不思議な物語
「お前、動物好きか?」
突然聞こえた言葉に振り返ると、フードをかぶった睨みつけてくる女の人と片耳にオレンジの羽をぶら下げた男の人。
「いや、突然そんなこと言っても困るから。」
「・・・好きですけど。」
男の人にフォローされたが、なんだかイラついたから仏頂面で答える。
「まぁ、、肩にインコ乗せてりゃそうだよね、、」
ギリギリ聞こえる程度のつぶやき。一瞬、ヘラッと笑う男の人は無表情に変わる。
「今日は暇かな?」
いかにも作り物な笑顔で語りかけられる。なんだか、とてつもなく腹が立ってしょうがない。
「暇じゃないです。」
嫌味交じりに、それじゃ。と背を向けると女の人が腕を力強く掴む。
「話は最後まで聞くもんだろ、?」
女の人は、こわい。男の人は腹立つけど、女の人はなんか怖い。
「まぁ、リト。そう怖がらなさんな。えと、家にパソコンとかある?あれば、これ調べてみてよ。」
女の人、リトと呼ばれた人の腕を退かして掌に紙を乗せる。
「連絡先とか、住所も載せてるから、気が向いたらお願いね。」
俺の顔を覗き、目を見つめる。なんだか、見透かされているようで、紙を握る手に力が入る。
「そ、それじゃ、俺行きますから。」
腕を振り払い駆ける。池の方に向かってノボルを籠に入れる。その後にはドックランの元に走りダッシュについた泥をはらってリードを付ける。その間にもジャンプは跳んできて、一緒にリードを付けて、帰路に着く。
「なんか、まだ朝って感じがしないや。」
呟きに応じるようにみんなが俺の方を見る。
ジャンプは頭をすり寄せて。ダッシュは俺のためにペースを落とす。
俺は、家族に愛されていなかろうと、皆がいる。
動物だけが、俺の癒しだ。
人間なんか、大っ嫌いだ。
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男女は、川沿いを歩いていた。
「今日の子、ホントに動物好きなんだろうね~」
男が口にすると、女は仏頂面になった。
「猫と犬を一緒に飼うなんて最低だね。」
「いや、そうでもないよ。仲良さそうだったし。」
「・・・話してみたかったな。」
「俺も。。」
市の境目に来ると、道を違えた。
「それじゃ、明日は行かないから。リト、宜しくね。」
「あたしはあんたがいなくて嬉しいよ。サキ。」
男は北市。女は東市。
境目は北東川。
二手に別れて、家へと帰っていく。