第三十五話
のんびりと進めていきますよ〜
さて、どうにかこうにか朝食のゴタゴタを隠し通した俺は庭に出ている。何時ものように身体をリラックスさせて目を閉じ、能力を発動させる。身体の熱が少しずつ上昇していくのを感じながら、ゆっくりとイメージを頭の中に描いていく
目を開けて──地面が赤く光り輝くのを確認した後、今度はゆっくりと能力を解除する。何度かこの作業を繰り返しつつ、徐々にスピードを早めていくのだ。咄嗟の時に少しでも早く能力を使うためなので自然とイメージにも熱が篭る
「──ご苦労様。少し休んだらどうかしら?」
「ん、その声は紫か。丁度イメージもし終わった所だし、そうさせてもらうよ」
縁側に腰を下ろして紫から冷水を受け取って一口。冷たい感覚が喉を通り過ぎていくのを感じながらもう一口。礼を言って紫に湯のみを返し、改めて紫を見る
何時もの道士服ではなく、今日は紫色のドレスに身を包んでいる。本人曰く、動きやすいのだそうだが……どちらも動きにくそうにしか見えない
「制御は順調? 貴方のその力は周りにも影響を及ぼすタイプだから、的確にかつ正確に操ってもらわないと危ないのよ」
「まぁ今の所で言えば概ね問題ないかな。霊力の方も安定しているから霊撃も撃ちやすくなって範囲も少しだけど広がったし、加えて容量の方も増えたみたいだからね」
俺の言葉に頷きながら、片手を開いたスキマに突っ込んで何やら探し物のようだ。取り敢えず待っていると──紙を幾つか取り出して俺に渡す
「紅魔館で使った分の補充よ。ソレを足して、今何枚残ってる?」
「っと……霊撃符が五枚に簡易スキマ用の符が三枚、それからスペルカードの素が後二枚ってとこだな。スペルカードは一枚作ったし、今はこれだけかな」
確認作業も終わったので紫とのんびり雑談することにした。外界では大地震が有ったらしくかなりのモノが行方不明となったらしい、その影響か此方に幾つか使えそうなモノが流れ着き管理がなかなか行き届いてないとの事
「そうそう、使えそうなモノの中にね電化製品が有ったから置いてあるわよ。え〜っと確か……掃除機とかいう名称だったわ」
「アレもとうとう幻想入りか……まぁほうきで掃き掃除するよりかは時間の短縮にもなるし、電力は実質無限でおまけに電気代もタダだしな。ところでさ、他の場所には電化製品って無いのか? 例えば……そう紅魔館とか」
「有った、と思うわよ? なんでも少し前に流れ着いた発電機? ソレを河童が分解して使えるように手を加えたのを、紅魔館が譲り受けたのだとか。実験目的ってのもあったようだからお互いにスムーズに事が進んだってレミリアが言っていたのを聞いたわ」
「……一応聞くが、ソレって本人から直接だよな?」
「えぇもちろんよ? 本人が言ってたもの、ちゃんとスキマを通じて聞いたわ」
いやスキマ出した時点で盗聴紛いだろ、とは突っ込まないし突っ込めない。スキマは彼女の能力の一環だし、仮に止めるように言ったところで素直に止めるとは到底思えないからだ
釈然としないながらも紫だからと割り切り、午後からの掃除が楽になるな〜なんて呑気に考えつつ空を見上げる。細く長い飛行機雲──此方に飛行機は無いのだが……──が一筋伸びていた
東方で地震と言えばアノ人ですが、まだ当分──と言うよりこの先登場するかは未定です
他の方の東方小説だと電化製品が結構出てきています(電子レンジとか炊飯器とか)が、どうなんだろ……やっぱり型が古いヤツなら有るのかな?
発電機云々はホントに河童辺りがどうにかしてそうだし……うーん。幻想郷一っていってたような気がするけど、外界に敵う程のモノなのかどうか……




