第七話
只今、居間にて八雲と藍と俺とで会議をしている最中だ。内容は簡単な自己紹介と俺の八雲邸での仕事の割り当て、それからこの世界でのルールなんかを教わっている
「……じゃあこれから、呼び方は紫と藍で構わないな? 後からやっぱり嫌とかナシだぜ?」
「勿論よ。藍も構わないわね?」
「はい、異存は有りません」
「そっか。んじゃ、これからよろしくな二人とも!」
握手を再度交わして、家事の担当へ。俺は藍と一緒に食事と風呂番をすることが決まった。こう見えて自炊していたので、食事については人並みには出来るからだ
この世界でのルール──通称スペルカードルール。必殺技に当たるスペルカードを予めお互いに何枚使うか提示し合い、被弾回数や勝敗が結した際に勝者に支払う対価を決めた後弾幕と呼ばれる手段を用いて戦う
暇潰しの遊びから争い事の解決の手段にまで使われている、幻想郷で最もポピュラーな方法──以上が、俺が紫達から聞いた話の感想だ
また、その際に三つの力の素──霊力、妖力、魔力についても教わった。簡単に言えば、人間が持つのが霊力で魔法使いが持つのが魔力、妖怪が持つのが妖力らしい
他に、神様が持つ神力とやらも有るらしいが……まぁ俺には関係のない話だったのでスルーしておいた
そうこうしているうちに、外はすっかり暗くなり月明かりが屋敷を照らしていた
「弾幕の練習も必要だけど、今日は悠哉も疲れてるでしょう? ご飯を食べてお風呂に入って、早めに寝なさいな」
「ありがと紫。……さて、それじゃ夕食作りと行きましょうかねぇ。藍、案内頼むぜ」
「分かった、では紫様しばしお待ち下さい」
「楽しみにしてるわよ〜」
台所へやってきた俺を出迎えたのは、外の世界の最新調理器具達だった。電気とかどうやってんだよ……
湧き上がる疑問の数々を頭の片隅へと押しやり、藍と夕食作りに取り掛かる。献立はご飯に味噌汁と豚肉の生姜焼き、それから野菜の塩茹でだ
藍がご飯と味噌汁を、俺が生姜焼きと塩茹でを担当しテキパキ手早く調理していく。出来た料理を紫がスキマで運んでくれたので、テーブルにはたくさんの出来たての料理達が
「頂きます!」
「頂きます」
「頂きます」
お腹が空いていたのも相まって、見る見るうちに消えていく夕食。それを見て、紫はポツリと一言
「幽々子を連想しそうな勢いねぇ……まぁあそこまで凄くはないけれど」
「ん、幽々子? 誰だそれ」
「私の親友よ、冥界にある白玉楼という所に住んでいるわ。機会が有れば連れて行ってあげるわよ」
「……俺に来て早々死んでくれと? 酷すぎないか紫よ……」
必死に否定する紫と悪ノリする俺を見て、藍がクスクス笑っていた