第三十八話
「はい、そこまで〜。二人共お疲れ様〜」
間伸びした声が緊張感漂う空気の中に割って入り、ソレを皮切りに一気に脱力する。幸いにも俺の隣にはスキマが開かれているし、まぁ奇襲はされないだろう……多分
「この勝負は私の勝ちですので、今後一切幽々子様に近寄らないことです。分かりましたね?」
「んな約束した覚えないんだがねぇ……まぁ別に構わないけども。紫、そう言う事だから後は任せるよ」
「えぇ、でもその前に一つ確認させて頂戴。先ず妖夢、先程の一件はお互い言わなかったけれど一発当てれば勝ちだったのよね?」
怪訝な表情を浮かべながらも紫の問いに頷いて返す魂魄。俺も何が言いたいのかさっぱりだが、幽々子と藍は分かっているらしくしきりに頷いている
「なら……この勝負、勝者は悠哉ね。幽々子どう思うかしら?」
「同じくね〜。そのルールで戦ったのなら確かに勝者は彼の方ね、残念ね妖夢〜」
「な……何故ですかお二方! 私は確かに弾幕を当ててはいませんが、現に今彼を追い詰めて──」
「その前よ。貴女、彼が放った弾を何で受け止めたのかしらね? よ〜く思い出して御覧なさいな」
途端に顔色が悪くなる魂魄。そろそろ説明が欲しい所なのだが……思い切って聞いてみると、なんでも俺があの時放った弾を受け止めた半透明の物体
実はアレ、魂魄妖夢の半身であると言うのだ。そもそも魂魄妖夢という人物は半人半霊という謂わば半分人間で半分幽霊の種族なんだとか。で、あの半透明なのが彼女の幽霊の部分に当たるらしい
つまり、幽霊とはいえ己の身体で受け止めてしまったと解釈が出来るので……魂魄妖夢の負け、と紫は考えているようなのだ。のんびりと言っているが、現在物凄い目つきで睨まれていますおぉこわいこわい
「……今回はお二方の仰る事を受け入れますから、私の負けで構いませんが……次は有りませんよ……!」
「まだやる気かよ……もう勘弁してくれ」
どうやら変に闘争意識に火が付いてしまったらしく、再戦の意思有りと来た。次やったら本気で首が飛びそうなのでお断りだが……
幽霊の部分、半霊の部分なら当たったら判定有るんじゃね?
と思ったので、被弾扱いされたと……刀で止めてりゃ彼女の勝ち、だったんですがねぇ
まぁ偶々マグレですね。次は……ホントに飛ぶかも?




