ろうからでたひ
少し文と文の間をあけてみました。少しは読みやすくなってると良いな、とおもいます。
兄弟になったあと、鬼はおにをみて気づいたかおをした。
「俺の妹にしてはきたねぇなあ。」
鬼は言う。
「ついてこい。」
鬼はそう言って「ろう」の外へあるきだす。おにもついていこうとして、ころんだ。いたい。
「あー、歩けねえの?」
鬼は頭をかきながらきく。うなずいた。
「しゃあねえなあ。」
鬼はおにを肩にかついだ。おにのおなかが鬼の肩にのって、おにの顔は鬼のせなかに、おにの足は鬼の胸の前にきた。そのまま鬼はずんずん歩く。おにもゆらゆら揺れた。空気がおにのほほをなでて、おには「ろう」の外に出たんだなとおもった。おにの目には鬼の背中しかみえない。すこし、ざんねん。
どれくらいあるいたんだろう。おにはゆれつづけた。なんだかぼーっとなってきたころ鬼がとまった。おにもゆらゆらしなくなった。鬼はおにをおろした。つめたい。
おにははじめて「ろう」からでて外をみた。おには「ながれるあめ」のなかにたってた。ひざまであめがながれてる。
「あめ、いっぱい。」
つかれてすわる。ぴちゃり、と音がなった。すくって飲んでみる。かわいていたのどがよろこんだ。
「あ?雨じゃねえよ。これは川だろ。」
鬼が着物を脱ぎながら言う。かわ、おにはつぶやく。かわのじめんは少しぬるぬるしていた。鬼はぬいだ着物を木にかけて、かわの中にはいってきた。
「こうやって土落とせ。」
そう言って鬼はうでや肩をみずにつけてなでる。おにもまねをした。はだについてた土がとれて、おにはとてもおどろいた。かみのけの土もとれるだろうか。かみをかわにつけてなでてみる。かたかったかみのけがやわらかくなってきた。
「俺もやってやろう。」
鬼がおにのかみをさわる。上から下に泥をおとしていく。おには鬼にせなかをむけて鬼のしやすいようにする。なんだかここちよかった。
土をおとせばおにのかみのけはやわらかくなった。「ろう」のときはかたかったのに、とてもふしぎ。鬼はやわらかくなったおにのかみをなでて笑った。
「綺麗にすりゃあ、けっこういい髪してんじゃねえか。小望。」
鬼はおにのかみをほめた。おにを小望とよんだ。なんだかむずむずした。
「おに、もこう?こも?」
「妹紅はおまえの大切な名だ。誰にも教えんな。こもは誰が呼んでもいい。小望は兄弟名だ、俺だけが呼べる。」
鬼が小望の頭をなでながらいう。
「赤月はこもだけ、よべる?」
小望がきくと赤月はにかっとわらった。
「そういうこった。」
赤月はこもをもちあげてかわからでた。「あー、ふくもんがねぇ。」といって木にかけてた着物で小望をふいた。ふいたあと「小望の着るもんもねえ。」といってあわてた。
「こも、なにかきたことない。いらない。」
と言うと、赤月は顔をしかめて、「まぁ、今日はしゃーねぇな。」と言った。
「今日はここで寝るか。こい、小望。」
そう言って赤月は着物を着てからかわの近くの木にもたれかかって小望を呼んだ。
「こうしたら少しは寒くなくなんだろ。」
と言って、足の間に小望を座らせてだきしめた。赤月はあったかかった。
よんでいただき有難うございます。