第百八十話
小さな体躯からは想像もつかない程の力で放たれる弾幕の数々。一つ一つが地面や壁に当たる度、大きな揺れと音が容赦なく俺の身体を揺さぶってくる。地上と空中、そのどちらもフルに活用してようやっと回避出来ているため、開始から幾分経過した今でも反撃の糸口は見つけられていなかった
着弾の余波で壊れる地形はすぐさま修復され今のところ回避の邪魔にはなっていない。だがこのままではいつか必ず被弾してしまうだろう
意を決して一歩踏み出そうとした瞬間、まさにドンピシャのタイミングでその地点に弾幕が殺到して待機を余儀なくされる。レミリアは己の程度の能力を存分に使って俺から行動する事を取り上げてきたのだ
「さぁどうしたのかしら、まさかこのままフィニッシュまで棒立ちしているつもり? 私はそれでも構わないわよ、所詮は人間……その程度の力だったと思うだけ」
強者に相応しい笑みを浮かべ、その間も強烈な一撃を次々と的確に放ってくる。俺は完全にレミリアの掌で踊らされていた……
「──もういいわ、ここらで終わらせてあげる。八雲へのリベンジも何もかも忘れて……ただ静かに暮らしなさい」
神槍「スピア・ザ・グングニル」、かの北欧神話の最高神オーディンが用いた槍が──真っ直ぐに右胸を貫いた……




