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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第七章──決死、人里防衛戦──
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第七十五話

[妖怪の賢者、外の妖怪に負傷させられる!?]


翌日、天狗が書いた新聞が幻想郷を駆け巡った。新聞名は文々。(ぶんぶんまる)新聞(しんぶん)、筆者は射命丸文しゃめいまるあやとあるがこの筆者実はゴシップ色の強い記事を書くので有名なのである


その新聞が真実をありのままに書き記して配布している辺り、それほどまでに大きな事件だと誰もが理解していた


「ってかいつどうやってこんな情報を……いや待てよ、随伴でこの天狗も同行していたとすると記事にするのは当然か。内容も紫から聞いたのと変わらないし、今のところは問題無さそうだな」


新聞をたたみ、居間のちゃぶ台に置いて庭へと出るとスキマが開いてそのまま引っ張り込まれる。何事かと思って手を掴んでいると、見慣れた紅い館の一室に立っていた


「紫……せめて一声くらいかけてくれ。慣れてるとはいえ、驚いたぞ……」


「ごめんなさいね、なんだか貴方がそばに居ないと落ち着かなくって……いいでしょう?」


少し気恥ずかしくなって顔を逸らすと、見慣れた顔ぶれがそこには居た


紅魔館の主レミリアに従者の咲夜、博麗の巫女である博麗と普通の魔法使いの魔理沙。見慣れぬ少女が一人と他にもパチュリーが一所懸命魔法陣を書き記した紙を、小悪魔と二人がかりで整理していた


「急で悪かったわね悠哉。先ずは非礼を詫びるわ……でも事は急を要するのよ、で貴方にも来てもらったわけ」


「レミリア……言っておくが、俺個人に出来る事なぞたかが知れてるぞ。それにえっと、此方はどなた?」


「おっと失礼。私、伝統ある幻想ブン屋こと射命丸文しゃめいまるあやと申します。以後、お見知り置きを」


「こりゃどうも。俺は数藤悠哉だ、気軽に悠哉とでも呼んでくれ」


「貴方があの……なるほど、流石妖怪の賢者と亡霊姫君の想い人なだけあってどっしりとされてますねぇ。呼称については文とでもどうぞ、私はそうですねぇ……ゆーさんと呼ばせて頂きます」


──何故ゆーさん? まぁ気軽にと言ったし、少々変ではあるが構わないか……


「さて、揃った所で再開するけれど……あぁ悠哉、貴方はスキマ妖怪のそばに居てあげて。それだけで構わないから。先ずは此方側に負傷者が出たという事実と、それが妖怪の賢者という幻想郷で名の知れた実力者であるということ。先に手を出したのは向こう側だから、相手に非が有るのは確定的に明らか。異論の余地すら挟ませない程に実に分かり易いじゃないの」


「俺の役割それだけかよ……まぁ強いて言うなら、向こう側がソレを認めるかどうかだな。向こうの出方次第では此方も覚悟を決めなきゃならんし……ところで紫、件の妖怪共は今何処に?」


「霊夢に結界を張ってもらって、隔離中よ。強度については私も認める程だから、そう簡単には崩せない筈よ。しばらくは安全でしょう」


──こんな感じで話し合いは纏まり、俺は少し離れた所から眺めているだけだった。どうやら本当に紫のためだけに連れて来られた様である


「あの〜ゆーさん、こんな時になんですけどね。もしよろしければ後日私の取材を受けて頂ければな〜と……如何でしょう? もちろんタダとは言いませんし、必要ならば一肌脱ぎますよ?」


「ゴシップ色の強い記事を書くお前さんの取材か……気乗りしないんだが?」


「まぁまぁそう言わずにね? 人助けだと思って、是非私にネタを提供してくださいな。拒否権も有りますけど、その場合は有る事無い事書かせて頂きますがよろしいですか?」


「ぐっ……卑怯な。そうやって今まで記事を書いてきたわけか……」


ニヤニヤ笑みの文には悪いが、此方にも手が有るには有る。完全に人任せだが、ここは一つ紫の手を借りるとしよう


取り敢えず、詳しい話は後日と会話を切り上げて窓から空を見る。まるでこれから幻想郷で起こる事を予見しているかの様に、赤黒い色が何処までも続いていた……

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