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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第七章──決死、人里防衛戦──
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第七十七話

紫と別れ人里内を走り回った俺は、ようやく目当ての家屋を見つけ玄関を叩く。少々力を込め過ぎてしまい木の扉が軋むが、この有事の際には仕方ない。やや間が有って、女性が姿を現した


「一体何事かな? 急いでいるのは分かるが、もう少し優しく丁寧に──」


「悪いが問答している時間は無いんだ。アンタが人里の守護者……で間違いないか? 妖怪の賢者より人里に危機が迫って来ていると情報が来た。至急里の人間を避難させる必要があるんだ!」


「む……分かった。すぐに里の皆を集め、避難場所へと向かおう。君は……?」


「数藤悠哉だ、出来るだけ早く避難させてほしい。連中は外の妖怪共だから、問答無用で襲ってくるぞ!」


話をそこで切り上げ、彼女と共に里を走る。幸いにも、事前に情報が出回っていたためか皆準備を整えていたのですぐさま避難を開始。同時に簡易スキマ符を一枚切り、紫へと繋げる


「紫か! こっちはたった今避難を開始した! そっちはどうだ?」


「……芳しくないわね。意外と統率が取れているみたいで、思いの外勢力を削れていないのよ。最悪──此処で戦争が起きるわ」


「……そうか。誰一人として、死なせるものか……紫、俺も手伝う。妖夢に教わった剣術だってある、弾幕だって撃てる。だから、そばに居させてくれ……」


「…………分かったわ。でもこれは訓練でも冗談でもない、本当の殺し合い(・・・・・)よ? くれぐれも忘れないで、いいわね?」


「……了解」


守護者の方は──既に行ってしまったらしい。念のため逃げ遅れた人が居ないか能力を使って探りながら門へと向かう


……どうやら避難は完璧にいった様で、逃げ遅れた人は居なかった。もう一枚切って、今度こそ紫の横に現れる


「今、彼女の持つ緊急用の連絡符から連絡が入ったわ。里の人間全ての避難が完了したそうよ、ご苦労様」


「何もしちゃあいないさ、俺はな。……さて紫、目の前のあの大群が標的だな?」


門前で待機していた紫と、地平線に薄っすらと見える黒い塊を見据える。今は距離が離れているため小さく見えるが、もっと接近すればかなりの大群なのだろう


「……怖いの悠哉?」


「当たり前だろ? 俺は能力が有ってもただの人間だ、怖いさ。自分が死ぬかもしれないと分かってるから尚更な……でも、紫の横で紫のそばで居続けるって決めたんだ。弱音なぞ吐いていられるかってんだ」


「……妖怪の賢者として、何より幻想郷を愛する者の一人として、貴方の心意気に感謝と敬意を。そして、八雲紫個人として……ありがとう」


顔を見合わせて笑い合い、直後に切り替える。此処で守り切らなければ、避難した人達に被害が及ぶ。それだけは避けなければ……


「援軍の方は?」


「紅魔館及び白玉楼へと通達済みよ。永遠亭は……事後処理をお願いしているわ。主に治療や精神的なケアね」


「永遠亭……? まぁいいさ、終わったら話す機会くらい有るだろうしその時でも。……見えてきたな」


まだかなり遠いが、全体の規模を把握。傷だらけのヤツも居れば、まだまだ無傷なヤツも居る。ソイツ等の上空を藍の式神と博麗が弾幕で攻撃している


「紫様、人里の結界に不備は御座いません。全て万全で御座います」


「ありがとう藍。後は援軍を待ちつつ凌ぎきるだけね」


「悠哉、お前は……いや何も言うまい。覚悟を決めて残ったのだな、顔を見れば分かる。──油断するなよ?」


紫がスキマを開き、藍が両手に札と符を展開し俺が刀を抜き放つ。前方から押し寄せる大群とその殺気と圧力に怯みそうになるが、歯を食いしばって足腰に喝を入れる


「気楽に行きなさい。そんなに緊張し過ぎると却って動きを阻害するわよ」


「……了解」


「ダメですねこれは……えい」


……まさかの膝かっくん。だが緊張も幾分解れた、と思う。深呼吸を一つ、軽くストレッチ。うん、行けそうだ


「行くわよ二人共。──続きなさい!」


「はいッ!」


「応ッ!」


人里防衛戦──開戦

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