第二十八話
主人公である、悠哉の視点です
少し(?)長めです
──此処は、何処だ? 俺は確か藍達と一緒に……
紅魔館に居た筈の俺は、いつの間にか屋外に出てきていた。と言っても辺り一面白く濃い霧のせいで殆ど見通しが効かないのだが
──どういう事だ? 何故外に……しかもこんな場所、俺は知らないぞ。飛ばされた、にしても何か引っかかる
取り敢えず前進してみることに。一歩一歩進んでみると霧がさらに濃くなっていくのが分かる。反対に一歩一歩下がってみると、霧が引いていくのが分かる
──ふむ、辺りが見たけりゃ下がれって事か? このまま前進し続けてみたい気もするが……っと、能力は使えるのか?
意識を集中させて道を定義し、目を開け──愕然とする。何故なら……前進しようと考えていたその先には、明確な道が見えなかったのだから
後ろにはきちんとした、歩ける道が有る。が……前には歩けるかどうかも分からないモノが存在している、としか言えないこの状況
──何だってんだよコレ、一体何がどう……!?
突如激しい頭痛が起こりその場に倒れる俺。同時に記憶がはっきりし始める……そうだ、俺は本当は紅魔館でフランドール相手に……
──殺された、のか……? なら今の俺は一体……? 待てよ、もしまだ仮に死んでいないとしてこの状況をよく言うあの世とこの世の境目と仮定すると……
前に紫が言っていた言葉を思い出す。紫曰く、あの世とこの世の境目は人によって見え方や場所が全く違うらしいこと。だが決まってはっきりと言える事が一つ有る
……進む程に濃い霧に飲まれ、道を見失ったが最期あの世に引きずり込まれると言うのだ。もし本当なら下がり続けなければ、元の世界に戻れなくなってしまう
──!? 霧がこっち側に来てないか? 死者の手招きって事かよ!
悪態をつきながら後ろへと下がる。この時になってようやく、自分が喋れていない事実に気がつく。死人に口無し、とでも言う事なのだろうか……
追いすがる霧にとうとう耐えきれず、回れ右して猛ダッシュ。歯を食いしばってひたすら走り続けると、確実に霧が晴れ始めていく
そして──遠くの方に人影が見えた。誰かは逆光のせいで分からないが、妙に見覚えのある影。俺はその影に、知らないうちに紫を重ねて見てしまっていた
──あの世への手招きも紫になら……いいかもな……
そんな風に思いながら、人影へと手を伸ばし──またしても意識を失った……
あの世とこの世の境目って、聞いた所では花畑だったり川だったりで色々みたいですね
ならひょっとして、人によって見え方が違うんじゃ……って事で彼は五里霧中の真っ只中に立ってもらいました
個人的にはそうですねぇ……まだ花畑の方がいいかもですね。帰って来れそうですし




