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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第七章──決死、人里防衛戦──
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第七十八話

「来るわ! 藍は右、悠哉は左をお願い!」


眼前に迫る鼠型の妖怪の爪から繰り出される一閃を刀でいなし、腕を斬り落とす。悲鳴をあげるソイツの首を斬り絶命させ、続け様に寄って来る同じく鼠型の妖怪を蹴り倒す


直後、背後から弾幕が降り注ぎ鼠型が押し潰される。チラリと覗き見ると、先程別れた人里の守護者が援護射撃をしてくれた様だ。手を挙げて感謝の意を表し、周りに弾幕を張り巡らせる


俺は殺傷威力を持った弾幕は撃てないので、あくまでも遊びの範囲内で使われる弾幕をぶっ放す。相手の行動の邪魔になれば、それだけ紫や藍達の攻撃へと繋がる。そう考え、少しでも多くの弾幕を撃ち続ける


「藍! そっちは大丈夫か!?」


「問題無い! ──悠哉、後ろだ!」


反射的にしゃがみ込むと、すぐ上をかなり大きい質量を持ったモノが通り過ぎて行く。藍の忠告に感謝しつつ背筋に冷たいモノが流れていく……


振り返り様に斬りつけ、怯んだところをタックルで薙ぎ倒し弾幕を叩きつけて距離を取る。──相手の首元にスキマが開き、華奢な手が伸びていき……ボキリと嫌な音を立ててへし折る


「大丈夫かしら悠哉? 気を抜かない事よ」


「サンキュー紫。やっぱし力強いな……」


「あら、私は妖怪よ? 忘れちゃったのかしらね」


笑みを浮かべてボキボキと折っていく紫にも恐怖を覚えつつ、ひたすらに刀を振るう。だが、途中から妙な感触に襲われる


「……数が増えていないか? さっきよりも多いぞ!?」


そう、明らかに増えているのだ。しかも、動いているのは……死体。俺が斬り倒し紫達が叩き潰していった筈の連中の死体が、ゆっくりと起き上がり生前と変わらない動きで襲いかかってきたのだ


「くっ……まさか死体まで弄ぶとは……卑怯者どもめッ!」


「落ち着きなさい藍、一時人里の結界まで後退するわよ。悠哉、弾幕を張り巡らせて頂戴!」


「了解ッ! 時間稼ぎは任せてくれ! ──おい博麗、手伝え!」


広範囲に撃つのは骨が折れるため、空中に居た博麗を呼びつけて手伝わせる。一瞬不服そうな表情を浮かべるも、人里の安全と天秤にでもかけたのだろう。素早く降りてきて、一緒に弾幕を張ってくれた


「……よし。皆、早く!」


紫の合図で守護者が先ず入る。続けて博麗が入り、俺と藍が入る。最後に紫が身体を滑り込ませながらスキマを閉じる。こうして、全員無事に人里の結界範囲内へと後退することに成功した


「死者まで弄くって持ち出して来るなんて……死者をなんだと思ってんのよ! あぁもうムカつくわ!」


「霊夢も落ち着きなさい! 藍、急いで式神を紅魔館と白玉楼に送って頂戴。最悪の場合……物量で押し切られる可能性も有るわ。出来るだけ急いで頂戴ね」


「畏まりました。すぐにでも」


テキパキと指示をする紫を見ながら、刀を砥ぎ直す。先の戦闘で、幾分刃が欠けてしまっていた……硬過ぎだろ


「悠哉……ちょっとこっち来なさい」


「ん、どうした? 何か進展でも有ったか?」


「……怪我してるじゃないの。ほら早く」


引っ張られ続けていると、スキマから何やら薬を取り出す紫。聞くと、現在このスキマは永遠亭に繋がっており薬を貰い受けたのだとか


大人しく塗ってもらうと、少しの痛みの後傷が治り始める。あまりの早さに驚いていると、永遠亭の薬はこんなものらしい。すげぇ


「紫様。返事が有りました。紅魔館と白玉楼は東門から侵入するとの事。出来るだけその辺りの敵を排除する必要が有ります」


「なら、俺が行く。構わないだろ紫?」


「いいわ。ただもう一人援護に連れて行きなさい。そうね……なら藍、貴女にお願いするわ。結界は私と霊夢でなんとかするし、それに彼女も居るもの」


彼女──守護者の事だろうか? 兎も角、俺と藍の二人で援軍を迎え入れる準備をするために東門へと向かう。もう一仕事、やるか……!

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