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落ち着かない物語

リトさんと話をしていると、さっきソファで寝ていた人が来た。


「リト、そろそろにしたら?」


そこまで低くない声で言う人は、ブラウスを着ていてやっぱり中学生。

そして、


「変なマスク」


赤い☓印の書かれたマスクを着けていた。


「・・・」


本人は無言でピクリとも動かないんだが。


「あははは!そうも言ってやるなよ。ラウ落ち込んでるよ。」


「え、」


どうやら落ち込んでいるようだった。


「まいいや。功也、学校まで一緒に行こう。バスなら同じだし。」


「え、あ、、はい。」


ちらりとラウ、、と言う人の方を見ると目があった。

むこうはすかさずそっぽを向いた。


「あぁ、ラウは南市の方だから。学校は違うよ。」


「そうなんですか。」


「おう。そんじゃ、行こうか。」


*************************************


中央駅に着いたとき、電車に乗らずに東市に行けることを知った。

そのままバスに乗って、1人席の前後に座って話をした。


「つまりさ、あたしらは気まぐれにやってるなんでも屋なんだよ。」


「お金は取るんですね、、」


「そりゃあたしらも集まってるわけだし。電気代とかはそっちでまかないたいんだ。」


「そんなに以来あるんですか?」


「いや、そんなにないし、本当に大したことなけりゃ金はとらない。」


「なんか、大変ですね。」


「そーなんだよー」


話をしているうちに、小学校の二つ前の停留所にいた。


「そろそろだ。」


ただの、ちっぽけな呟きで聞こえるとは思っていなかったのだが、


「あぁ、そろそろだね。大丈夫?」

バスのエンジン音。そこまで近くない距離。俺は前でリトさんが後ろ。

こんな距離で聞こえるものなのか。


「はい。リトさん、耳いいですね。」


「え、そう? あ、はは、よく言われるよ。」


明らかに焦っている。

なんなのだろう。それになんだか、


「調子悪いですか?」


なんだか違和感。とても居心地が悪そうだ。


「え、分かる?」


「いえ、なんとなく。」


「いや~、まぁ、調子悪いっていうか、、落ち着かないんだ。」


「え、なんで」《並樹小学校前~並樹小学校前~》


遮るようにバスの放送。気が付けば学校の前だった。


「あ、降ります!」


バックを持ち直して急いで降りようと小銭を入れる。

けれど、


「え、足りない。」


掌にのせていた小銭では足りていないようだった。

すると、


「ほらよ。」

足りない小銭を入れるリトさん。

目を合わせてもにっこり微笑まれ、背中を押されバスから降りる。

外からリトさんを見ると、安心したように手を振ってきた。


なんだか、申し訳ない気分だった。

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