突然ばかりの物語
次の日の朝。
6時14分、目が覚めた。
勢いよく布団から起き上がると、みんなが残念そうにこちらを見ていた。
「・・・ごめん。この時間じゃ散歩できないね。」
どうしよう。という本気で困った顔で言っても、笑うことも悲しむことも、みんなが考えていることは分からない。
教科書などが入ったリュックを背負い、家から出る。
「ディティーレ本部っていうの、南市の中央駅あたりだ。」
駆け足で、考え事をしながらバスに乗る。
《東市駅行き。々 このバスは、永家経由の~》
放送を聞き流して、一番後ろの左端に座る。
その間に、小銭の確認をする。
「足りるかな。こっから駅に行って電車のって、往復、、足りるか。」
小銭を左手に乗せて、右手で分けて計算をする。ギリギリというくらいでホッと安心する。
数分のうちに駅に到着し、電車に乗り換えて南駅へと向かう。
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南駅に到着した後に、歩いて数分。
オレンジ色のテラスハウスに着いた。
横に5つで、各部屋には2階に直接行ける階段もついていた。
ディティーレ本部とやらは、105のはずなのだが、両端にいっても105という札はついていなかった。そこで2階に上がってみると、ドタドタと騒ぎ音が聞こえた。
それは端の部屋で、そこか。と半信半疑でインターホンを押した途端に勢いよくドアが開いた。
「あれ?お客さん!?」
金髪と目立つ頭だが先日の人とは違い、青いバンダナを付けていて、目の色が水色だった。明らかに外人なのだが日本語がペラペラ。
「油断禁物だぁ!!」
部屋の奥から聞こえた言葉に、金髪の人は素早く反応した。
「ちょい、待て!お客だっつの!」
パリンとガラスの割れる音。きずけばキラキラと、ガラスの破片が床に転がっていて、
「お客なんかどーでもいーー!」
「うわっ、ごめん!伏せて!」
金髪の人が俺を押し倒して、俺はしりもちついた後には塀に背中をぶつける。
「いっ」と苦痛に小さな悲鳴を上げるも、かぶさるように俺の上にいる金髪には聞こえないようで。その瞬間にも割れる音は頭上で響く。
そしてパラパラと破片が落ちてくるのが分かった。
「キノ!お客さんは第一優先だ!」
「知らねーよー!」
覆いかぶさっていた人が避けると一気に視界が明るくなる。
金髪の人の髪は左の方が一部長く、オレンジ色っぽく変色していた。
完全などっかの人種だ。
そう思った途端に聞こえた一言。
「何やってんだよ。」
低く低温な怒りのこもった声の正体は、昨日であった女の人。
「げ、リト、、」
青ざめる金髪の外人。
「おーい!何してんだよぉ、」
そんなことに気付かず部屋から出てくる少女。
「おい、キノ。今日で何枚皿割った?」
「ひっ、な、、なんでリトがいんの?そのまま学校行くって言ってたじゃん。」
彼女もまた顔を青ざめる。