そ、じゃあ行こ」
「うーん。この溝開きそう」
「そうなのか?よく見えなっ」ガンッ
「大丈夫?」
「ああ………まさか何も無いところで転ぶとは」
「大丈夫そうね。…半分開けてみるわ」
「わかった」
「ん、これは…懐中電灯かしら?他には…無さそうね。取ってみるわ」
「わかった」
「いえこれは、ブラックライトね。何使うのかしら」
「点くのか?」
「えーと、点くわね」
「そうか。後回しでいいんじゃ無いか?」
「そうね」
後は何がある…扉か、見に行くか。
「あ、ちょっと!どこ行くの?」
「扉だ。何かあるかもしれん」
やはり開かないか。だがこのスイッチはなんだ。
「あ、スイッチ。電気と思うんだけど…えいっ」
「おいっ!」
せめて躊躇してくれよ…まったく。
「暗くなったわね。やっぱり電気だったのね」
「そうだな」
「んー、ここでブラックライトかしら?」
壁、天井に暗い光が点く
「なにも無かったわね」
「おい、床はどうした」
「ああ、忘れてたわ」
ん?看板近くの床にこれは……鍵のマークか?
「鍵?」
「みたいだな」
「行ってみましょ」
「ああ」
「で、これをどうすれば良いのかしら」
「なにか……切れ目があるな」
「開けてみるわ……鍵ね」
「これでこの部屋から出れるな」
「そうね。行きましょ」
「ああ」
行くか。だがあそこがゴールという可能性は低いだろうな。はあ…まあどっちでもいい。俺はここから脱出する為に頑張るだけだ。