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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第八章──開幕! 幻想雪合戦!──
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第八十九話

「……ふわぁ……ん、んぅ〜」


目を覚ますと、見慣れた自室で布団を被って寝ていた。薄めたとはいえやはりお酒、少しだけ痛む頭に思わずしかめ面になってしまう


取り敢えず水でも飲むか……そう思って右手をついてふと、柔らかいモノの感触が手のひらいっぱいに伝わってくる。そこで初めて、隣に誰かが居ることに気づく


「……なんで、紫と寝てんだよ俺……?」


──まさか。いや、互いに服に乱れはないしその可能性は極めて低い筈。起きたら紫自身に問うてみようと思い直し、やや速まった心臓の鼓動を感じながら洗面台へと向かう


幸い足元はしっかりとしているからあまり影響はないらしい。二、三度顔を洗い水で喉を潤す。ふぅ、と一息ついて……鏡に映る自分を見る


「大丈夫、だよな……?」


「何がだい?」


何気無く呟いた一言に返されたことに驚き振り返ると、伊吹萃香が相変わらず酒臭い臭いをさせながら揺れていた。身体はブレブレだというのに眼だけはしっかりと俺を映している。瞳に映る俺は、何処か不安気にも見えた……


「いや、なんでもないさ。ちょっと人生初の飲酒をして、身体は大丈夫かな〜とな」


「……ふぅん、そうかい。ところで紫を知らないかい? 見当たらないんだけどね……」


……どうやら萃香は知ってる上で尋ねているようだ。正直に言えば変に誤解されそうだが、誤魔化せば鬼として一発飛んできそうでもある。まいったな……


「……知ってるが、教えられない。コレで満足か?」


「嘘は言ってないから、まぁいいさ。あ、そうそう紫の式神の藍が朝食出来たってさ。だから早く──紫とおいでよ」


ヒラヒラと手を振りながら背を向けて歩きだす萃香に、やっぱり知ってんじゃねぇかと毒づく。知ってて聞く、質の悪い鬼だ……


なんとなくモヤモヤとする気持ちを抱えたまま自室に戻ると、身支度を済ませた紫が微笑みを浮かべてスキマに腰掛けていた。どうやって、とかはもう聞かないし驚かないので手早く着替えて──もちろん紫には後ろを向いてもらってだ──居間へと向かう


「おはよう悠哉、お酒は……幾分抜けたようだな。二日酔いにでもなってるんじゃないかと心配したんだぞ? かなりの量を飲んでたからな」


「おはよう藍、そんなに飲んでたのか俺……全く記憶に無いんだが。まぁ少し頭が痛いくらいだから問題無いよ」


──朝食を終え、後片付けをしてから庭に出て軽く運動をする。霊力のコントロールや飛行訓練、続いて弾幕……と行っていると紫がひょっこり顔を出した


「精が出るわね。霊力の量も質もコントロールも、前に比べて見違える程になったわね……教えた甲斐が有るというものね」


「そりゃあな、先生が違うからな。そこら辺のヤツじゃなく、八雲に直々に教わったんだ。もしこれでダメだったら俺はもう弾幕は諦めるよ」


「ふふ、でも貴方の実力や才能も一端を担っているのだから私だけの力ではないわ。──そうだわ、一度実戦形式で弾幕ごっこをしてみないかしら?」


「……紫と? どうした、俺を叩きのめしてもぐうの音しか出ないぞ? 別に金を落とすわけでも経験値を貰えるわけでもないのに……」


「あのねぇ……あくまでも今の貴方の実力を知るためにやるの。……何か異存は?」


「……はぁ、ねぇよ。わぁったやるよ、でもくれぐれもお手柔らかにな? 自慢じゃないが、紫が本気で来るというなら十秒ももたんぞ」


「あら、十秒ももてば十分よ? それじゃ、準備しましょう。スペルカードはお互いに三枚、被弾も三回までで四回目でアウト。そうそう、能力は貴方は使わないでね? あくまでも貴方の実力を見たいから……この条件で構わないかしら?」


「あぁ、構わない。言っておくが、勝っても負けても何も無しだからな。後付けするなよ?」


──相対する俺と紫を縁側で見るのは、萃香と藍。さて、二人に失望されぬよう無様な負け方は出来ないな……


「さぁ、来なさい悠哉。貴方の実力、見極めてあげるわ!」


「あぁ、行くぜ紫。今の俺の実力、見せてやるぜ!」


八雲紫対数藤悠哉──弾幕ごっこ開始

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