第九十六話
「さぁさぁ皆様方、よくぞお集まり頂きました! これより幻想雪合戦、並びに幻想雪祭りを開催する事を此処に宣言致します! 雪合戦に参加して日頃積み重ねた仲間との絆を試すも良し、雪祭りでのんびりとかまくらでお酒を飲んだり屋台の熱々料理に舌鼓を打つも良し! さぁ皆様方ッ! 盛り上がって──行きましょうッ!!!」
「「「「「オー!!!」」」」」
某日。無事に天候にも恵まれ──吸血鬼参加を考慮して曇り空だが──無事に開催となった幻想雪合戦。にしてもお祭りとはまぁ……初めて知ったよ
それにしても、流石は人里の職人達だ。屋台で並べられている料理は全て出来たてで熱々、とても美味しそうだ。お、お好み焼き発見っと……後で買うかな
「ゆ〜や〜! 久しぶり〜!」
「わぷっ!? ゆ、幽々子……顔面に雪は止めてくれ、冷たい……」
「あら、それじゃあお姉さんが暖めて……」
「はい幽々子様、そこまでですよ。後で紫様に小言を言われますよ〜?」
雪合戦は現在参加者の登録中なため、開始まではまだ時間が有る。なので人里の屋台を見て回っていたのだが、幽々子達は早速買い食いをしているみたいだな
お好み焼きを豪快に頬張る幽々子と、荷物持ちとしてそばで立つ妖夢。……腹減ってきたなぁ
「なぁ幽々子、一口貰えないか? もちろんお金は払うからさ……」
「ん、悪いけれどこればっかりはダメよ〜。お好み焼き屋ならあっちに有ったから、行ってらっしゃ〜い」
「あはは……悠哉様、申し訳ありませんがそういう事ですのでどうかご勘弁を」
……仕方ない、まぁ俺が悪いし自分で買ってこよう。で、足を教えてもらった方向へ向けしばらく歩くと……お、有った。良い匂いでこれはたまらない
「らっしゃーい! 今なら焼きたて、美味いよー! お、そこの兄さん一つどうだい? 今なら少し多めに具材を足しておくよ!」
「それなら……四人前、頼もうかな」
熱々の湯気が立つソレを受け取り、戻って紫達に渡せば笑顔で食べ始める
「うん、美味しいわね……藍、後で追加で買いましょう」
「そうですね……橙、美味しいかい?」
「はい! ちょっと熱いですけど、とっても美味しいです!」
しばしまったりとした時間を過ごし──雪合戦の参加者登録場から弾が幾つか上がって弾ける。ふむ、登録の受付が無事に終わった様だ
「あれ? そう言えば……俺らって登録ってしたか?」
「えぇ、藍に頼んでね。私は審査とかそっち側に回るから、貴方と藍と橙の三人で申請してあるわ」
「そっか。んじゃ、やるからには優勝を目指しますかね……!」
「おー、ですね! 藍様も悠哉様も、頑張りましょう!」
「うむ、八雲の力を存分に見せつけてやろうか!」
……一つだけ気掛かりが有るとするならば。ソレは紫が最後の最後まで秘密にしていた、切り札の存在だ。中身は今だに分からず、対戦が始まってようやく分かるらしいが……変なの出ませんように




