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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第十四章──幻想郷を巡り巡った先で──
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第百八十二話

──意識が戻ると、攻撃を受けた直後だったのか身体が宙に浮いていた。視界の端に映ったレミリアは、俺がもう立てないと思い込んでいるようで完全に油断している


物は試し、と以前からこっそり練習していた霊力を固めて足場とする術を使い、腕を使って空中で体勢を立て直す。間髪入れずに今度は足で蹴り上げて飛翔の初速を大きく伸ばして、彼女の無防備な背中に刃を振り下ろす


浅くではあったが確かな手応え、そして振り返ったレミリアの表情は驚きに満ちていた。最も、すぐに口元を吊り上げた凄惨な笑みへと変わったのだが


「やるじゃないの悠哉! そうでなければ面白くないわ、そうでなければせっかくの試練が意味を成さないもの! さぁ、その殺気と気迫でもって私を殺して魅せなさい!」


壁と見間違う程の高密度の弾幕と織り交ぜて投げられるグングニルを象った弾幕を、能力を使って必要最小限の動きで躱していく。身体は熱く心は冷たく──外の世界だと映画や小説なんかで聞いたフレーズが、今の俺にまさにぴったりハマっている


お互いに傷だらけになりながらも一切手を止めない、レミリアは俺を叩き潰さんと俺はレミリアを斬り倒さんと、接近して斬り結んでは離れ、また斬り結ぶ


弾幕ごっこのルール──スペルカードルールに則っている以上本当に相手を斬り捨ててしまうわけではないが、それでも心の何処かに恩人に刃を向ける恐ろしさが俺にはあった


あの日──紫達と戦った時も、俺はその怖さを抱えていた。だから負けた、とは言えないだろうが……それでも一端くらいはあった筈だ。もう負けないと心を決めた以上、そしてルールに則っている以上、俺はもう躊躇わない


「レミリアァァァ! これが俺の、全力だぁぁぁぁぁ!」


いつか妖夢に習った、居合術。腰を落として静かに、真っ直ぐレミリアの元へと突き進む。大丈夫、道なら視えている(・・・・・)のだから


「……良いでしょう、今回は貴方の勝ちよ悠哉。おめでとう」


気品を漂わせる強者らしい笑みでもって受け止めてくれた彼女は、とても気高く美しい──まさしく夜の王に相応しい人物だった

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