第二話
誰だコイツは? 何故人の家でお茶を飲んでいる、ってかのんびりくつろいでいるんだ?
頭の中を疑問がグルグルと回っては消えていく。そうこうしている間も、目の前の女性は静かにお茶を飲み進める
コト、と湯呑みがテーブルに置かれる音で意識を引き戻した俺は視線を女性へと再度合わせる。金髪に薄い紫色をした瞳、よく分からない服装──確かテレビで道士服とかなんとか言ってた──どれをとってもそこいらの人間とはナニカ違う、としか言い様が無い雰囲気
靴べらをゆっくり下ろしながら、睨みつける様に目を向ける俺を見て女性は笑みを浮かべる。まるで……その反応がたまらなく嬉しいとでも言わんばかりに
「……アンタ、一体誰だよ。そもそもどうやって家に勝手に入った」
「さぁ、どうやってかしらね? 残念だけど教えてあげる義理なんて無いわ」
あっけらかんと答える女性。何処からか取り出した扇子で仰ぎながら──人を見下す様な視線を向けてくる
「ふざけているつもりならさっさと帰れ。今ならまだ警察にも通報しないでいてやる」
「警察ねぇ……あんなの、居ようが居まいが変わりないわ。呼びたければどうぞ、お好きな様に?」
……流石に頭にきた。視線を外さないようにしつつ、電話をかけようとして──繋がらない。いくら番号を打っても叩いても返答が無い
コンセントが抜けているのか? と下を覗き込んで、唖然とした。電話線がスッパリと切断されていたからだ
「分かったかしら? ソレでどうやって呼ぶつもり?」
クスクスと笑いながら、楽しそうに俺を見つめる女性。完全に踊らされているようだ
「……いや、まだ手は有るさ。まさか電話線を切られるなんて思わなかったけどね」
ポケットから取り出した品物を見て、女性の顔に初めて焦りの色が見える。簡単に言えば、携帯電話を見せたのだ
「な、なんでソレを……! シャワーを浴びてる隙にスキマで盗った筈なのに……」
「何をごちゃごちゃ言ってるのか知らんが、通報させてもらうからな」
「ま、待って! ね、お願いだからちょっと待って……って通報しないで! 少しでいいから話を聞いてー!?」
その後、涙目で携帯電話を取りに来た女性の変わり様に呆れた俺は通報を一旦取り止める事にした
ふむ、こんな感じですかね?
あぁ、早く幻想入りさせてみたいなぁ……