同じ物語
世界って、三つの種類に分けられるんだと思う。
一つ目は、
いつも生活している、残酷で汚くて、矛盾がたくさんの現実と書いたリアル。
二つ目は、
たまにしか出会えない、しっかり決まっていて、矛盾なく、綺麗で、それでもどこか不安定な、非現実と書いた夢。
三つ目は、出会うことが出来ないかもしれない。出会わないことが出来ないかもしれない。綺麗で汚くて、矛盾もないかもしれなくてあるかもしれない。一番不安定で、一番謎が多くて、一番不思議な、異現実と書いたありえないこと。
俺らはきっと、そんな中で暮らしているんだと思う。
もしも今、目の前にコブラがいたとする。すごくテンパってる俺がいたとする。
そして、これは夢だ!と目を背ける。
例え、コブラが頭に噛みついてこようとしてる中でも、目を瞑って、夢だ!夢だ!
と唱え続けるんだと思う。
例え、それがホントの現実でも。
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「それがホントの夢だとしても、」
ふと、目を開ける。その先にあるのは見慣れた天井。
体を起こしてあたりを見回しては、頭に傷がないかを確認。
「あ、違った。あれは夢だ。別に痛くなかったし、ぶつけてはいないはず。」
ハッと我に返るように気が付いた後、夢のことを思い出す。
「なんで、夢の俺はあんなにおびえてるんだろう。」
そんな呟きをして、部屋をでる。
「蛇だよ。コブラだよ。会いたかった動物ランキング一位じゃん」
ブツブツと唱えつつ、床に散乱した服から何からを見つめて、ため息をつく。そして、隣の部屋に目が行く。
そこには、とても大事なものがある。唯一の癒しだ。
の、その前に。汚い床で転ばぬように慎重に歩いてキッチンへ。
食卓の上には、食パン。
「このパン、、期限昨日じゃん。」
パンの期限は確実に今日の日付ではない。
「まぁ、火を通せば大丈夫か。」
そして、フライパンを火で温めて、パンを入れる。
軽く火が通ったのを確認したら、暑いパンを持って癒しの部屋へ。
「おはよう。今日は食パンだけど我慢ね。」
猫と犬と、インコとトカゲ。
飼っているのだ。ちゃんとした餌は買えないから、食べても問題ないものあげている。
「オハヨう!オハヨう!クウ!」
インコのアオグは返してくれる。
「アオグ!偉いぞ!名前を覚えてきたな!」
しっかりと褒める。頭をなでれば、「アオグ!エライ!」と繰り返す。
「オァウォォオオオ」
猫のジャンプはやっぱり猫語。語尾を伸ばしながらも口を頑張って動かす。
「うん。ジャンプも返してくれた!偉いよ!」
あごの下をくすぐれば、ゴロゴロと喉をならす。
犬のダッシュは、無いつも無反応。
トカゲのノボルは、尻尾をパタパタさせる。
「よし、ノボルのあいさつはそれだもんね!」
今日も同じ日々なんだ。