表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方幻想記  作者: 弾奏結界
第四章──いつもの日常──
40/197

第四十話

粗方幽々子が持ってきたお菓子を食べ尽くした俺達は、その後暫く話し込んだ。紫と幽々子の仲は古くから続いているらしく、なんでも幽々子の生前からの付き合いなんだとか。なるほど、紫が親友だと言っていたのも納得だ


「──でね? 紫ったらその時なんて言ったと思う? 私には幽々子が居るからいいの〜って堂々と大声で言い切ったのよ〜。私その時、紫には悪いけれど内心笑っちゃったのよ〜」


「あの紫がねぇ……想像もつかないけど、まぁそれだけ大切に思われているんだと思えばいいんじゃないか? 現に紫は幽々子の事を親友だって紹介したしな、良かったじゃん」


──と、また誰かがやって来る気配が。何気無く障子の方を見やる俺とは対照的に表情が固まる幽々子。一体どうしたんだろうか……と思いつつ気配の主が来るのを待つ


「……失礼します、この部屋に幽々子様はいらっしゃいませんか? もしいらっしゃるのなら、今すぐに解放して頂きたいのですけど?」


……妖夢だった。心なしか声には不機嫌さが混じっているように思えるが、まさか従者に黙ってこの部屋にやって来たのだろうか? 視線を向けると、小さく手を合わせて謝る幽々子が。非常にマズイ展開である


「どうかしましたか? 何か答えられない事情でも有りますか?」


短くだが威圧的にさらに聞いてくる妖夢。あまり時間が無い、簡易スキマを展開して紫を出し事情を説明して側に待機してもらう。これで不意打ちは止められる……筈だ


「いや、大丈夫だ。幽々子なら此処に居るが……まさか事前に聞いていないのか? てっきり話しているとばかりに思っていたが……」


障子が開き、冷ややかな視線を向ける妖夢が入ってくる。先ず幽々子を一瞥した後俺に身体ごと向き直り──刀の鯉口を切ろうかという時にさり気なく紫が立ち上がる


紫が立ち上がったことで落ち着いたのか、ゆっくりと姿勢を直して紫と幽々子に一礼。もちろん俺は無視だった


「ねぇ妖夢? いきなり仲良くなれ、とは言わないわ。でもね、もう少し気を柔らかく表情も崩せないかしら? 今の貴女はまるで──彼を殺しにかかっているようにも捉えられるわよ」


「構いません紫様、お言葉通りの気持ちでこの人と対峙しておりますので。全員が気を許せば、何か不測の事態の際に対応出来ませんから敢えてこの態度で臨んでおります」


「魂魄の場合はそれだけじゃなさそうだけどな。お前、俺の事嫌いだろ? 思いっきり私情を挟んでるように見えるからなぁ」


「えぇ当然です、貴方の事が好きだなんて信じられませんよ。まさか全ての女性が貴方を好いているとでも? とんだご冗談を、甘く見過ぎですよ。私は貴方の事なぞこれっぽっちも考えておりませんので」


……俺何かしたか? びっくりしたままの俺にふんと鼻を鳴らして口元に笑みを浮かべる魂魄。すげぇヤなヤツなんだけど……


「そこまでよ妖夢、あまり人様の殿方を悪く言うべきではないわ。それに私も彼と話したけれど、妖夢が言う程ではなかったわ。──少し頭を冷やすべきよ、そうでしょ紫」


「私の前で随分とまぁ言うようになったわね妖夢……何処からそんな自信が来るのか、是非とも教えて頂きたいものだわねぇ……」


二人からの圧力には流石の妖夢も怯む。男としては何処か情けない気もするが、此処は二人に任せておくことに。断ってから自室を出て居間へと歩く俺の背後から、妖夢の悲鳴が聞こえた気がした──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ