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退屈な物語
家に着いて、第一に聞こえてくるのは破壊音。
痛々しく響くガラスが割れる音、金属が折れ曲がる音。
こっそりと部屋に戻り、皆をゲージに帰してリビングへ。
散らかっている部屋で、床から服を取り上げて洗濯機へ放り込んで、スイッチを入れる。
その他に、床に散らばっているタバコの吸い殻や壊れたリモコンなど、棄てたり整理したりと急ぎ々掃除する。
その時、一つのドアが開いて大男がリビングへと訪れる。
ふと、目があった。
「あぁ。何睨んでんだコラぁ。文句あんのかよこらぁ!」
「!いや、睨んで、、ない、、、よ。何も、、ない。」
睨んでもいない。ただ目があっただけ。あれが俺のお父さんという存在。
キッチンの方へ行ったと思えば漂う白い煙と、ツンとくるタバコのにおい。
みんなの部屋には匂いが行かないようにしないと、
そんなことを必死に考えながらも掃除を進める。
今日一日も平凡で、退屈で。変わることなどないんだと、俺は知った。