第二十四話
光の中でたゆたうことしばし──徐々に弱まっていく光量を認識してゆっくり目を開く
……どうやら無事に転移出来たようだ。傍らには同じように部屋を見渡す藍も居るし、はぐれた〜なんて事もなさそうだ
「さて藍、先ずは成功だな。えぇとレミリアさんの部屋は……と」
「確か魔女が言うには、この部屋を出て右へ曲がると一際豪華な扉が有るそうだ。まだ装飾が残っているならすぐに分かるだろうな」
「豪華ね……ボロボロで見る陰もない、なんて事なければいいけどな。んじゃ、早速出るか……」
神経を尖らせて扉の前に。藍と顔を合わせ互いに頷きあい──少しずつ扉を開く
薄暗い廊下となんとも言えない空気が出迎えてくれる。背筋を冷たいモノが奔る中、部屋から出て右手へと歩き出す
「藍、後ろはどうだ? 何か見えるか?」
「……いや、何も見えない。おかしいぞ悠哉、私は紫様と常に式神関係で繋がっているから間接的に紫様のサポートを受けているが……それでも尚見えないんだ」
「ソレって……単に紫を上回る力が働いているのか、それとも……」
「恐らくだが後者だろう、あの紫様が簡単に上回れることなどあり得ないのだから。さ、早く行こう。あまり長居は出来ないぞ」
歩みを進めながらも辺りへの警戒は忘れない。一歩一歩進み、やがて或る扉の前にやってきた
「……有ったぞ藍、恐らくコイツだ。だいぶ汚れて装飾も禿げかかっているけど」
「気をつけろよ悠哉、向こうは私達が居るという事を知らないんだ。攻撃されるかもしれない、決して警戒を怠るなよ?」
「……了解だ。味方にやられるのはゴメンだからな……」
ゆっくりノックをしてみる。静かな空間にノック音がやけに響き渡り──応えるモノがいた
「……誰、でしょうか?」
「その声……ひょっとして十六夜さんか?」
「まさか……悠哉様でしょうか!? 一体どうやって此処まで……」
「悪いが話している暇は無い。先ずはこの扉を開けてくれないか? 俺ともう一人、計二名の入室を認めてもらいたい。幸い辺りに人の気配は無いから大丈夫だと思うが……」
──カチャリ、と音がしてゆっくり扉が開かれる。僅かな隙間から見えたのは、泥で汚れた十六夜さんの顔だった……
「あぁ悠哉様、よくぞご無事で……すぐにお開け致しますので少しばかり下がってもらえませんか?」
「分かった、早く頼むよ。藍、まだ大丈夫か?」
「うむ、紫様も見てくれているしこの辺り一帯には居ないようだ──っと、開いたぞ?」
部屋の内へ身を滑り込ませ、十六夜さんが扉を閉めるのを確認して──ホッと一息吐く。隣で藍も息を吐いているし、緊張が解けていく
「こんばんは、勇ましき来訪者よ。貴方達二人の来館を……まぁこんな時だけれど、心から歓迎するわ」
声のする方へ顔を向けると、一人の少女が傍らに十六夜さんを控えさせて座っていた




