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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第四章──いつもの日常──
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第三十七話

紫達を追って居間にきて見れば、既に二人は談笑しながらお茶を飲んでいた。傍らに藍が居るので彼女がお菓子やら何やら用意したのだと把握し、続いて視線が合ったので西行寺に会釈をしておく


「肩の力を抜いてくださいな数藤さん? 私、あまり堅苦しいのは苦手なのよ〜。紫の友人なら私の友人でもあるの、だからもっと普通に接してほしいわ〜」


「はぁ、分かりま……いや分かった。それじゃあえっと、幽々子と呼んでも構わないかな?」


「えぇもちろんよ〜、私も貴方の事を悠哉と呼ばせてもらうから〜」


のんびりとした、それでいて掴み所のない人だと思いながら腰を下ろす。藍がお茶を淹れてくれたので礼を言って一口、うん美味い


「……幽々子様、あまり親しくし過ぎては危険です。男というのはある程度の危機意識を持って接するべきモノですよ? もう少ししっかりして頂かないと……」


「もう妖夢は……堅過ぎるわ、貴女こそもう少し姿勢を崩しなさい。先ず悠哉はそんじょそこらの男とは違うわよ? 私や藍が誘っても意に介さないくらいだし、そもそもそんな行動を彼は取らないもの」


なんか遠回しに男として馬鹿にされた気分ではあるが、俺が何もしないヤツだと説明してくれているみたいなので黙ってお茶を飲む。──と、突然魂魄が刀を持って立ち上がる。何事かと見ているとそのまま庭へと向かい、真ん中辺りで立ち止まって俺を睨みつけてきた


「……どうやらあの娘、貴方と手合わせしたいみたいよ? 人を斬って知る、とか言っていたからそのつもりのようね。頑張ってね」


「人斬りか何かかアイツは……って俺はやんないぞ!? 誰が好き好んで得物持ってるヤツとやりたがるんだよ……」


抗議の声をあげるも紫は何処吹く風でスキマを俺の足元へ──気づいたら魂魄の前でこけていた。頑張って〜、と幽々子も笑顔で手を振っているが……どう見ても退屈しのぎとしてしか見られていない


「ハァ……ついてない。で、本当にやるのか? 出来ればってか出来なくてもやりたくないんだけど」


「随分と腰抜けな物言いですね、怖じ気づくのが少々早過ぎませんか? コレなら気にする必要もなさそうですが、念のため……斬らせて頂きますよッ!」


言うが早いか抜刀してきたので慌てて右に転がって回避。続けて地面に向けて弾幕を放ち土煙を起こして目くらまし代わりにして空中に逃れ体勢を立て直す


「──遅いです」


様子見をしていた俺の背後から魂魄の短い一声が。タイミング的にも避けられないと判断し、霊撃符を発動させてカウンターを狙うも距離を離すだけに留まる。このままではあまりにも差が有り過ぎるので、能力を使って準備を整えてから相手を見据える


「まさか奇襲で来るとはな……見たところアンタ剣士だろ? いいのかよ正々堂々と正面から来なくてさ」


「確かに私は剣士ではありますが、同時に庭師でもあります。ですので、正々堂々と正面からのみではありません……よッ!」


急加速からの斬撃を反射的に転がって避ける。それでも相手の速さが勝っているので、斬撃が服を掠めてスッパリと斬れ込みが入る。結構気に入っている服だったのだが、この際仕方ないだろうと諦めて今度は此方からと当たる道標の通りに弾幕を配置、間髪入れずに発射する


当たると思われたソレらは器用に動き回られたり相殺されたりでなかなか当たらない。よく行ってグレイズ止まり、酷ければ擦りもしない……現実は非情であり過ぎるだろ


「かなり的確な弾幕ではありますが、かと言って避けられない程ではありませんね。この程度、と言った所でしょうか」


「好き勝手言ってくれるねぇ……んじゃあコレはどうかな!」


同じように弾幕を配置して今度は一斉発射。同時に或る地点に極細のレーザータイプの弾を一つだけ配置して待機させる。案の定、最初に放った弾幕はグレイズさせつつも悉く避けられていく


だが、一瞬出来る隙を見逃す程俺は弱くはない。紫と藍との修行で隙を見つけたら、相手に勘付かれる前にソコを突いて突破口とするように身を以て教わったからだ


──いけ、と小さく命令し丁度のタイミングで飛び込んだたった一つの弾は……あと少しの所で飛び込んできた半透明の白いモノに当たって阻まれてしまった……


「狙いは素晴らしいですが、残念でしたね……この勝負頂きました」


呆然とする俺の眼前に、冷たく光る刃が突きつけられた──

なかなか勝たせませんよ、向こうが強いのは当然ですのでねぇ


……でもやっぱり勝たせてあげたい気持ちもあるし……

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