いつもとおなじ
完結までいけるようがんばります。
うまくまとめられていませんが、読んでいただけたらとても嬉しいです。
暗い「ろう」の中は「おに」と「ねずみ」と「むし」しかいない。「ひかり」は「てつごうし」をこえてもおにの所までははいってこなかった。
「おい、鬼。」
「てつごうし」をける音が「ろう」にひびいた。とてもうるさい。ゆっくりとおき上がれば、舌打ちが聞こえた。どろや土ではだにくっついた髪がとれて少しいたかった。
「お前のせいで今日も見張りだよ。こんな山の中の洞窟に毎晩毎晩…、なぁ、お前なんでいきてんの?」
兄が「てつごうし」の「そと」からのぞきこみながら言う。
「…わからない。」
おにの声はひびわれていて、声を出すと口がいたかった。兄は顔をまっかにして「てつごうし」をけりはじめる。かおが赤くなっておもしろいな、とおもった。
「お前のせいで!お前が生まれたからかあさんは死んだんだ!鬼が生まれたから、俺らは無視されるんだ!なんで鬼の血族っていわれるんだよ!」
がんがんとひびいてとてもうるさい。
「俺は兄なんかじゃない、鬼の兄なんかじゃないんだ…!」
兄の声がふるえて、目からなみだがおちていく。
おにはしっている。おにが「かあさん」のおなかを裂いてうまれた日も。兄と「とうさん」が「むら」から、はじかれるようになった日も。たがやしてた「はたけ」をとられた日も。おにを「ろう」にとじこめた日も。みはりにくるときも、兄はないていた。
兄はないていた。おにのせいで。でも、おにはなにも思わなかった。
なきごえがきこえる。
いつもとおなじだった。
読んでいただきありがとうございました。