第六十二話
「──や。ゆう──うや。ゆ──」
誰かが何か言っているが、聞き取れない。アレ、俺ってどうなったっけ……? あぁそうだ、思い出した。パチュリーと魔理沙の弾幕ごっこの流れ弾を避けきれずに被弾して、それで……
「──ん、んぅ……いつつ。頭痛ぇ……ぜ、ちくしょう……」
意識がはっきりとし始める。ゆっくりと目を開けると、パチュリーの顔が間近に有る。すぐ横には魔理沙の顔が、これまた間近に有る
「起きたかしら悠哉。貴方もつくづく災難な目に会うわね……もっとたくさんの修行が必要ね」
「その前に助けてくれよ紫……おかげで物凄く頭が痛いんだからさ……」
素知らぬ顔で扇子を一扇ぎ二扇ぎする紫と、苦笑混じりの顔で俺を見る藍。なるほど、心配ではあるが表には出さないと……
「悠哉、その……治療魔法を掛けるから少し待ってもらえるかしら? 私も魔理沙も熱くなり過ぎたわ、ごめんなさい」
「私も悪かったぜ。なんて言うか……もっと周りを見るべきだったんだぜ……ごめんなさい」
二人が頭を下げる。とは言え、避けきれなかった俺自身もダメだと思うし……取り敢えず頭を上げてもらう
「次からはちゃんと周りを見て、始めてくれよ? もう一度当たるのは勘弁だからな、流石に。もう大丈夫だから、その治療魔法だっけ? 頼むよ」
「了解よ。魔理沙、手伝って」
「おう! 任せろだぜ!」
魔女と魔法使いの共同による治療魔法は瞬く間に作用し、あれ程痛かった筈の頭もスッキリ治っていた
「ん、もう大丈夫だな。サンキューな二人とも、助かったよ」
「お礼だなんて……小悪魔、紅茶を彼にお願い。まだ出してなかったでしょう?」
「はい、分かりました。悠哉さん、少しお待ち下さいね」
手を挙げて了承の意を伝えると、小悪魔は低空飛行しながら本棚の奥へと消えて行った。ソレを見送っていると、紫が突如視線を入り口の方へと奔らせた
「悠哉、復帰直後でアレだけれど……次が来るわよ。構えなさい」
「次……? 何だよ次って、もう来ないだろうに──」
ゆっくりと扉が開き──ヒョコリとフランドールが顔を出した。しばらくキョロキョロと辺りを見渡して俺と目が合ったと思ったら……
「あ! 悠哉、久しぶり〜!」
猛ダッシュで近づきそのままスピードを落とさずにダイビング。反応出来なかった俺は、胸元にフランドールが飛び込んで来た事を朧げに認識すると同時に吹っ飛ばされる
図書館の床を豪快に背中で滑りながら、またもや遠退く意識の中──胸の中でただ一言
「(今日は何か厄日なのか……)」
最後にせせら笑う博麗と満面の笑みでしがみつくフランドールを見て、後でまたパチュリーの治療魔法の世話になるな……と思いながら
本日二度目の気絶を迎えるハメになった──




